更新日:
公開日:
資金繰り

ファクタリングとは?2社間・3社間の違いを図解でわかりやすく解説

  • Facebook
  • X
  • Line
ファクタリングとは?2社間・3社間の違いを図解でわかりやすく解説
会社を経営していると「ファクタリング」という金融サービスを耳にしたことがあるでしょう。ファクタリングは簡単にいうと、会社が保有する「売掛債権」を現金で買い取ってもらうサービスです。

会社の資金繰りを改善できることから注目が高まっていますが、なじみがない事業者も多いのではないでしょうか。

そこで今回はファクタリングの仕組みからメリット・デメリットについてわかりやすく解説します。最後に、クレディセゾンの売掛債権買取サービスも紹介します。

ファクタリングとは

ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってもらうサービスです。ファクタリングを利用した会社には売掛金から取引手数料を引いた現金が支払われます。

ファクタリングの歴史は長く、その起源は諸説ありますが16世紀頃のイギリスといわれています。元々は欧米で普及していた金融サービスであり、日本でも約50年前から存在していました。

長らく一般的に普及するには至らなかったファクタリングですが、2000年代以降、債権譲渡の法律が整備されたことにより、日本でも徐々に浸透してきました。現在では、さまざまな会社がファクタリングサービスを提供しています。

ファクタリングには5種類(タイプ)ある

ファクタリングには、主に5つの種類があります。

タイプ①「買取型」ファクタリング

売掛債権を売却して現金を調達する形式であり、一般的なファクタリングといえば「買取型」です。支配期日前の売掛債権を買い取ってもらうことで、スピーディーな資金調達が可能です。

タイプ②「保証型」ファクタリング

保証型ファクタリングは、売掛債権に保険をかけることであり、売却するわけではありません。つまり、売掛債権の支払いをファクタリング会社が保証するものであり、すぐに資金を調達するためのサービスではなく、売掛債権の未回収リスクを回避することが目的です。

タイプ③「一括」ファクタリング

一括ファクタリングは、ファクタリング会社、ファクタリング利用者(納入会社)、売掛先(支払会社)の3社間で契約を結び、売掛金の一括決済を行うものです。3社間ファクタリングの詳細は後述します。

通常のファクタリングは利用者(納入会社)が申し込みますが、一括ファクタリングの場合は売掛先である支払会社が主体となって申し込みます。支払会社にとっては、支払手形にかかる事務作業が不要になる点がメリットです。

タイプ④「国際」ファクタリング

貿易取引をする際に利用されるファクタリングであり、国内の輸出業者が海外へ輸出する際に、その製品(商品)を輸入する海外の業者から確実に代金を回収するために行われます。

・国内の輸出業者
・海外の輸入業者
・国内のファクタリング会社
・海外のファクタリング会社

上記のように4社間で取り引きされるのが特徴です。

タイプ⑤「医療」ファクタリング

医療機関が利用できるファクタリングです。通常、社会保険診療基金(社保)や国民健康保険団体連合会(国保連)から支払われる診療報酬は2~3ヵ月程度かかりますが、その診療報酬債権をファクタリング会社が買い取ることで早期に現金化することができます。

医療ファクタリングの対象は、病院やクリニックだけでなく、介護サービス事業者、調剤薬局といった医療従事者によって分けられており、以下の3種類があります。

・診療(医療)報酬債権ファクタリング
・介護報酬債権ファクタリング
・調剤報酬債権ファクタリング

【図解】2社間・3社間ファクタリングの仕組み・違いを比較

ここからはファクタリングの仕組みについて見てみましょう。ファクタリングには2社間と3社間の2種類の取引形態があり、それぞれで仕組みが異なります。

2社間ファクタリングの仕組み

2社間ファクタリングの仕組み

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社と売掛先が直接やり取りをしません。取引のフローは下記のとおりです。

➀ 売掛金が発生(売掛先に通知)
② 売掛債権をファクタリング会社に譲渡
③ ファクタリング会社が売却代金を支払う
④ 売掛先から売掛金が支払われる
⑤ 回収した売掛金をファクタリング会社に支払う

●2社間ファクタリングのメリット・デメリット

・メリット:スピーディーに資金を調達できる
・デメリット:手数料が高い(10%~30%)
 
2社間の場合、売掛先に承諾を得ずとも利用が可能なので、スピーディーに資金を調達できます。さらに、このあと紹介する3社間ファクタリングに比べて審査がやさしいことも特徴です。
スムーズに売掛債権を現金化したい場合や、ファクタリングの利用を売掛先に知られたくない場合は2社間ファクタリングが適しています。
 
