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財務・経理

源泉徴収税額とは?計算方法や納付方法について解説

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源泉徴収税額とは?計算方法や納付方法について解説

給与や報酬などを支払う事業者が、支払いの際にあらかじめ所得税などを差し引き、受け取る側に代わって国に納めることを源泉徴収といいます。源泉徴収税額とは、この差し引いて納める金額のことです。源泉徴収という言葉は知っていても、源泉徴収税額の具体的な計算方法や納付方法を詳しく知らない方も多いかもしれません。
今回は、源泉徴収税額について、計算方法やフロー、納付方法などについて解説しますので、正しく納付するためにぜひ参考にしてください。


この記事を読んでわかること
・源泉徴収税額とは、従業員に給与などを支払う際にあらかじめ差し引く税金のこと
・源泉徴収税額計算には、「源泉徴収税額表」を用いる
・源泉所得税の納付方法は現金、クレジットカード、e-Taxのダイレクト納付、e-Taxのインターネットバンキング納付の4つ

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源泉徴収税額とは

源泉徴収税額とは

源泉徴収税額とは、従業員に給与などを支払う際にあらかじめ差し引く税金のことです。雇用主が税務署に納め年末調整を行うことで、過不足分の調整を行います。
ここでは、源泉徴収税額について概要をご紹介します。

源泉徴収税額とは

源泉徴収税額とは、企業が従業員に給与などを支払う際に、あらかじめ差し引く所得税と復興特別所得税のことです。毎月の給与から少しずつ所得税を差し引き、従業員に代わって雇用主が税務署に納め、1年の最後に年末調整を行うことで所得税の過不足を調整します。
本来、所得税は個人の所得に課される税金です。納税義務者が年に1回確定申告を行い税務署に1年間の所得と納税すべき金額を報告し、納税するのが原則です。
これに対し源泉徴収税額は、給与所得者の所得税を雇用主である企業が本人に代わって計算し、国に納める点で違いがあります。

源泉徴収の仕組み

給与や賞与、退職金などの所得に対しては所得税が課せられ、本来なら納税義務者自身が所得金額の申告を行います。しかし、企業に勤める給与所得者の場合、雇用主である企業が給与や賞与から支払いを行うべき所得税分の金額を差し引き、本人に代わって国に納付するのが一般的です。
このように給与や賞与から天引きして納税する仕組みが源泉徴収制度であり、基本的には事業を行う企業はすべて源泉徴収を行う義務があります。
源泉徴収の対象となる給与所得者は、給与からあらかじめ所得税を差し引かれます。そのため、給与所得以外に一定の収入がある場合や医療費控除の申告など、特定の事情がある場合以外は確定申告を行う必要はありません。

源泉所得税の納付期限

源泉所得税には納付期限があります。源泉所得税は原則として、給与や報酬などを支払った月の翌月10日までに国に納付しなければなりません。
ただし、給与などを支給する人員が常時10人未満の場合は特例があり、源泉徴収した所得税・復興特別所得税を半年分まとめて納付できます。この特例が適用されると、その年の1~6月までに源泉徴収した源泉所得税は7月10日、7~12月までに源泉徴収した分は翌年1月20日がそれぞれ納付期限です。
源泉所得税の納付が遅れると、ペナルティとして不納付加算税が課される可能性がありますので注意が必要です。税率は納付すべき税額の10%が原則ですが、税務署から指摘される前に納税した場合は5%に減額されます。

源泉徴収税額の計算方法

源泉徴収税額の計算方法

給与や報酬などから差し引く源泉徴収税額については、雇用主が税額を計算し納付しなければなりません。計算にあたっては所得税法で定められる「源泉徴収税額表」を用います。
ここでは、源泉徴収税額表の概要や見方、源泉徴収税額の計算シミュレーションなどをご紹介します。

源泉徴収税額表とは

給与や報酬などから差し引く源泉所得税は支払者(雇用主)が税額を計算し、徴収して納付する必要があります。計算の際に用いられるのが、所得税法により定められる「源泉徴収税額表」です。給与などの額に応じて容易に税額を計算できるよう、毎年国税庁により用意されています。
月給制の場合は「月額表」、日払いや週払いの場合は「日額表」を利用します。

