クラウドファンディングとは?仕組みや募集のやり方、メリット・デメリットをわかりやすく解説
この記事では、クラウドファンディングの仕組みや募集方式 、発起人・支援者それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
クラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、インターネットを利用して事業や活動などの資金調達を不特定多数の人々から行うことをいいます。「群衆(crowd)」と「資金調達(funding)」を組み合わせた造語です。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、国内のクラウドファンディングの市場規模は1,642億円超(2021年度)と推計されており、新しい資金調達手段として注目を集めています。
出典:国内クラウドファンディング市場の調査を実施(2022年)
クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディングは、クラウドファンディングサイトを通じて行います。発起人がサイトにアイディアを掲載し、それを見て応援したい支援者が資金を提供する仕組みです。図に表すと下記のようになります。

クラウドファンディングの特徴として、成功時のみ手数料が発生すること、返済の必要がなく代わりにリターンを提供すること、マーケティング効果も期待できること、支援者との直接的なコミュニケーションが可能であることが挙げられます。これらの特徴により、クラウドファンディングは新しいアイデアや事業を実現するための有効な手段として注目されています。
クラウドファンディングの歴史
クラウドファンディングは、2000年代にアメリカでスタートしました。インターネット決済の普及とともに広まり、資金調達方法のひとつとして定着しています。
日本で初めてサービスが開始されたのは2011年です。東日本大震災の復興支援に向けた資金調達に活用されたことから注目を集めるようになり、さまざまなサイトやサービスが誕生し現在に至ります。
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングは募集方式やリターンの提供方法により、大きく以下の6種類に分類されます。
①購入型クラウドファンディング
購入型は、支援者がプロジェクトに出資することで、リターンとして商品やサービスを受け取るものです。支援者は商品やサービスなどを購入する感覚で支援ができます。国内のクラウドファンディングの主流です。
募集方式には、「All or Nothing(オール・オア・ナッシング)方式」と「All in(オール・イン)方式」のふたつがあります。
All or Nothing方式は、支援額が発起人の設定した目標額に達した場合にのみ、資金調達が実行されます。目標に達しなかった場合は、1円の資金も調達ができません。
All in方式は、目標額に達しなかった場合でも資金調達が可能ですが、プロジェクトの実施を確約することが必要です。
購入型クラウドファンディングでは、支援額に応じて異なるリターンを設定することが一般的です。例えば、3,000円の支援では製品1つ、10,000円では製品に加えて特典グッズ、30,000円では限定カラーの製品と製作者との面談権など、段階的に魅力的な特典を用意します。
②寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングは、社会課題の解決を目的とした資金調達方法です。NPO法人、公益財団法人、自治体、学校法人など公益性の高い団体が主な実施主体となります。
金銭的なリターンは発生しませんが、支援への感謝として活動報告や写真、手紙などが送られることが一般的です。被災地支援や社会的弱者支援など、社会貢献度の高いプロジェクトに活用されており、支援先によっては確定申告による所得控除または税額控除の対象となります。
寄付型クラウドファンディングでは、支援金額の使途を明確に示すことが重要です。例えば、1,000円の支援で苗木1本の植樹が可能、5,000円で途上国の子ども1人に1ヶ月分の給食を提供できるなど、具体的な金額と成果の関係を示すことで、支援者は自身の寄付がどのように活用されるかをイメージしやすくなります。
③貸付型クラウドファンディング
融資型は、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれ、運営会社が個人投資家から集めた資金を企業に融資する仕組みです。
リターンは事前に設定された利息と元本であり、運営会社が仲介するため保全性が高いことが特徴です。価格変動がなく安定的なリターンが期待できるため、投資初心者でも取り組みやすい投資方法として注目されています。
