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マーケティングにおけるセグメントの目的は?基本と活用事例を紹介
セグメントとは?
セグメントの目的
「セグメント(segment)」とは、部分や区分という意味。ある集団を何らかの基準によって分類した「区分」をセグメントと呼びます。
セグメントとセグメンテーションの違い
区分を指す「セグメント」に対し、「セグメンテーション」とは市場を「セグメントに分ける行為」を指します。例えば、「消費者を3つのセグメント(60歳以上、59~40歳、39歳未満)に分けて集客する」場合、年齢で市場を「セグメントすること」が「セグメンテーション」です。
セグメントとターゲットの違い
「セグメント」と似た言葉として、「ターゲット」があります。「ターゲット」とは、「セグメント」の中からさらに絞り込んだグループを指します。「セグメント」が似たような特性を持つ消費者であるのに対して、「ターゲット」はさらに詳細に区分された消費者といえます。
マーケティング戦略のフレームワーク「STP」分析の核
自社と消費者を結び付ける「STP分析」は、マーケティングの土台になるといわれています。下記で基本を押さえましょう。
・セグメンテーション
「セグメンテーション(Segmentation)」では、市場から類似したニーズや属性を持つ消費者をグループ化します。セグメンテーションは、見込み客が存在している市場を特定するのに向いています。
・ターゲティング
「ターゲティング(Targeting)」では、セグメンテーションによって分類した見込み客の中から、さらにアプローチ対象を明確にします。
・ポジショニング
「ポジショニング(Positioning)」では、市場における自社のポジション(立ち位置)を決めます。自社にしかないポジション(立ち位置)を見出すためには、競合他社の戦略や販売方法の分析が欠かせません。
マーケティングでセグメントが必要な理由
多様な顧客ニーズに対応するため
生活様式の多様化により、消費者のニーズはさらに複雑になっているため、ニーズや属性で区分をする「セグメント」が必要になってきます。
商品・サービス設計の指針になるため
「セグメント」が必要になるひとつに、消費者ファーストの商品・サービス設計が挙げられます。モノやサービスがあふれる今、商品・サービスは消費者から選ばれる立場に。企業が消費者のニーズを深掘りしてコンセプトが明確な商品を作る際にも「セグメント」は有効です。
マーケティングコストの最適化のため
大規模なマーケティング活動によって多額のコストをかけても、消費者のニーズに合っていなければ販売が不調に終わりかねません。見込み客を「セグメント」すれば、消費者個人に合わせた「One to Oneマーケティング」が可能になり、コストが最適化します。
セグメント実施に欠かせない4つの分類と条件とは
市場を区切る「セグメント」ですが、何を基準に区切れば良いのでしょうか?セグメントを実施するときに役立つ「4つの分類(基準となる切り口)」と、設定したセグメントが有効かどうかを調べる「4R」の詳細を見ていきましょう。
セグメントの4つの分類
・ビヘイビア変数
「ビヘイビア変数(行動変数)」では、「時間」「頻度」「経路」など、ユーザーの実際の購買行動の要素から分類してセグメントを行ないます。新規に出店するときや、コンビニなど利便性が求められるビジネスに使用されます。
・ジオグラフィック変数
「ジオグラフィック変数(地理的変数)」では、「国」「気候」「文化」「人口密度」など、地理的要素から分類してセグメントを行ないます。例えば、アメリカと日本では、生活習慣や気象条件が違うため、求められる商品・サービスも異なることが予想されます。
・デモグラフィック変数
「デモグラフィック変数(人口動態変数)」では、「性別」「年齢」「職業」「家族構成」など、人口動態の要素から分類してセグメントを行ないます。総務省でも使われているように、最も基本的な「セグメント」の設定に役立ちます 。
・サイコグラフィック変数(心理的変数)
「サイコグラフィック変数(心理的変数)」では、「性格」「趣味」「価値観」など、心理的要素から分類してセグメントを行ないます。見た目に現れないデータのため、最も分析が難しい変数ですが、うまく活用できれば思いもしなかった市場でヒット商品が生まれるかもしれません。
セグメントの4つの条件(4R)
・現実性(Realistic)
・到達可能性(Reach)
・反応(Response)
セグメントの活用事例
それではセグメントの事例をみていきましょう。自社のサービスに照らし、新しい切り口が見つかるかもしれません。
企業の活用事例
・活用事例1「大手家電メーカー」
従来、パソコンメーカーは、個人・法人向け共にスペックの高さで売り上げを競っていました。とある大手家電メーカーではビジネス層に「セグメント」を絞り、法人向けにフォーカスしたノートパソコンの開発に着手。「セグメント」に設定した外回りの営業担当者に、軽さやアフターサービスを重視したノートPCが受けて、大ヒットに結び付いています。
・活用事例2「大手電子機器メーカー」
従来、デザインは電子機器で重要視されていませんでした。ところが、とある大手電子機器メーカーではデザインに特化した電子機器を製作。電子機器にデザイン性を重視するという、新たな「セグメント」を生み出しました。普遍的なデザインの電子機器ではなく、おしゃれな電子機器という新しい価値の創出に成功しています。
・活用事例3「大手アイスクリームチェーン店」
従来のアイスクリームのターゲット層は、子どもや子育て世代の親でした。しかし、とある大手アイスクリームチェーン店では、高価でも高品質な食品を求める「セグメント」に気づき、高級アイスクリーム路線でマーケティングを実施。その結果、アイスクリーム市場において、新たな「セグメント」の確立に成功しています。
マーケティング手法での活用事例
・リスティング広告
検索キーワードに紐づく「リスティング広告」。検索キーワードごとに分類して、購買意欲の高い「セグメント」を割り出します。例えば、「梨 おすすめ」「梨 選び方」を比較すると、「梨 選び方」のセグメントの購買意欲が高いことがわかり、適切な広告費の配分ができるようになりました。
・ディスプレイ広告
閲覧履歴や行動履歴をもとに配信を行なう「ディスプレイ広告」。実際の購入者データから自社の商品・サービスが売れやすい「セグメント」を特定し、同じ「セグメント」に属する消費者にアプローチできます。例えば、自社の商品・サービスの購入者に「首都圏在住の26~30代女性」が多い場合、同一「セグメント」の消費者が好むWebサイトに広告を配信することで、効果的な広告運用が可能になります。
・コンテンツマーケティング
広告色を押さえた記事広告やノウハウ動画などで、自然な形で集客を促す「コンテンツマーケティング」。例えば、化粧品をアピールしたい場合、メイクアップのHOW TO動画をブログ記事に表示したり、自社が訴求したい20代後半女性の「セグメント」に属する消費者に、SNS広告を使ってブログ記事への訪問を促します。メイクアップの興味がきっかけとなり、セグメントに商品を知ってもらうことが可能となります。
市場が成熟した現代、セグメントは必要不可欠なものに
従来型のマスコミュニケーションでは、多様化する消費者のニーズに応えるのは難しくなりました。「セグメント」は、市場が成熟した現代、必要不可欠なものとなっています。事例で示したように自社のターゲットを呼び込むための「セグメント」をイメージできましたでしょうか?