ただし、3社間ファクタリングよりも手数料は高めになります(売掛金の10%~30%)。なぜなら売掛先を回収できないリスクが3社間よりも高いからです。
また、2社間ファクタリングを提供している会社は基本的に中小規模の会社であり、大手では基本的に提供していません。
 

3社間ファクタリングの仕組み

続いて、3社間ファクタリングの仕組みを見ていきましょう。

3社間ファクタリングの仕組み

3社間ファクタリングは、ファクタリング会社と売掛先との取引が発生します。取引のフローは下記のとおりです。

➀ 売掛金が発生(売掛先に通知)
② ファクタリングの利用・契約を承諾
③ ファクタリング会社と契約(売掛債権を譲渡)
④ ファクタリング会社が売却代金を支払う
⑤ ファクタリング会社が売掛先に通知
⑥ 売掛先から売掛金がファクタリング会社に支払われる

➀と②が逆になるケースもありますが、一般的には以上のようなフローになります。

●3社間ファクタリングのメリット・デメリット
・メリット: 手数料が低い(2%~20%)
・デメリット: 資金調達できるまでに時間がかかる

3社間ファクタリングの最大のメリットは手数料が2社間よりも低いことです(売掛金の2%~20%)。また、売掛金は売掛先からファクタリング会社へ直接支払われるので、利用者(自社)の手間は少なく済みます。
しかし、利用するには3社間での合意が必要となるため、資金調達までには時間がかかります。契約時も売掛先へ利用を打診、承諾を得ないといけない点にも注意しましょう。

2社間と3社間ファクタリングのメリット・デメリットまとめ

2社間ファクタリング 3社間ファクタリング
手数料 高い(10%~30%) 低い(2%~20%)
資金調達までの時間 短い 長い
売掛先への利用承諾 不要 必要となる

初心者には3社間ファクタリングがおすすめ

ファクタリングは2社間と3社間でそれぞれ一長一短がありますが、初めて利用する事業者におすすめなのは3社間です。理由は次の3つが挙げられます。

・大手企業がサービスを提供している
・取引の透明性が高い
・手数料が低い

ファクタリング会社の中には悪徳業者が存在しており、その多くが2社間ファクタリングを提供している中小規模の会社です。決して「2社間ファクタリング=悪徳業者」というわけではありませんが、3社間ファクタリングの方が大手企業が提供しているため、安全性は高いといえます。

資金調達までの時間はかかりますが手数料も低いので、初めて利用する場合は3社間ファクタリングがおすすめです。

ファクタリングのメリット

ファクタリングは事業者にとってさまざまなメリットがあります。

メリット➀ すぐに現金化できる

ファクタリング最大の特徴といえるのが、すぐに現金が手に入ることです。売掛金の支払い期日よりも前に資金化することで、突発的な出費にも対応でき、キャッシュフローの改善に役立ちます。サービスによっては、最短1日での現金化が可能なケースもあります。

メリット② 信用情報に悪影響がない

ファクタリングの利用は「借入」にならないため、信用情報に記録されることはありません。

銀行融資やビジネスローンでお金を借りると「負債」になり、決算書にも影響します。対して、ファクタリングは信用情報に悪影響を及ぼすわけではないので、以後の融資を受ける際の審査でもマイナスにはなりません。

メリット③ 銀行融資よりも審査がやさしい

ファクタリングを利用するには、審査に通らなければいけません。しかし、審査ハードルは銀行融資よりも低く、審査も最短即日で終わるケースもあります。
また、審査はファクタリング利用者(納入会社)と売掛先(支払会社)が対象となります。

メリット④ 担保&保証人なしで利用できる

ファクタリングは審査がやさしいだけでなく、銀行融資と違って、担保や保証人が必要ありません。ファクタリング会社が直接融資するわけではないので、銀行融資やビジネスローンとはその性質が根本的に異なります。

メリット⑤ 返済義務がない

ファクタリングは売掛先(取引先)が倒産したり、不渡りが生じた場合、その責任を利用者が負う必要がありません。つまり、返金義務がないのです。
もちろん、そういったことが起きないように審査では利用者の会社だけでなく、売掛先の会社も対象となります。
以上のメリットだけでなく、ファクタリングには次のようなデメリットもあります。

