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法人保険とは?法人保険の種類と選び方について解説
法人保険とは
法人保険とは、法人が契約者として加入する保険であり、企業が事業を行う際のさまざまなリスクに備えるためのものです。企業の規模、業種、事業計画によって必要な保険の種類やプランは異なり、企業が抱えるリスクに最適に対応できるように選定することが求められます。
法人が抱えるリスクには、以下のようなものがあります。
● 業績の悪化:経営者の不測の事態や取引先の倒産、災害による休業などにより、収益の低下や取引条件の変更が生じる可能性があります。
● 急な高額出費:役員の退職や死亡に伴う退職金の支払い、金融機関の融資引き上げ、従業員の労災対応など、財務状況に大きな影響を与える出費のリスクがあります。
● 人材流出や採用の困難:福利厚生が充実していない場合、従業員の退職や採用の難航などのリスクが高まります。
● 災害や事故による損害:火災や洪水による施設損害や、サイバー攻撃に対する対応費用が発生する可能性があります。
法人保険は、これらのリスクに備えて企業の安定した経営を支える役割を果たします。
法人保険に加入するメリット
法人保険に加入することには、以下のようなメリットがあります。
● 事業の継続性を確保:経営者に万一のことがあった場合でも、法人保険を利用して、取引先や金融機関との取引条件が変わっても事業を継続できる資金を確保し、事業の安定を図ることができます。
● 災害や事故、損害賠償に備えられる:法人保険は、災害や事故、大規模な損害賠償に対応するためのリスクヘッジ手段として活用できます。
● 人材流出防止と確保:福利厚生を充実させることで、従業員の退職金や見舞金、医療保険などを提供し、従業員の定着率向上や採用の円滑化を促進できます。
● 役員退職金の準備:役員の退職金をあらかじめ準備しておくことで、退職に伴う高額な支出が経営に悪影響を与えるリスクを軽減できます。
● 後継者への円滑な事業承継:経営者に不測の事態があった場合に、法人保険を活用して、後継者への事業承継や相続資金の確保をスムーズに行えるため、事業継続への影響を最小限に抑えられます。
法人保険は、企業の成長と持続的な経営のための重要なリスク管理手段として、さまざまなメリットを提供します。
2種類の法人保険
法人保険には生命保険と損害保険の2種類があり、目的によって選ばれる保険の種類が異なります。会社の現状や今後の事業計画によって、どの保険の種類、商品、プランが最適かを整理していく必要があります。
生命保険
生命保険は主に「ひと」にかかわるリスクに備える保険です。人の生死に関するリスクに備えたり、退職金の準備として活用したりすることが一般的です。
法人向け生命保険の目的としては主に以下の4つがあります。
①経営者や役員の死亡が事業に与えるリスクに備える(事業保障対策)
②役員・従業員の死亡に伴う支払いに備える(死亡退職金・弔慰金対策)
③退職金の支払いに備える(生存退職金対策)
④円滑な事業承継に備える(相続・事業承継対策)
損害保険
損害保険は主に「もの」にかかわるリスクに備える保険です。例えば、偶発的な事故により物損が発生した際に、その損害額に応じて保険金が支払われます。
法人向け損害保険の目的としては主に以下の4つがあります。
①自社の財産が受けた損害を補償
②第三者に与えた損害の賠償責任を補償
③不測の事故による営業停止の損失を補償
④事業活動中の従業員のケガを補償
法人向け生命保険の種類
法人向け生命保険には主に以下の6種類があります。
ここでは、それぞれの保険の特徴、活用事例(備えられるリスク)をご紹介します。
定期保険
一定の保険期間内に死亡または高度傷害になったときに保険金をお支払いするタイプの保険です。満期保険金はありません。
定期保険は、長期平準定期保険と逓増定期保険に分類されます。
・長期平準定期保険:長期間の保証期間を設けている定期保険です。経営者や役員の死亡保障と退職金の財源確保に適しています。
・逓増定期保険:保険金額が段階的に増加していく保険であり、保険料は一定ですが、保障額が徐々に増加します。死亡退職金や弔慰金、退職金の準備に有効です。
活用事例は以下の通りです。
【役員保障・事業保障】
・経営者死亡
・資金繰り悪化
・経営環境変化
・経営者勇退
・事業承継 などへの備えとして活用
【福利厚生】
・従業員退職金
・従業員見舞金・弔慰金 などへの備えとして活用
終身保険
保障が一生涯続くもので、死亡または高度障害になったときには保険金が支払われます。
保険料の払い込みは、一定期間で終了するもの(有期払込)と生涯に渡るもの(終身払込)があります。
活用事例は以下の通りです。
【役員保障・事業保障】
・経営者死亡
・資金繰り悪化
・経営環境変化
・経営者勇退
・事業承継 などへの備えとして活用
【福利厚生】
・従業員退職金
・従業員見舞金・弔慰金 などへの備えとして活用
