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【最新】フリーランス・個人事業主向けの助成金・補助金を一覧で紹介!
本記事では、個人事業主が利用できる助成金と補助金を一覧で紹介し、それぞれの制度の概要をお伝えするとともに、助成金・補助金のメリットやデメリット、申請のコツを解説します。
※本記事に記載の助成金・補助金は2024年に実施された制度です。
助成金・補助金とは? 給付金との違いは
助成金や補助金は融資と違い、給付された資金の返済は必要ありません。それでは、助成金と補助金には、どのような違いがあるのでしょうか。それぞれの制度の概要を紹介しながら、違いを解説していきます。
助成金・補助金一覧は2章「フリーランス・個人事業主がもらえる主な助成金・補助金一覧」からご覧ください。
助成金とは
助成金とは、国や地方自治体などが、会社や個人事業主が一定の活動を行う際に使った経費などを補てんするために、支給する金銭のことです。助成金は融資と違い、返還する必要はありません。
助成金は、社会の発展や公益に役立つ活動、経済成長につながる活動の支援・促進を目的としています。事業活動においては、雇用の安定、職場環境の改善といった主に雇用や労働環境・労働条件に関する分野が主な対象です。
また、助成金の管轄は厚生労働省で、雇用保険料が財源です。
補助金とは
補助金とは、事業者の取り組みを資金面でサポートするために、国や地方自治体などが設けている制度です。助成金と同様、融資と違い、返還する必要はありません。予算はあらかじめ定められており、受給には審査や抽選が必要です。
補助金は、景気対策や中小企業の活性化などを主な目的としています。また、主に経済産業省が管轄する経済・産業分野を支援する資金で、財源は税金です。
このように、助成金と補助金の同質性は極めて高いものの、その目的や支援分野、管轄に相違があり、さらに次のような受給できる枠の制限に違いもあります。
・補助金は要件を満たしても受給できるとは限らない
補助金は一般的に申請後に審査があり、募集要件を満たしていても、必ずしも受給できるとは限りません。
例えば、経済産業省の「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」は起業促進、地域の活性化などを目的に新製品やサービスの開発費を補助するものですが、2021年10月までに4万1029の応募があり、1万7978件が採択されました。
・助成金は要件を満たせば受給できる
助成金は基本的に要件を満たせば採択されます。
例えば、厚生労働省は「雇用」に関することに助成金を用意し、雇用維持、人材育成、障がい者の雇用定着支援に努め、個人事業主などの事業経営をサポートし、雇用の維持や新規採用、人材育成などの促進へとつなげています。
給付金とは
助成金や補助金と同様に、給付金も国や地方自治体などから支給される金銭を指します。令和5年5月31日で終了した「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」、内閣府が令和4年度に実施した低所得世帯向けの「電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金」なども該当します。
給付金は恒常的に実施されているものではなく、経済的支援が必要な場合、緊急事態や災害が発生した場合など、特定の状況や目的に応じて支給されるものです。
フリーランス・個人事業主がもらえる主な助成金・補助金一覧
個人事業主やフリーランスが活用したい、主な助成金・補助金を紹介します。
主な助成金・補助金制度と概要
雇用調整助成金 | 経済上の理由で事業活動が縮小となった事業者が、従業員の雇用維持を図るために行った休業や教育訓練などにかかる費用の一部を助成する制度。 |
両立支援等助成金 | 復職支援や短時間勤務制度の導入など、企業の仕事と育児・介護が両立できる職場環境づくりを支援する目的で支給される助成金。働きやすい環境の整備を促進する。 |
キャリアアップ助成金 | 非正規雇用労働者にキャリアアップなどを促す取り組みを行う企業に対し支給される助成金。 |
人材確保等支援助成金 | 魅力ある職場づくりのために、労働環境の向上などに努める事業主・事業協同組合などに対して支給される助成金。 |
業務改善助成金 | 事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、生産性向上のための設備投資などを行った際に助成される制度。 |
事業再構築補助金 | 新しい市場への進出、事業・業種の転換、事業再編など、事業の再構築に意欲的な中小企業などの挑戦を支援する制度。 |