ファクタリングのデメリット

ファクタリングを利用する際は、デメリットについても把握しておきましょう。

デメリット① 手数料が発生する

ファクタリングを利用した場合、利用者は売掛金から手数料を引いた金額を受け取ることになります。そして、その手数料は銀行融資と比べて高いことに注意が必要です。

後述しますが、ファクタリングの取引形態には2社間と3社間があり、その取引形態によって手数料(率)は異なります。

デメリット② 売掛債権以上の資金は調達できない

当然ですが、ファクタリングを利用して調達できる資金は売掛債権の金額です。手数料がかかる分だけ、それよりも少なくなります。売掛債権以上の金額が必要な場合は、銀行融資やビジネスローンを利用しましょう。

デメリット③ 悪質業者が存在する

ファクタリングはまだ歴史が浅く、法整備が十分に行き届いていないのが現状です。そのため、中には悪質業者が存在することに注意しましょう。

ファクタリングを利用する上で、悪徳業者に引っかからないために見るべきポイントは次の2点です。

・手数料や契約条件が明示されているか
・会社の所在地や情報が明示されているか

ただし、中には上記2点を満たしている悪徳業者も存在します。知名度のある大手の会社を利用するのが安心でしょう。

ファクタリング利用時の注意点

ファクタリングを利用する場合は以下の点に注意しましょう。

①全体を通した注意点

注意点のひとつは手数料率です。手数料分だけ支払われる金額が減ってしまうファクタリングでは、手数料率の確認が非常に重要です。

手数料10%と20%での営業利益の違い
売上100万円、原価80万円の会社を例に、手数料率がいかに影響するかをみていきましょう。

<手数料率10%の場合>

売上 100万円
原価 80万円
粗利 20万円
ファクタリング手数料 10万円
利益 10万円

<手数料率20%の場合>
売上 100万円
原価 80万円
粗利 20万円
ファクタリング手数料 20万円
利益 0円

あくまで一例ですが、手数料次第では利益が0、場合によってはマイナスになる恐れがあります。特に、手数料率が粗利益率を上回る場合は利用しない方が良いでしょう。

ファクタリングは手数料の他にも、審査手数料や事務手数料が必要となる場合もあるので注意しましょう。

また、ファクタリングは即効性の高い資金調達方法ですが、利用期間中は収益が手数料分だけ減り続けることになります。できれば1~2ヵ月の短期間で、あくまでも「つなぎ」として利用するのがおすすめです。

②買取型の場合の注意点

買取型ファクタリングを利用する際には、いくつかの注意点があります。まず、取引先との契約内容を確認することが重要です。売掛債権をファクタリング会社に譲渡する場合、取引先に通知が必要な場合があります。また、契約上で債権譲渡禁止条項が含まれている場合、ファクタリングが利用できないケースがあるため、事前の確認が不可欠です。

次に、支払いは基本的に分割できないことにも留意しましょう。ファクタリングは売掛金の一括現金化を前提としているため、売掛先からの支払いが分割になる場合は不向きです。特に大口取引では、取引の条件を改めて確認しておきましょう。

さらに、不良債権は対象外である点も注意が必要です。ファクタリング会社は売掛先の信用力を審査基準とするため、支払いが困難なリスクがある債権は利用対象外です。不良債権を抱えている場合は別の資金調達方法を検討しましょう。

③保証型の場合の注意点

保証型ファクタリングには、現金化までに時間がかかるという特徴があります。これは、売掛先が実際に支払うまで保証会社は代金を立て替えない仕組みに起因します。具体的には、取引先が支払いを遅延して初めて保証型の利点が発揮されるため、即時の現金化を目的とする場合に保証型は適していません。

また、保証型ではファクタリング会社が売掛債権の保証をする代わりに、利用企業が売掛先の信用情報を提供する必要があります。審査においても取引実績や信用力が重視されるため、これらが不十分な場合には審査通過が難しくなるケースがあります。このように、資金調達までの時間や条件を事前に理解しておくことが重要です。

ファクタリングを利用する際の流れや必要書類は?

ファクタリングの利用を検討している場合は、以下の流れや審査基準、必要書類も理解しておきましょう。

ファクタリングの利用方法・流れ

ファクタリングを利用する場合の一般的な流れは以下のとおりです。

①申し込み
企業がファクタリング会社に申し込みを行います。この際、売掛債権の詳細(売掛先の情報や債権額)を提出します。必要書類として、請求書や契約書、決算書などが求められることが一般的です。

②審査
ファクタリング会社が売掛債権と売掛先の信用力を審査します。売掛先の支払い能力や過去の取引実績などが主な評価ポイントです。審査期間は通常1〜3営業日程度で完了します。

