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個人事業主が活用したい補助金・助成金とは?種類とメリット・デメリットを解説!
今回は、個人事業主が利用できる補助金と助成金について、概要からメリット・デメリット、申請のコツを解説いたします。
補助金とは?助成金との違いは?
補助金や助成金は融資と違い、給付された資金の返済は必要ありません。それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
補助金の概要
補助金とは、事業者の取り組みを資金面でサポートするために、国や自治体などが設けている制度です。予算はあらかじめ定められており、受給には審査や抽選が必要です。
補助金と助成金の違いは?
国が支援する補助金と助成金は、受給できる枠の制限に違いがあります。
補助金は要件を満たしても受給できるとは限らない
補助金は一般的に申請後に審査があり、募集要件を満たしていても、必ずしも受給できるとは限りません。
たとえば、経済産業省の「ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」は起業促進、地域の活性化などを目的に新製品やサービスの開発費を補助するものですが、2021年10月までに4万1029の応募があり、1万7978件が採択されました。
助成金は要件を満たせば受給できる
助成金は基本的に要件を満たせば採択されます。
たとえば、厚生労働省は「雇用」に関することに助成金を用意し、雇用維持、人材育成、障がい者の雇用定着支援に努め、個人事業主などの事業経営をサポートし、雇用の維持や新規採用、人材育成などの促進へとつなげています。
その他の補助金と助成金
国の制度以外にも、都道府県などの自治体や民間団体、企業などが独自で給付する補助金・助成金があります。
自治体の補助金・助成金
自治体では、地域産業の活性化を目的に起業支援補助金や助成金を支給する制度を行っているところもあります。
・東京都・創業助成事業 ※1
東京都中小企業振興公社が一定の要件を満たす都内での創業予定者、または創業5年未満の中小事業者に対して、創業初期に必要な経費の一部を給付しています。
・大阪府・大阪起業家グローイングアップ事業 ※2
大阪府で行われるビジネスプランコンテストで受賞した有望な起業家に補助金を給付するもので、優勝者には補助金100万円、準優勝2名以内に50万円を支給しています。
参照:
※1 東京都創業NET
https://www.tokyo-sogyo-net.metro.tokyo.lg.jp/finance/sogyo_josei.html
※2 大阪府HP
https://www.pref.osaka.lg.jp/keieishien/start-apper/
民間の補助金・助成金
民間企業や財団でも、独自の補助金・助成金の制度を設けています。
地域産業の発展や次世代につながる優秀なビジネスプランに対して支給するものなどがあります。採択されるにはハードルが高いかもしれませんが、チャレンジしてみるのも良いでしょう。
個人事業主が申請できる主な補助金・助成金
個人事業主が活用したい、主な補助金と助成金を紹介します。新型コロナウイルス感染症の影響で事業を縮小せざるを得ない業種の事業者に対する助成金もありますので、確認しておきましょう。
主な補助金・助成金制度と概要
IT導入補助金 | デジタル化や自動化を進めることで生産性を上げると同時に労働環境を改善するためのITツール導入に対する補助金。 |
小規模事業者持続化補助金 | 販路拡大などを目的にした取り組みに対して給付される。2020年は最大200万円を補助した。 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 小規模事業者が、革新的なサービスの開発やその設備投資にかかる費用に対して支援される補助金。 |
雇用調整助成金 | 経済上の理由でやむを得ず事業縮小となった事業者が従業員の雇用維持を図るための助成金。「新型コロナウイルス感染症の影響」を受けた対象業種の事業主に特例措置が設けられた。 |
両立支援等助成金 | 仕事と家庭が両立できる職場環境づくりを目的とした企業の取り組みへの支援金。社員の育児・介護と仕事の両立を支える制度。 |
キャリアアップ助成金 | 企業内で行う、非正規雇用労働者に対してキャリアアップなどを促す取り組みに対する助成金。 |
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金 | コロナウイルス感染症の拡大防止のため、営業自粛要請に協力した事業者に対して支給する協力金。原則、地方公共団体が利用できるが、事業者向けの特別枠が設けられた。 |
補助金・助成金を活用するメリット・デメリットとは
補助金・助成金を活用するまえに、どのようなメリットとデメリットがあるのか、しっかり把握しておきましょう。
主なメリット3点
補助金・助成金を活用するメリットは以下のとおりです。
1.見返りや出資者からの干渉がない
親戚や知人などからの借り入れや提供で資金調達すると、事業への口出しや干渉、また出資に対する配当などの見返りを期待されるケースがあります。制度を利用すれば、干渉を受けず事業に集中できます。
2.返済義務がない
資金を借り入れる融資と違い、返済の義務がないということが補助金・助成金制度の一番のメリットでしょう。小規模ゆえに不安定になる傾向の強い個人事業にとって心強い制度です。
3.継続性がある
毎年申請できる補助金・助成金もあり、継続して受給することができます。
主なデメリット4点
補助金・助成金を活用するデメリットは以下のとおりです。
1.受給まで時間がかかる
書類提出から審査、受給までには時間がかかるため、すぐに資金を調達しなければならない場合は受給が間に合わない場合があります。
また、補助金は原則として補助事業の終了後に受け取ります。融資と違い、すぐに資金が手に入るわけではありません。
2.申請期限が決まっている
助成金は比較的長い申請期間が設けられますが、補助金の申請期間は1ヵ月程度と短いものもあり、申請準備の時間に猶予がないことが弱みといえます。
3.事業状況の報告が必要なパターンがある
多くの場合、補助事業の終了後に、事業資金を何に使ったのか、経費内訳を報告し、受領されたのちに補助金を受け取る流れになります。また補助金の対象として認められる用途は制度で定められているので、事前にチェックしておきましょう。
4.審査が厳しい
助成金は要件を満たすことで受給できるのに対して、補助金は申請した事業が審査を通過しなければ受け取れません。しっかりとした申請準備が必要です。
補助金・助成金の申請・審査のポイント
補助金や助成金を受給するためには、その申請や審査をとおりやすくするポイントがあります。以下に挙げたポイントを押さえて、しっかりと準備しましょう。
補助金や助成金の使用目的を明確にする
補助金をどう利用するのか、具体的に記載しましょう。「広告宣伝費〇〇万円」「新商品開発費〇〇万円」など詳細に明記しておきます。
事業の優位性や将来性を書面でも口頭でもアピールする
補助金を支援するのに適していると判断してもらえるように、事業の価値を伝えることが必要です。競合他社製品に対して優れている点などを挙げ、自社の優位性をアピールしましょう。
また、「商品・サービスの需要見込みがどれほどあるか」や宣伝や販売体制など「市場で普及するまでのステップ」を示しておくことが大切です。
申請書類や面接でのプレゼンに専門用語を使用しない
申請やプレゼンの場での説明は業界に詳しくない人が聞いてもわかることが前提です。専門性の強い用語は注釈をつけるなど気を配るようにしてください。丁寧に、具体的に表現しましょう。
まとめ
個人事業主が事業を安定的に進めていくために、事業資金をサポートしてくれるのが補助金と助成金です。給付される資金を何に使いたいのかを考え、要件を満たした補助金・助成金を申請しましょう。