IT導入補助金 | 会計ソフトやパソコン、タブレットなど、生産性を高めるとともに労働環境の改善に寄与するITツールの導入にかかる費用を補助する制度。 |
小規模事業者持続化補助金 | 販路拡大などを目的とした取り組みに対して支給される。2020年は最大200万円を補助した。 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 生産性の向上を目的に、中小企業や小規模事業者の、革新的なサービスの開発やその設備投資などにかかる費用を支援する補助金。 |
事業承継・引継ぎ補助金 | 事業承継を契機として経営革新などを行う中小企業や小規模事業者に対して経費の一部を補助する制度。 |
雇用調整助成金
景気や産業構造の変化など経済上の理由により、事業活動を縮小した事業主が休業、教育訓練、出向といった一時的な雇用調整を実施し、従業員の雇用維持に努めた場合に支援金が支給される制度です。また、従業員のいる個人事業主も対象となります。
助成金の対象となるためには、事業主が指定した対象期間内(1年間)に雇用調整が行われるものであること、判定期間における休業または教育訓練の延日数が対象労働者の所定労働延日数の1/20(大企業では1/15)以上となるものであることなど、いくつかの要件をすべて満たしている必要があります。
主な受給要件は以下のとおりです。
・雇用保険の適用事業主であること
・売上高または生産量などの指標が、最近3ヵ月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること
また、適用される助成率と教育訓練加算額は、支給日数と教育訓練実施率によって変わります。令和6年4月1日以降は以下が適用されます。
申請の期日は、支給対象期間の末日の翌日から2ヵ月以内と定められています。
参考:厚生労働省「雇用調整助成金」
両立支援等助成金
仕事と家庭が両立できる職場環境づくりを目的とした企業の取り組みに対し、支給される助成金です。働きながら子育てや介護などを行う労働者の雇用の維持・継続を図ることを目的としています。主なコースと支給額は以下のとおりです。
・出生時両立支援コース
男性労働者が育児休業を取得しやすい労働環境・業務体制を整備した際に申請できます。子どもの出生後8週以内に育児休業を開始するなどの要件があります。受給額は、制度の利用者が1人目の場合は20万円、2~3人目の場合は10万円。申請期限は育児休業の終了日の翌日から起算して2ヵ月以内です。
・柔軟な働き方選択制度等支援コース
フレックスタイム制度、時差出勤制度、テレワーク制度、短時間勤務制度など、育児期の柔軟な働き方に関する制度などを2つ以上導入すること、事業主が対象従業員に対し「育児に係る柔軟な働き方支援プラン」を作成し、制度の利用促進やキャリア形成の支援を行うなどの要件があります。受給額は、1年度につき5人までで、制度を2つ導入して制度が利用された場合は20万円、制度を3つ以上導入して制度が利用された場合は25万円。申請期間は、6ヵ月間の制度利用期間の翌日から2ヵ月以内です。
・介護離職防止支援コース
仕事と介護の両立を支援するために、労働者の介護休業の取得や職場復帰を円滑に行うための「介護支援プラン」を作成する、プランに基づき制度の利用を支援するといった要件があります。介護休業を取得した場合に30万円、職場復帰した場合に30万円、介護両立支援制度が利用された際に30万円が支給されます。申請期限は、介護休業取得日数が合計5日を経過する日の翌日から2ヵ月以内です。
参考:厚生労働省「両立支援等助成金支給申請の手引き」
キャリアアップ助成金
有期雇用労働者や派遣労働者、短時間労働者といった非正規雇用労働者の正社員化、処遇改善の取り組みなどを実施した事業主に支給されます。正社員を雇っている個人事業主も条件が揃えば申請できます。
正社員化支援、処遇改善支援とに分かれ、さまざまなコースが用意されています。支給申請はいずれも、取り組み後6ヵ月の賃金を支払った日の翌日から起算して2ヵ月以内です。
正社員化支援
・正社員化コース
・障害者正社員化コース
処遇改善支援
・賃金規定等改定コース
・賃金規定等共通化コース
・賞与・退職金制度導入コース
・社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月31日まで)
主なコースについて、詳しくみていきます。
参考:厚生労働省「キャリアアップ助成金」
人材確保等支援助成金
魅力ある職場づくりのために、労働環境の向上などに努める事業主・事業協同組合などに対して支給されます。魅力のある雇用創出を図り、人材を確保・定着させることが目的です。