源泉徴収税額表の見方

源泉徴収税額表では、以下の項目別に源泉徴収税額が定められています。

・その月の社会保険料等控除後の給与等の金額
・扶養親族等の数

例えば、社会保険料等控除後の月額給与金額が25万円で扶養家族が1人の場合、令和4年分源泉徴収税額表の月額表によると、源泉徴収税額は4,920円です。

源泉徴収税額の計算方法

弁護士報酬や原稿料など、個人事業主に対する報酬や料金などから徴収する源泉徴収税額は、1回に支払う額が100万円を超えるか否かで税率が変わるため注意が必要です。

・100万円以下:支払金額の10.21%
・100万円超:100万円を超えた部分については20.42%

100万円以下と100万を超える場合に分けて、具体的にシミュレーションしてみましょう。

・1回の支払金額が100万円以下
1回の支払金額が100万円以下の場合、以下の計算式で源泉徴収税額を求めます。

源泉徴収額=支払金額×10.21%

例えば、報酬が80万円の場合、源泉徴収税額は「80万円×10.21%=8万1,680円」です。

・1回の支払金額が100万円超
1回の支払金額が100万円超の場合、以下の計算式で源泉徴収税額を求めます。

源泉徴収税額=100万円×10.21%+(支払金額–100万円)×20.42%

例えば、報酬が120万円の場合、源泉徴収税額は「100万円×10.21%+ 20万円×20.42%=14万2,940円」です。

源泉徴収税額を計算する際の注意点

源泉徴収税額を計算する際には、提出された申告書類に不備が無いか細かく確認しましょう。申告内容に誤りがあると、本来納付すべき税額とずれてしまいます。
また、給与所得者(従業員)の扶養親族がアルバイトなどで収入を得ている、または年金受給者である場合などは、扶養控除の範囲を超えるケースがある点に注意が必要です。収入額や年金受給額が扶養控除の範囲を超えていないか確認しましょう。
加えて、居住地によって処理が変わる点にも注意が必要です。具体的には国内に居住しているかどうかによって変わります。例えば、海外支店に勤務している間に退職し、そのまま退職金を受け取る場合には処理を変えなければなりません。

源泉徴収のフロー

源泉徴収のフロー

源泉徴収は、以下のフローで行われます。

1. 扶養親族の人数を確認
2. 社会保険料を差し引いた所得税額を計算
3. 所得税額を差し引いた給与額を計算
4. 徴収した所得税を税務署に納税
5. 従業員等に源泉徴収票を発行する

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

扶養親族の人数を確認

まず行うべきなのは、扶養親族の人数の確認です。源泉徴収税額表では、扶養親族の人数によって源泉徴収税額が定められています。
扶養親族の人数は、給与所得者(従業員)が毎年提出する「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で確認してください。加えて、源泉徴収税額を確認するために源泉徴収税額表を準備しましょう。

社会保険料を差し引いた所得税額を計算

次に、課税対象額を算出するために社会保険料を差し引いた所得税額を計算します。この際も源泉徴収税額表を用います。
源泉徴収税額表は給与額ごとに区切られ、扶養親族の人数に応じた所得税額が記載されています。該当する給与額と扶養親族の人数を参照し、最終的な源泉所得税額を決定するわけです。
月額給与の場合は月額表、日払い・週払いの場合は日額表を用いて確認してください。

所得税額を差し引いた給与額を計算

源泉所得税額を確定したら、次に給与額を計算しましょう。具体的には、源泉徴収税額と社会保険料を差し引いた金額が給与額となります。
また、労使協定により社宅の家賃や財形貯蓄など控除額がある場合は、忘れずに差し引いてください。

徴収した所得税を税務署に納税

続いて、徴収した源泉所得税を税務署に納付します。源泉所得税は、原則として翌月10日までに税務署に納付しなければなりません。
納付の際には、「源泉所得税の所得税徴収高計算書(納付書)」を使用します。納付書は管轄の税務署の他、金融機関などにも備え付けられているので、あらかじめ準備しておきましょう。納付書には、源泉徴収の対象となる従業員の人数や給与総額、源泉徴収税額などを記載する欄があるので、正確に記入してください。
納付書の記入を終えたら、管轄の税務署または金融機関の窓口で納付します。金融機関によっては専用の伝票に記載する必要があるため、窓口で確認してください。納付期限に遅れると、ペナルティとして不納付加算税が課される可能性がありますので注意が必要です。

従業員等に源泉徴収票を発行する

源泉徴収後、給与支払報告書として作成されるのが「源泉徴収票」です。一般的には、年末調整業務の流れの中で発行します。
年末調整の業務の最後に必要な法定調書の作成と提出期限が毎年1月31日までとなっているため、源泉徴収票は年末調整が終わった1月末までに作成し、交付することが法律で定められています。
ただし、弁護士等に対する報酬や原稿料、講演料などからの源泉徴収については、法律上、源泉徴収票の発行義務はありません。