③契約
審査を通過すると、ファクタリング契約を締結します。この際、契約内容をよく確認し、手数料や支払い条件について納得しておくことが重要です。

④入金
契約が完了すると、売掛金が即座に現金化されて指定口座に振り込まれます。

ファクタリングの審査基準

ファクタリングの審査では以下のポイントが重視されます。

売掛先の信用度
売掛先の支払い能力や信用情報が最も重要な評価基準です。支払い遅延の有無や企業の財務状況が審査対象となります。

取引実績
売掛先との取引期間や取引金額も審査のポイントです。安定した取引関係がある場合、審査通過の可能性が高まるでしょう。

支払い期日までの日数
売掛債権の支払い期日が近いほど、リスクが低いと判断されます。逆に、支払い期日が遠い場合や長期間滞納されている債権は審査に通りにくくなります。

これらの基準を踏まえ、自社の状況に合った売掛債権を選んでファクタリングを申し込むことが重要です。

ファクタリングの審査や契約で必要な書類

ファクタリングの契約には、次のような書類が必要になります。

①登記簿謄本
②印鑑証明書
③決算書
④売掛先との契約書
⑤売掛金を証明できる書類(発注書、納品書、検収書など)
⑥銀行通帳

契約をスムーズに行うために、ファクタリング会社とコンタクトをとり、書類の不備がないよう注意しましょう。

ファクタリングをおすすめする企業

ファクタリングは手数料が発生するものの、売掛債権をすぐに現金化できるので資金繰りの改善に役立ちます。特に、次のような会社はファクタリングを利用するメリットが大きいといえます。

・突発的な資金難に陥っている
・銀行融資、ビジネスローン以外の手段で資金調達したい
・請求・回収業務に負担がかかっている

一時的な資金難により、会社やお店を畳むケースは少なくありません。それを回避する資金調達の方法としてファクタリングは非常に有効です。

また、銀行融資やビジネスローンと違って、信用情報に残りません。以後の融資の審査にも影響しないので、ファクタリングで少額(売掛金額)を一時的に準備して、それ以降の資金は銀行融資を利用するといった使い方も良いでしょう。

ファクタリングの活用シーン

銀行融資の審査が下りない時

どうしても資金が必要になった時、まずは銀行融資やビジネスローンを検討する事業者は多いでしょう。しかし、経営状態が良くないと審査に通らず、通ったとしても十分な資金を融資してもらえないことがあります。

そういった場合に、審査ハードルが低いファクタリングは非常に有効です。ファクタリングで調達した資金で資金繰りを改善できれば、そのあと銀行から融資を受けられる可能性も高くなるでしょう。

急に現金が必要になった時

ファクタリングの強みは「スピード」です。急に現金が必要になった時や、たとえ経営状態が順調であっても、資金ギャップが発生するタイミングなど一時的に苦しい時こそ利用を検討しましょう。

また、銀行などから融資を受けるほど必要なお金が少ない場合も、信用情報に残らないファクタリングはおすすめです。

「売掛債権買取」から「請求書発行」まで一括で請け負うセゾンインボイス

クレディセゾンでは、企業間取引における売り手企業の債権を買い取り、請求業務を代行するサービス「セゾンインボイス」を提供しています。取引形態は3社間ファクタリングに該当し、手数料は業界最低水準の1.5%~です。

「売掛債権買取」から「請求書発行」まで一括で請け負うセゾンインボイス

セゾンインボイスでできること

セゾンインボイスでは、一般的なファクタリングとは異なり、次の業務を一手に引き受けます。請求・回収業務まで行うので、利用者様の手間を大幅に削減できます。

・売掛債権買取
・請求書作成・回収業務代行
・法人及び個人事業主への請求

また、サービス形態としては比較的入金が遅いとされる3社間ファクタリングですが、セゾンインボイスでは最短7営業日の入金が可能です。
一般的に、請求から入金されるまでには1ヵ月以上かかるため、セゾンインボイスをご利用いただくことで、最大1ヵ月超の入金サイクルを早めることができます。

お申し込みの流れ

セゾンインボイスへのお申し込みの流れは以下のとおりです。

お申し込みの流れ

ご利用条件

買取可能額 10万円~
ご入金プラン・締日 ・7営業日後入金プラン
・翌々月10日(40日後)入金プラン
月額基本料金 12,100円(税込)
サービス利用登録費用 11,000円(税込)
手数料 プランにより異なる
※別途、お見積り

セゾンインボイスでは買取枠が10万円~となっているので、少額でもお申し込みいただけます。現在ファクタリングの利用を検討している事業者は、ぜひ「セゾンインボイス」をご活用ください。

>>セゾンインボイスの詳細はこちら
>>【お役立ち資料】「セゾンインボイス」効果別導入事例集