人材確保等支援助成金には以下のようなさまざまなコースが用意されています。
・雇用管理制度助成コース
・中小企業団体助成コース
・人事評価改善等助成コース
・建設キャリアアップシステム等普及促進コース
・若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
・作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
・外国人労働者就労環境整備助成コース
・テレワークコース
・派遣元特例コース
主なコースについて、詳しくみていきましょう。
・雇用管理制度助成コース
諸手当などの制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度といった雇用管理に関する制度の導入や実施を通じて、従業員の離職率低下に取り組んだ際に助成されます。雇用管理に関する制度の導入、離職率の目標達成などが受給の要件です。低下させる離職率の目標値は、雇用保険一般被保険者の人数が1~9人の事業所の場合15%、10~29人の事業所の場合10%などとなっています。目標を達成した際の受給額が57万円です。
・テレワークコース
テレワークの導入と実施により、労働者の人材確保や雇用管理改善などの効果があった事業主に対して助成金が支給されます。評価期間に1回以上、対象労働者全員がテレワークを実施するなどが要件です。助成金額は、機器などの導入助成が支給対象となる経費の50%、目標達成助成が支給対象となる経費の15%です。
参考:厚生労働省「人材確保等支援助成金のご案内」
業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金を30円以上引き上げ、生産性向上のために設備投資などを行った際に、その費用の一部が助成される制度です。申請には、中小企業や小規模事業者であること、事業場内の最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内であることなどの条件があります。
助成金の対象となる生産性向上のための設備投資は、例えばPOSレジシステムの導入、特殊車両の導入、顧客管理のシステム化などを指します。パソコンやスマートフォン、乗用車などの費用は認められていません。ただし、物価高騰などの要件を満たす特例事業者に該当する場合は、それらも助成の対象になります。
助成金額は、設備投資などにかかった費用に一定の助成率をかけた金額と、助成上限額とを比べ、安い方の金額です。
参考:厚生労働省「業務改善助成金」
事業再構築補助金
新しい市場への進出、事業・業種の転換、事業再編、地域サプライチェーンの維持・強靱
化など、事業の再構築に意欲的な中小企業などの挑戦を支援する制度です。新市場進出、事業転換、業種転換など事業再構築として定義する事業活動であること、補助事業の終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率を3.0~5.0%以上増加させること、3~5年の事業計画に基づいた事業を実施して毎年事業化状況報告を提出するなどの要件があります。
補助額が高額である点も特長のひとつで、支給を受けられれば、ビジネスの転換・再編などにかかる負担を大きく減らすことが可能です。
事業の類型別補助上限額と補助率
事業類型 | 補助上限額 | 補助率 |
成長分野進出枠(通常類型) | 3,000万円 |
中小1/2
中堅1/3
|
成長分野進出枠(GX進出類型) |
中小:5,000万円
中堅:1億円
|
中小1/2 中堅1/3 |
コロナ回復加速化枠(通常類型) | 2,000万円 | 中小2/3 中堅1/2 |
コロナ回復加速化枠(最低賃金類型) | 1,500万円 | 中小3/4 中堅2/3 |
サプライチェーン 強靱化枠 |
3億円 | 中小1/2 中堅1/3 |
第12回公募の場合、公募期間は2024年4月23日~7月26日まで設けられ、補助金交付候補者の採択結果の発表は同年11月8日に行われました。
参考:「事業再構築補助金」
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者などの生産性の向上を目的とし、業務効率化やセキュリティ対策、DX推進などのための ITツール導入を支援する補助金制度です。補助金の対象となるのは、パソコン、ソフトウエア、相談対応などのサポート費用、クラウドサービス利用料などが含まれます。