源泉徴収した所得税(源泉所得税)の納付方法

源泉徴収した所得税(源泉所得税)の納付方法

源泉所得税の納付方法は、以下の4種類です。

・現金納付
・クレジットカード納付
・e-Taxのダイレクト納付
・e-Taxのインターネットバンキング納付

現金納付

管轄の税務署または金融機関の窓口で現金による納付が可能です。手数料はかからず、領収証書が発行されます。
納付金額が30万円以下であれば、コンビニ納付用のバーコード付納付書やQRコードを使って、コンビニから現金納付することも可能です。領収証書は発行されませんが手数料はかからず、払込金受領証を受け取れます。

クレジットカード納付

国税クレジットカードお支払いサイトにて、クレジットカード納付も可能です。この場合、納税金額に応じて決済手数料がかかり、領収証書は発行されません。
クレジットカード納付には、「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレスⓇ・カード」の利用がおすすめです。ビジネスシーンの支払いを一本化でき、経費管理や業務効率化に役立ちます。

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e-Taxのダイレクト納付

e-Taxでダイレクト納付口座の届出を行い、管轄の税務署または利用する金融機関に届出書を提出することで、e-Taxでの申告後に預貯金口座から振替による納付が可能です。
手数料はかかりませんが領収証書は発行されません。

e-Taxのインターネットバンキング納付

e-Taxの利用開始手続きを行うことで、インターネットバンキング経由の納付が可能です。金融機関でインターネットバンキングの契約が済んでいればログインして納付できます。
必要なのは以下の2点です。

・e-Taxの開始届出の提出
・インターネットバンキングまたはモバイルバンキングの口座開設

手数料はかかりませんが領収証書は発行されません。

源泉徴収と年末調整の違い

源泉徴収と年末調整の違い

源泉徴収と混同されやすいのが、「年末調整」です。源泉徴収は給与から天引きされる暫定の所得税の徴収であり、年末調整は1年間を通した所得税額を確定する点で違いがあります。
年末調整により所得税を支払いすぎていることがわかれば、正しい所得税額との差額が還付されます。逆に不足していると、さらに所得税を支払わなければなりません。月額給与所得者の場合、毎月源泉徴収され、年末調整が行われることで所得税の納付を行います。

給与以外の源泉徴収

給与以外の源泉徴収

源泉徴収の対象となるのは給与だけではなく、それぞれ適切な方法で源泉徴収を行わなければなりません。例えば、以下のような場合が挙げられます。

・賞与の源泉徴収
・退職金の源泉徴収
・支払い報酬の源泉徴収
・支払い配当金の源泉徴収

それぞれについて見ていきましょう。

賞与の源泉徴収

一般的に、賞与の源泉徴収については、前月の賞与から社会保険料を差し引き、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率を求めます。
賞与の金額が前月給与の10倍を超える場合は、賞与から社会保険料を控除した額の6分の1と前月給与から社会保険料を控除した額を合算し、月額表に当てはめて税額を確定します。その後、前月給与に対する源泉徴収税額を差し引き、6を掛けた金額が賞与から源泉徴収する金額となります。
前月に給与の支払いがなかった場合は、賞与から社会保険料を控除した額の6分の1を月額表に当てはめて税額を確定し、その額に6を掛けた金額が賞与から源泉徴収する金額となります。

退職金の源泉徴収

退職金の源泉徴収も、給与所得とは算出方法が異なります。 退職金は、一時金であれば退職所得、年金方式であれば雑所得となり、通常の所得に比べて控除などの恩恵を受けられ、税負担の軽減が可能です。
ただし、控除を受けるためには雇用主に対し「退職金受給に関する申告書」を提出しなければなりません。提出しないと一律20%の所得税が課されるため注意してください。確定申告により、還付や追加納税は可能です。

支払報酬の源泉徴収

原稿料や弁護士等への支払報酬など、個人事業主に対する報酬や料金などから徴収する源泉所得税額は、支払金額の10.21%が原則です。ただし、1回に支払われる金額が100万円を超えた場合、超えた部分の税率は20.42%になるため注意してください。具体的な算出方法は、前述の通りです。

支払配当金の源泉徴収

法人が株主などに支払う配当金の源泉徴収税額は、上場企業か否かによって異なります。

・上場企業の株式の場合:配当所得の15.315%に地方税5%を加えて計算
・非上場企業の株式、または大口株主(発行済株式の3%以上を保有する株主)の場合:20.42%

配当所得の金額は、「収入金額-株式などを取得するための借入金の利子」の計算式で求めます。
なお、源泉徴収がある特別口座で取引している場合は、源泉徴収された状態で配当金が支払われます。

おわりに

源泉徴収税額に関する知識は、従業員を雇用する企業にとって避けて通れません。源泉徴収の仕組みを理解し、正しい手順や計算に基づいて納税する必要があります。源泉徴収税額の計算方法やフロー、納付方法や注意点を把握したうえで、正確に納付しましょう。

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