④ファンド型クラウドファンディング
ファンド型は、特定の事業に対して出資者を募り、事業の成果に応じた配当を得る仕組みです。匿名組合契約による出資形態をとり、売上や利益に応じた分配金をリターンとして受け取ります。
商品やサービスなどの特典が付く場合もありますが、金融商品取引法の規制対象となるため、運営会社には厳格な管理が求められます。プロジェクトの成否によりリターンが変動するため、投資にはリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
⑤株式型クラウドファンディング
株式投資型クラウドファンディングは、非上場株式の発行を通じた資金調達制度です。創業間もないベンチャー企業が、インターネットを通じて多くの投資家から少額ずつ資金を募る仕組みとなっています。
ハイリスク・ハイリターンの投資商材であるため、投資家保護の観点から厳格な規制が設けられています。投資家は、IPO(株式上場)やM&A(企業買収)の際に株式を売却することで、投資額の数倍のリターンを得られる可能性があります。
⑥ふるさと納税型クラウドファンディング
ふるさと納税型クラウドファンディングは、自治体が抱える具体的な課題や地域活性化プロジェクトに対して、ふるさと納税の仕組みを活用して資金を募る制度です。従来のふるさと納税と異なる点は、寄付金の使途が具体的なプロジェクトとして明確に示されることです。
寄付者は支援したい具体的なプロジェクトを選んで寄付することができ、返礼品の有無も選択可能です。これにより、より直接的に地域貢献を実感できる仕組みとなっています。プロジェクトの進捗状況や成果も随時報告されるため、寄付金の活用状況を具体的に確認することができます。
クラウドファンディングのメリット・デメリット

クラウドファンディングのメリット・デメリットを発起人(資金調達実行者)・支援者(投資家)別に解説します。
【発起人】クラウドファンディングのメリット
発起人にとっての大きなメリットは、支援者を獲得できれば多額の資金調達ができることです。クラウドファンディングサイトを通じて資金を募るため、自身のプロジェクトについて広く認知され、宣伝効果も期待できます。
また、現金以外のリターンも設定することが可能です。まだ市場に出ていない製品やサービスをリターンとして提供したり、プロジェクトへの思いを共有したりすることで、ファン獲得にもつながるでしょう。
そして、クラウドファンディングはあくまでも出資のため、貸付型を除き返済義務がないこともメリットです。対象のプロジェクトの実施義務はありますが、万が一失敗しても大きな負債を抱えるリスクがありません。
【支援者】クラウドファンディングのメリット
クラウドファンディングの内容は、事前に運営サイトによって一定の審査を受けたものです。実施サイトに詳細が公表されて事業やプロジェクトの透明性が確保されているため、内容をよく検討したうえで出資ができます。
また、単に出資したら終わりではなく、発起人の活動報告が見られたり、コミュニケーションが取れたりすることもクラウドファンディングならではのメリットです。
【発起人】クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディングはプロジェクト内容を広く公開しますので、同業者から事業を模倣される可能性があります。これは新規のアイデアを事業化したい方にとっては注意すべきデメリットです。
また、プロジェクトが頓挫した場合にはその事実も公開されるため、社会的な信用が低下するリスクがあります。
クラウドファンディングでの資金調達は時間がかかります。「All or Nothing」方式で実施する場合、目標金額に到達しない場合には資金を調達できないことも頭に入れておきましょう。
【支援者】クラウドファンディングのデメリット
クラウドファンディング実施の流れ
クラウドファンディングは、起案者と支援者でそれぞれ異なる流れで延長します。 以下、それぞれの具体的な手順を解説します。
起案者の実施手順
①プラットフォームの検討
サイトによって得意とするプロジェクトの傾向が異なるため、自分自身を慎重に検討します。
②プロジェクトページの作成
目標金額、支援者へのリターン、プロジェクトの詳細な説明など、必要な情報を載せたページを作成します。
③運転する
プロジェクトページを公開し、設定した期間内でのご支援を募集しております。
④プロモーション活動
募集期間中は積極的な情報発信を行い、プロジェクトの認知度を高めます。
⑤プロジェクトの実行
集まった資金でプロジェクトを実施し、支援者へリターンを提供します。
支援者の参加手順
①プロジェクトの閲覧
クラウドファンディングサイトで興味のあるプロジェクトを探しています。 ②コンテンツの
確認
プロジェクトの詳細とリターンの内容を確認します。