通常枠、インボイス枠(インボイス対応類型)、インボイス枠(電子取引類型)、複数社連携IT導入枠、セキュリティ対策推進枠といったさまざまな枠が用意されています。主な枠について、詳しくみていきましょう。
・通常枠
業務の効率化や売上のアップなど、自社の課題に合ったソフトウエアやシステムを導入するための経費の一部を補助してくれます。申請要件には、「顧客対応・販売支援」、「決済・債権債務・資金回収管理」といった業務プロセスを保有するソフトウエアであることなどが挙げられています。補助率は1/2以内、補助額は業務プロセスを1つ以上保有する場合は5万円以上150万円未満、4プロセス以上保有する場合は150万円以上450万円以下です。
・インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した会計ソフトや決済ソフト、パソコン、タブレット、POSレジ、券売機などの導入を補助する制度です。補助率・補助額は以下のとおりです。
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトの場合
補助率 | 補助額 | 要件 |
中小企業:3/4以内 小規模事業者:4/5以内 |
50万円以下 | 会計・受発注・決済のうち1機能以上を保有 |
2/3以内 | 50万円超~350万円以下 | 会計・受発注・決済のうち2機能以上を保有 |
パソコン・ハードウエアの場合
補助対象 | 補助率 | 補助額 |
パソコン・タブレットなど | 1/2以内 | 10万円以下 |
レジ・券売機など | 20万円以下 |
それぞれの枠において、毎年、1年間のうちに複数回の申請期間が設けられています。2024年度では通常枠で7回、インボイス枠(インボイス対応類型)で12回の募集が行われました。
参考:「IT導入補助金2024」
小規模事業者持続化補助金
働き方改革や被用者保険の適用拡大、インボイス制度の導入といった制度変更などに、小規模事業者が対応するための取り組みにかかる経費の一部を補助する制度です。持続的な発展、生産性の向上などを図る目的で実施されています。
対象となる経費は、機械装置などの購入費、広報費、WEBサイト関連費、展示会などへの出展費、旅費、委託・外注費などです。補助率は2/3、補助上限額は通常枠で50万円、賃金引上げ枠・後継者支援枠・創業枠で200万円です。
2024年は第16回公募が実施され、公募要領の公開と申請受付開始日が5月8日、申請締切日が5月27日という非常に短いスケジュールで行われました。2025年度以降の実施については未定(2024年12月時点)ですが、実施される際は申請期間が短い可能性があるという点に留意しておくと良いでしょう。
参考:「商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金(一般型)」
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
中小企業や小規模事業者の生産性向上に向けて、革新的な製品やサービスの開発、生産プロセスなどの省力化のために必要な設備投資などを支援する制度です。付加価値額の年平均成長率3%以上増加、給与支給総額の年平均成長率1.5%以上増加などの条件を満たす3~5年の事業計画書を策定、実行することが受給要件となっています。
対象となる経費は機械装置・システムの構築費、技術導入費、専門家経費、クラウドサービス利用費、外注費などです。また、申請枠・類型や補助上限額、補助率は以下のとおりです。
申請枠・類型別補助上限額と補助率
申請枠・類型 | 補助上限額 | 補助率 |
省力化(オーダーメイド)枠 | 750万円~8,000万円 | 中小1/2 小規模・再生2/3 |
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型) | 750万円~1,250万円 | 中小1/2 小規模・再生⅓ 新型コロナ回復加速化特例2/3 |
製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型) | 1,000万円~2,500万円 |
2/3
|
グローバル枠 | 3,000万円 | 中小1/2 小規模2/3 |
2024年には17次(公募開始日2023年12月27日、申請期間2024年2月13日~3月1日)と、18次(公募開始日2024年1月31日、申請期間2024年3月11日~3月27日)の2回の公募が行われました。
参考:「ものづくり補助金総合サイト」