養老保険
死亡または高度障害になったときに保険金が支払われるタイプの保険です。
満期のときには満期保険金が支払われます。死亡保険金額と満期保険金は同額です。死亡保障と生存保障を兼ね備えた貯蓄性の高い保険といえます。
活用事例は以下の通りです。
【役員保障・事業保障】
・経営者死亡
・資金繰り悪化
・経営環境変化
・経営者勇退
・事業承継 などへの備えとして活用
【福利厚生】
・従業員退職金
・従業員見舞金・弔慰金 などへの備えとして活用
変額保険
保障額が資産の運用実績にもとづき、毎月変動するタイプの保険です。
死亡/高度障害保険金については契約時の保障金額は最低保証されます。
活用事例は以下の通りです。
【役員保障・事業保障】
・経営者死亡
・資金繰り悪化
・経営環境変化
・経営者勇退
・事業承継 などへの備えとして活用
【福利厚生】
・従業員退職金
・従業員見舞金・弔慰金 などへの備えとして活用
ガン保険
ガンに特化した保障を提供する保険です。
ガンによる入院、所定の手術を受けたときには給付金が、ガンによる死亡時には保険金が支払われます。
活用事例は以下の通りです。
【福利厚生】
・従業員見舞金・弔慰金 などへの備えとして活用
医療保険
病気やケガで入院・手術した際に、入院給付金や手術給付金が支払われる保険です。
保障期間の定められたもの(定期型)と、保障が一生涯続くもの(終身型)があります。
活用事例は以下の通りです。
【福利厚生】
・従業員見舞金・弔慰金 などへの備えとして活用
法人向け損害保険の種類
法人向け損害保険には主に以下の6種類があります。
ここでは、それぞれの保険の特徴、活用事例(備えられるリスク)をご紹介します。
火災保険
企業の建物や設備、商品などの財産を火災や自然災害から守る保険です。
火災、爆発、落雷、風災・ひょう災・雪災、水災、盗難・破損・汚損などの偶然な事故によって、建物、設備・什器等、商品・製品等、屋外設備装置に生じる損害を補償します。
活用事例は以下の通りです。
【企業財産リスク】
・火災
・爆発
・落雷
・風災・ひょう災・雪災
・水災
・盗難 などへの備えとして活用
会社役員賠償責任保険(D&O保険)
会社役員としての業務遂行に起因して損害賠償請求を受け、法律上の損害賠償責任を負担することによって生じた損害を補償する保険です。
補償対象には取締役、監査役、執行役員などが含まれます。
活用事例は以下の通りです。
【役員リスク】
・役員賠償 などへの備えとして活用
損害賠償保険
事業活動に起因して第三者に損害を与えた場合の賠償請求に備える保険です。
活用事例は以下の通りです。
【損害賠償リスク】
・顧客のケガ
・食中毒
・個人情報漏えい などへの備えとして活用
業務災害補償保険
従業員が(正社員、パート、アルバイトなど)業務中にケガを負った場合のように、予期せぬ業務災害の発生に備える保険です。
活用事例は以下の通りです。
【従業員リスク】
・労働災害
・従業員見舞金・弔慰金などへの備えとして活用
休業補償保険
火災や水災などの偶然な事故により建物や設備に損害が生じ、休業した場合の利益損失や各種費用を補償する保険です。
食中毒や感染症による店舗の閉鎖で被る休業損害も補償します。
活用事例は以下の通りです。
【事業中断・利益減少リスク】
・自然災害
・食中毒・感染症 などへの備えとして活用
自動車保険
法人や個人事業主が所有・使用する自動車による事故に伴うさまざまな損害(相手への賠償、運転中の従業員のケガの補償、社用車の修理費用など)を補償する保険です。
活用事例は以下の通りです。
【社用車リスク】
・損害賠償
・従業員のケガ
・社用車損傷 などへの備えとして活用
法人保険を選ぶ4つのポイント
法人保険は個人の保険と違い、保障(補償)や保険料だけでは判断できません。
法人の抱えるリスクや意向、企業規模、業種、今後の事業計画などを確認し、さまざまな角度から見た上で、自社にはどの保険が必要かを総合的に判断する必要があります。
ここでは、法人保険を選ぶ際の4つのポイントを解説します。
① 目的を明確にする
まずは自社が抱えるリスクを洗い出し、優先順位をつけ、目的を明確にすることが大切です。
リスクがぼんやりしている場合は、法人保険の取扱経験が豊富なコンサルタントと一緒に整理しましょう。
② 事業計画に合わせて選ぶ
業種や会社の現状だけでなく、今後の事業計画にも目を向け、適切な保険を選ぶことが大切です。
③ 環境の変化にも対応できる保険を選ぶ
事業を継続する上で、環境が大きく変わる場合もあります。
法人保険加入後、臨機応変に対応ができるかどうかもポイントとなります。
④ 無理のない保険料を設定する
法人保険は個人と比較して保障(補償)の額が大きく、保険料(掛け金)も大きくなりがちです。
必要な期間継続できるよう、無理のない範囲で保障(補償)と保険料のバランスを取ることが重要です。
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