③サポート
サポートを決定し、サイト上で決済を行います。
進捗確認
プロジェクトの進捗状況を活動報告などで確認します。
⑤帰りの受け取り
プロジェクト完了後、設定されたリターンを受け取ります。
このように、クラウドファンディングは開始案者と支援者がそれぞれの役割を果たしながら、一つのプロジェクトを実現していく仕組みです。
クラウドファンディングの成功のコツ
クラウドファンディングの成功は偶然ではなく、戦略的な計画と実行の結果です。以下に、成功に導くための重要なポイントを解説します。
競合ジャンルの徹底調査を行う
過去の成功事例や現在進行中のプロジェクトを徹底的に調査し、実現可能な目標金額や効果的なアプローチ方法を把握します。特に同じジャンルのプロジェクトを分析することで、現実的な目標設定が可能になります。
また、成功したプロジェクトの更新頻度やコミュニケーションスタイルにも注目します。特に支援者からのコメントや質問への返答方法、進捗報告のタイミングなど、具体的な運営方法を参考にすることで、より効果的なプロジェクト運営が可能になります。
プロジェクトの内容を深堀する
プロジェクトの目的、独自性、実施背景、必要金額の根拠など、支援者への説得力のある説明を準備します。特に「なぜあなたがこのプロジェクトを実施するのか」という背景やストーリー作りが重要です。
特に重要なのは、資金の使途を具体的な数値とともに説明することです。「試作品製作に50万円」「広告費に30万円」というように、支援金額がどのように活用されるのかを明確に示すことで、支援者の信頼を得やすくなります。
支援者心理を理解して適正な目標を立てる
支援者は達成可能と感じる目標に対して投資しやすい傾向があります。まずは現実的な目標を設定し、達成後はストレッチゴール機能を活用して更なる展開を図ります。
具体的には、初期目標を達成した後に「第二目標として○○を実現」「さらなる支援で△△機能を追加」といった具合に、段階的な目標設定を行うことで、支援者の期待感を維持することができます。
リターン設定を工夫し、限定性をアピールする
写真や動画を活用し、リターンの具体的なイメージを明確に提示します。限定版グッズやイベント招待など、プロジェクト独自の特別感のあるリターンを用意することで、支援意欲を高めます。
また、支援金額の設定には心理的価格帯を意識することも重要です。例えば3,000円、5,000円、10,000円といった区切りの良い金額に設定し、それぞれの価格帯で支援者が納得できる価値を提供することを心がけます。
支援者へ進捗報告を実施する
プロジェクト開始後は、最低週1回の進捗報告を実施します。メール、SNS、プラットフォームのメッセージ機能など、複数のツールを活用して支援者との関係を維持します。
特に重要な局面(試作品完成、量産開始、発送準備など)では、写真や動画を交えた詳細な報告を行うことで、支援者の期待感を高めながら信頼関係を構築することができます。
SNSや口コミ、有料広告などの媒体を活用する
SNSや口コミなどの無料媒体と、有料広告を組み合わせた多角的な宣伝戦略を展開します。特にSNSでは定期的な情報発信を行い、プロジェクトの認知度向上を図ります。
これらのポイントを押さえることで、クラウドファンディングの成功確率を高めることができます。
主要クラウドファンディングサイトの比較と選び方
クラウドファンディングを成功させるには、プロジェクトの特性に合ったプラットフォームを選択することが重要です。主要なプラットフォームの特徴を比較しながら、最適な選択方法を解説します。
企業が運営する主なプラットフォームの比較
主要プラットフォームの特徴を以下で紹介します。
・Makuake(マクアケ)
商品開発に特化したプラットフォームで、特にプロダクト系の案件に強みを持っています。ビジネス志向の支援者が多く、商品化を目指すプロジェクトに適しています。
・CAMPFIRE(キャンプファイヤー)
日本最大級のプラットフォームで、アート、音楽、食品、テクノロジーなど、あらゆるジャンルのプロジェクトに対応しています。個人から企業まで幅広い層が利用可能です。
・READYFOR(レディーフォー)
社会貢献型プロジェクトに強みを持つプラットフォームです。教育、医療、環境保護など、社会的課題の解決を目指すプロジェクトとの相性が良いです。
複数のプラットフォームでの同時展開も可能ですが、その場合は各プラットフォームの特性を活かした異なるアプローチを検討することをおすすめします。
●比較項目
クラウドファンディングサイトの主要な比較項目について解説します。
● 手数料
● サポート体制(プロジェクト公開後のフォロー体制など)
● 支援者の決済方法
● マーケティングサポート