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継・引継ぎ補助金とは、事業承継を契機として経営革新を行う、また経営資源の引継ぎを行う中小企業や小規模事業者に対して、その取り組みのためにかかる経費の一部を補助する制度です。事業承継や事業再編、事業統合を促進し、経済活動の活性化を図ることを目的としています。
経営革新枠、専門家活用枠、廃業・再チャレンジ枠の3つの事業で補助が行われ、経営革新枠は創業支援類型、経営者交代類型、M&A類型の3類型、専門家活用枠は買い手支援類型と売り手支援類型の2類型に分けられます。
経営革新枠について詳しくみていくと、主な要件は、事業承継後に被承継者から譲り受けた経営資源を活用して、経営革新などに取り組むことです。さらに、その取り組みが、デジタル化、グリーン化、事業再構築のいずれかに寄与するものでなくてはなりません。対象となる経費は、店舗などの借入費、設備費、謝金、外注費、マーケティング調査費、会場借料費、広報費などです。また、補助上限額は600万円~800万円、補助率は条件や賃上げの実施の有無などにより1/2~2/3以内に定められています。
参考:「事業承継・引継ぎ補助金」
新規・開業時などに活用できるその他の助成金
これまでにご紹介してきた国の制度以外にも、都道府県などの自治体や民間団体、企業などが独自で給付する助成金・補助金があります。
自治体の中には、地域産業の活性化を目的に、起業支援補助金や助成金制度を設け、地域産業の発展や次世代につながる優秀なビジネスプランに対して支援金を支給するケースがあります。
助成金や補助金は、事業を立ち上げる時や新たな事業展開を進める時に、特に活用したいと考えるのではないでしょうか。ここでは、地方自治体などが支援し、特に開業時などに活用できる助成金・補助金を紹介します。採択されるにはハードルが高いかもしれませんが、チャレンジしてみるのも良いでしょう。
創業助成金
公益財団法人東京都中小企業振興公社が運営する助成金制度です。一定の要件を満たす都内での創業予定者、または創業5年未満の中小事業者などに対して、創業初期に必要な経費の一部を給付しています。
助成の対象となるのは賃借料、器具備品購入費、広告費などの事業費、従業員の人件費、市場調査などの委託費で、助成率は2/3以内、助成上限額は400万円です。
参考:東京都産業労働局「東京都創業NET」
DXリスキリング助成金
東京都内の中小企業などに対し、従業員がDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する職業訓練を受ける際にかかる経費を助成する制度です。
対象となる訓練は、DXに関する専門的な知識や技能の習得などを目的とする訓練、資格を取得するための訓練で、なおかつ、外部講師を招いて社内で実施する訓練、民間の教育機関などが提供する集合・eラーニング訓練などです。助成対象となる経費には、受講料、教材費、eラーニングのための登録料や管理料などが含まれます。助成額は対象経費の2/3、助成上限額は64万円です。
また、申請の要件は次のとおりです。
・都内に本社や事業所の登記があること
・訓練費用を従業員に負担させていないこと
・国や地方公共団体などから助成を受けようとする訓練の助成を受けていないことなど
助成対象となる受講者は以下のとおりです。
・申請企業などの従業員
・常時勤務する事業所の所在地が東京都内である者
・総研修時間数の8割以上を受講した者
申請する企業の代表や個人事業主本人は助成対象になりません。雇用保険に加入している役員は助成対象者です。
令和6年度の交付申請書の受付期間は、2024年3月1日から2025年2月28日までです。
参考:公益財団法人東京しごと財団「DXリスキリング助成金」
大阪起業家グローイングアップ事業
大阪府で行われるビジネスプランコンテストで受賞した有望な起業家に補助金を給付するもので、優勝者には補助金100万円、準優勝2人以内に50万円を支給しています。
大阪府内で事業を営んでいる人や起業しようとしている人が対象の補助金制度です。補助対象の経費は、創業や新事業の展開にかかる経費で、申請時に未創業である場合は、交付決定日の翌日から起算して1年以内に創業しなければなりません。
2024年度に実施された「大阪起業家グローイングアップ第20回ビジネスプランコンテスト」の募集期間は2024年4月16日~6月18日まで、最終審査となるコンテストの開催日は8月27日でした。コンテストの出場者に選ばれると、事業計画のブラッシュアップを受けられる機会や、協賛企業による賞金の獲得機会を得ることもできます。
参考:大阪府「大阪起業家グローイングアップ事業」
地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ型)
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)と都道府県、金融機関などが一体となって資金を拠出する、中小企業などを支援する事業です。ファンドには、地域中小企業応援ファンドと農商工連携型地域中小企業応援ファンドの2種類があり、全国約23の都道府県の状況に応じて組成されています。各地域の中小企業支援機関などのファンド運営管理法人によって対象事業が採択されると、そのファンド運用益から資金の助成を受けることができます。
ファンドの対象者は、創業や商品開発、販路開拓などに取り組む中小企業などです。原則として返済の必要がなく、複数年にわたって資金を助成するファンドもあります。
参考:独立行政法人中小企業基盤整備機構「地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)」
助成金・補助金を活用する主なメリット3つ
助成金・補助金を活用する前に、どのようなメリットがあるのか、しっかり把握しておきましょう。補助金・助成金を活用するメリットは以下のとおりです。
●見返りや出資者からの干渉がない
親戚や知人などからの借り入れや提供で資金調達すると、事業への口出しや干渉、また出資に対する配当などの見返りを期待されるケースがあります。制度を利用すれば、干渉を受けず事業に集中できます。
●返済義務がない
資金を借り入れる融資と違い、返済の義務がないということが補助金・助成金制度の一番のメリットでしょう。小規模ゆえに不安定になる傾向の強い個人事業にとって心強い制度です。
●継続性がある
毎年申請できる補助金・助成金もあり、継続して受給することができます。
助成金・補助金を活用する主なデメリット3つ
メリットがある一方で、助成金・補助金にはデメリットもあります。以下に詳しく解説していきます。
●受給まで時間がかかる
書類提出から審査、受給までには時間がかかるため、すぐに資金を調達しなければならない場合は受給が間に合わない場合があります。
補助金は原則として補助事業の終了後に受け取ります。融資と違い、すぐに資金が手に入るわけではありません。
また、補助金であれば受給しにくいというデメリットもあります。助成金は要件を満たすことで受給できるのに対して、補助金は申請した事業が審査を通過しなければ受け取ることができません。しっかりとした申請準備が必要です。
●申請期限が決まっている
助成金は比較的長い申請期間が設けられますが、補助金の申請期間は1ヵ月程度と短いものもあり、申請準備の時間に猶予がないことが弱みといえます。
●事業状況の報告が必要なパターンがある
多くの場合、補助事業の終了後に、事業資金を何に使ったのか、経費内訳を報告し、受領されたのちに補助金を受け取る流れになります。また補助金の対象として認められる用途は制度で定められているので、事前にチェックしておきましょう。
助成金・補助金の申請・審査5つのポイント
助成金や補助金を受給するためには、その申請や審査を通りやすくするポイントがあります。以下に挙げたポイントを押さえて、しっかりと準備しましょう。
●事業内容に即した助成金・補助金を選ぶ
助成金や補助金は、資金の用途が決められています。受給した金銭を自由に使用できるわけではありません。自社が必要としている助成金・補助金であるかどうか、申請前に確認してください。雇用や労働環境に関する支援金であれば助成金、設備投資や商品開発などのための支援金であれば補助金を選択しましょう。
●申請の要件を満たしているか確認する
事業規模や事業活動の内容に関する要件の他に、労働環境についての要件も満たしているか確認しましょう。法の遵守、従業員との雇用契約、就業規則の作成などを正しく行っていることが申請の条件となる助成金・補助金制度も多くあります。
例えば、雇用関係助成金の受給要件には、雇用保険適用事業所の事業主であること、都道府県労働局・ハローワークなどから書類の提出を求められた際に応じることなどが含まれています。
●助成金や補助金の使用目的を明確にする
補助金をどう利用するのか、具体的に記載しましょう。「広告宣伝費〇〇万円」「新商品開発費〇〇万円」など詳細に明記しておきます。
●事業の優位性や将来性を書面でも口頭でもアピールする
補助金を支援するのに適していると判断してもらえるように、事業の価値を伝えることが必要です。競合他社製品に対して優れている点などを挙げ、自社の優位性をアピールしましょう。
また、「商品・サービスの需要見込みがどれほどあるか」や宣伝や販売体制など「市場で普及するまでのステップ」を示しておくことが大切です。