サポート体制は各社で特徴が異なります。プロジェクト申請後から専任担当者が付き、作成から公開までの一貫したサポートを提供している企業もあったり、商品開発に特化した専門的なサポートが特徴という企業だったり、社会貢献プロジェクトに強みを持つ専任担当者による手厚いサポートを行っている企業もあります。支援者層については、登録ユーザー数や属性、関心などの項目で把握することができます。
プロジェクトページ公開後のフォローアップ体制も重要な比較項目です。進捗報告のタイミングや、支援者とのコミュニケーション方法について、プラットフォームごとに異なる特徴があります。
決済方法の多様性も考慮すべき点です。クレジットカード決済だけでなく、コンビニ決済やスマートフォン決済など、幅広い決済手段に対応しているプラットフォームは、より多くの支援者を獲得できる可能性が高くなります。
マーケティングサポートの内容も比較すべき重要項目です。プロジェクトページのSEO対策や、プラットフォーム内での露出機会の確保、メディア掲載のサポートなど、各社独自のマーケティング支援策を提供しています。成功実績の高いプラットフォームは、効果的なプロモーション戦略のノウハウを蓄積しており、それらを活用することで成功確率を高めることができるでしょう。
プロジェクトに合ったサイトの選び方
クラウドファンディングサイトの選択は、プロジェクトの成否を左右する重要な要素です。以下の観点から、最適なプラットフォームを選びましょう。
・プロジェクトの特性による選択
個人・法人の区別なく利用できるのが基本ですが、法人の場合は実績や知名度を活かせるMakuakeが、個人の場合は幅広いジャンルに対応するCAMPFIREが適しています。
・プロジェクトの規模による選択
目標金額の大きさによって適したプラットフォームが異なります。大規模プロジェクトはビジネス志向の強いMakuakeが、比較的小規模なプロジェクトはCAMPFIREが向いています。
・プラットフォームの特性による選択
各プラットフォームには得意分野があります。例えば、社会貢献型プロジェクトはREADYFORが、商品開発系はMakuakeが強みを持っています。支援者層との相性を考慮することが重要です。
・サポート体制の充実度
初めてクラウドファンディングを実施する場合は、手厚いサポートのあるプラットフォームを選ぶことをお勧めします。経験者の場合は、コストを抑えられる基本的なサポートプランも検討できます。
クラウドファンディングの最新トレンド
クラウドファンディングは、時代とともに新しい活用方法や成功事例が生まれています。ここでは、国内外の最新トレンドと注目すべき動向について解説します。
日本国内での成長分野
日本のクラウドファンディング市場は急速に拡大しており、2022年には2,000億円近くまで市場規模が成長しています。特に注目すべき成長分野として以下が挙げられます。
地方創生プロジェクトの活性化が進んでおり、ふるさと納税の仕組みを活用した自治体主導のプロジェクトが増加しています。また、環境保護や社会課題解決型のプロジェクトも注目を集めています。
海外市場での成功事例
グローバルなクラウドファンディング市場は着実な成長を続けており、2032年までに429億ドルに達すると予測されています。
特に注目される成功事例として、アメリカのMercury Technologiesは、2021年のシリーズB調達で約138億円を調達し、そのうち約5.8億円を株式型クラウドファンディングで集めることに成功しました。この事例は、ユーザーを投資家として巻き込む新しい資金調達モデルとして注目されています。
また、再生可能エネルギー企業のHeliogenは、クラウドファンディングで約2億円を調達した後、2021年に2,600億円の評価額で上場を果たし、個人投資家が支援したユニコーン企業の成功事例となりました。
このように、クラウドファンディングは従来の資金調達方法を補完する重要な手段として、グローバルで着実に成長を続けています。
資金調達におすすめの他サービスの紹介
クラウドファンディングは、不特定多数の人から広く資金を調達できる手段です。事業や活動への共感を得ながら資金調達が叶うのみならず、宣伝やファン獲得にもつながるなど、さまざまなメリットがあります。資金調達を行う場合には、自社にあった方法で実施しましょう。
ただし、確実に資金調達ができない場合もあるので、クラウドファンディング以外の資金調達方法も検討しておきましょう。
クラウドファンディング以外の資金調達方法として、日本政策金融金庫・制度融資などの政府や自治体が提供している融資制度や、銀行から融資など多種多様な方法があります。具体的な方法は資料をご参考ください。
>>中小企業の資金調達まるわかりガイド
また、クレディセゾンが展開するビジネスサポートローンもその一つです。ビジネスサポートローンは、中小企業や個人事業主向けの低金利融資サービスで、担保や保証人が不要な点が特徴です。