●申請書類や面接でのプレゼンに専門用語を使用しない
申請やプレゼンの場での説明は業界に詳しくない人が聞いてもわかることが前提です。専門性の強い用語は注釈をつけるなど気を配るようにしてください。丁寧に、具体的に表現しましょう。
フリーランス・個人事業主が利用できる免除・給付・支援制度
助成金や補助金の支給を受ける他にも、経営難に陥った際には、以下のような制度を利用することもできます。
・国民年金保険料の免除制度
・セーフティネット保証
・住居確保給付金
要件を確認して活用しましょう。それぞれについて、詳しくみていきます。
国民年金保険料の免除制度
収入の減少や失業などの理由により、国民年金保険料を納めることが困難な場合、保険料の免除や納付の猶予を受けられます。申請できるのは、納付期限から2年を経過していない期間の分です。なお申請書の提出は、原則として本人が行う必要があります。
申請書を提出しておくと、保険料の全額免除期間があれば、老齢年金の受取の際に全額納付した場合の額の1/2を受け取れます。また、保険料の免除や納付猶予を受けた期間中に、病気で亡くなるといった事態になったとしても、一定の要件に当てはまる場合は遺族年金などを受け取ることができます。
参考:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
セーフティネット保証
セーフティネット保証制度とは、取引先企業の事業活動の制限、突発的な災害、金融機関の破綻などにより経営の安定に支障が生じている中小企業に対し、保証限度額の別枠化等を行う制度です。保証料率はおおむね1%以内で、信用保証協会ごと、保証制度ごとに定められています。
制度を利用する際は、まずは金融機関に利用する保証制度や認定の相談・確認をします。それから事業所の所在地の市町村長に認定申請書を提出し、認定を受ければ、金融機関を通じて信用保証協会に保証の申し込みや融資の申し込みを行うことができます。
参考:中小企業庁「セーフティネット保証制度」
住居確保給付金
離職・廃業後2年以内、もしくは給与などを得る機会が離職・廃業と同じ程度にまで減少した場合、一定の要件を満たしていれば、家賃分の金額が原則3ヵ月間支給されます。ただし支給される金額は市区町村ごとに定められている額が上限です。給付金の支給が決定した場合、賃貸住宅の賃貸人や不動産事業者などへ、自治体から直接家賃が支払われます。
参考:厚生労働省「住居確保給付金」
個人事業主向けの助成金・補助金に関するよくある質問
個人事業主向けの助成金・補助金に関するよくある質問とその回答をご紹介します。
助成金・補助金を受給したい場合はどこに相談すればいい?
まずは国や各自治体のホームページを確認しましょう。厚生労働省のホームページには「雇用関係助成金」や「労働条件等関係助成金」の制度がそれぞれまとめられたページを見ることができます。助成金や補助金が検索できる民間企業などのWEBサイトを利用するのもおすすめです。また、自社に合った制度を知りたい場合、申請書類の作成サポートを受けたい場合は、専門家に相談するのも良いでしょう。
助成金・補助金をもらったら確定申告は必要?
課税対象となる助成金や補助金、給付金を受け取った場合は確定申告が必要です。受け取るのは、かかった経費や売上の減少に対応するための支援金です。売上に代わるもので、収入に計上すべきものであるため、原則、課税対象になる金銭だと考えましょう。ただし、事業とは関係のない、世帯への給付金などの場合は基本的に非課税です。
助成金・補助金と同様にビジネスカード活用もおすすめ
個人事業主が事業を安定的に進めていくために、事業資金をサポートしてくれるのが助成金と補助金です。給付される資金を何に使いたいのかをよく考え、要件を満たした助成金・補助金を申請し、起業・事業展開を円滑に進めましょう。
また、起業した際は支払いをビジネスカードに1本化することで複数のメリットがあります。個人事業主におすすめのビジネスカードは「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスⓇ・カード」や「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス®・カード」です。
支払い猶予が最長56日、ご利用額の増枠・一時増枠など、ビジネスにうれしい機能が充実しています。また、クレジットカードを会計ソフトと連携することで、会計処理や確定申告がスムーズに行うこともできます。以下に詳しいサービス内容をご紹介しています。ぜひご覧ください。
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