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財務・経理

振込手数料を経費にするポイントとは?振込手数料を安くする方法、かからない方法もご紹介!

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振込手数料を経費にするポイントとは?振込手数料を安くする方法、かからない方法もご紹介!
事業活動においては、取引が増えるにつれて代金の振り込みにかかる手数料も増えていきます。しかし、振込手数料の増加は会社の収益に直結するため、対策を講じたいと考えている総務や経理の担当者は多いのではないでしょうか。振込手数料を経費として計上することで、振込手数料の負担は軽減できます。

本記事では、振込手数料を経費として適切に仕訳する方法や、振込手数料の削減に効果的な方法について解説します。

振込手数料を経費にする場合の勘定科目とは?

振込手数料を経費にする場合の勘定科目とは?

振込手数料を経費として計上することで、節税につながります。まずは、仕訳における勘定科目について確認しましょう。

振込手数料の勘定科目は?

会計上、振込手数料の勘定科目は「支払手数料」です。振込手数料は少額の出費なので、「雑費」として計上する場合もありますが、勘定科目として設定されているものは利用したほうが経費の内訳が明確になります。

支払手数料とは?

「支払手数料」は、さまざまな取引やサービスを利用する際に発生する手数料の支払いを処理する勘定科目です。取引される財やサービスそのものではなく、それらに付随してかかる経費と考えておくと良いでしょう。
支払手数料は消費税の課税対象ですが、海外との取引における支払手数料は消費税の課税対象外になります。

支払手数料に該当する費用

支払手数料について、もう少し詳しく見ていきましょう。
支払手数料に該当する項目は、金融機関での振込手数料の他に、以下のようなものがあります。

・事務所を借りる際に不動産会社に支払った仲介手数料
・弁護士、税理士、行政書士などに支払う報酬・相談料
・コンサルタントに支払う報酬・相談料
・航空券などを解約する際に発生した解約手数料
・クラウドソーシングサービスを利用した際に運営企業に支払う手数料

上記のものは支払手数料に該当します。上記のうちの報酬・相談料については「支払報酬」の勘定科目を用いることもできますが、支払手数料としてまとめても問題ありません。ただし、手数料の内訳をより正確に把握したい場合は、勘定科目を分けると良いでしょう。

支払手数料と雑費の違い

支払手数料と雑費の違いについても、確認しておきましょう。
「雑費」は、少額で他の勘定科目に属さない経費に使う勘定科目です。雑費は定期的に発生するものではなく、イレギュラーで発生するケースが多い費用です。

しかし、定期的に発生しない費用すべてを雑費として計上することはできません。
雑費はあくまで重要度の低い経費であり、雑費の金額が経営に大きな影響を与えるような場合、税務署から適切な会計処理が行われていない可能性を疑われます。
仕訳は経営状況を把握する目的で行われるものであり、内訳が分かりにくい雑費が過度に多い状況は好ましくありません。

支払手数料という勘定科目があるのは、支払手数料の金額が経営や納税額に影響する可能性があるからです。また、繰り返し手数料の支払いが発生していることを把握するためでもあります。

振込手数料の仕訳方法

振込手数料は、支払手数料として記帳します。
ここからは振込手数料の仕訳方法について、例を挙げて具体的に考えてみましょう。

振込手数料が自社負担の場合

振込手数料が自社負担の場合、振込先から入金されるのは振込金額から手数料が差し引かれた金額です。そのため、売上などの入金予定額との差額を支払手数料として経費計上します。

例えば、3月31日に売掛金10,000円の入金があり、220円の振込手数料を自社で負担した場合は、以下のように記帳します。

  借方 貸方  
日付 勘定科目 補助 金額 勘定科目 補助 金額 備考
3/31 普通預金   9,780 売掛金   10,000  
  支払手数料   220        

また、4月20日に買掛金100,000円を支払い、自社が振込手数料440円を負担した場合は以下のように記帳します。

  借方 貸方  
日付 勘定科目 補助 金額 勘定科目 補助 金額 備考
4/20 買掛金   100,000 普通預金   100,440  
  支払手数料   440        

同じ例で振込手数料を取引先が負担する場合は、以下のように差し引いた金額を支払い、それとは別に振込手数料を処理することもあります。
実際のお金の流れに合わせて記帳しましょう。

  借方 貸方  
日付 勘定科目 補助 金額 勘定科目 補助 金額 備考
4/20 買掛金   99,560 普通預金   100,000  
  支払手数料   440        

  借方 貸方  
日付 勘定科目 補助 金額 勘定科目 補助 金額 備考
4/20 普通預金   440 支払手数料   440  

いずれの場合も、借方と貸方の合計金額が一致していることを必ず確認してください。

振込手数料が相手負担の場合

振込手数料を取引先が負担する場合、自社には手数料がかからないため、支払手数料に振込手数料を計上することはできません。

上記の例と同じように、3月31日に売掛金10,000円の入金があるケースを考えてみます。

  借方 貸方  
日付 勘定科目 補助 金額 勘定科目 補助 金額 備考
3/31 普通預金   10,000 売掛金   10,000  

また、4月20日に買掛金100,000円を支払い、振込手数料440円を取引先が負担する場合の仕訳は以下のようになります。

  借方 貸方  
日付 勘定科目 補助 金額 勘定科目 補助 金額 備考
4/20 買掛金   100,000 普通預金   99,560  
        支払手数料   440  

振込手数料を経費にするときのポイント

振込手数料を経費にするときのポイント

振込手数料を経費として計上する際には、気をつけなければならないポイントがいくつかあります。以下の注意点について確認しましょう。

「買掛金」の決済時は相殺が必要

上記の例のように、買掛金の決済時に取引先が振込手数料を負担する場合は、「買掛金」勘定から取引先が負担した手数料を相殺します。取引先の口座に振り込まれる金額は相殺した残額になるので、現金の動きに注意してください。

一方、売掛金の決済で取引先が振込手数料を負担した場合は、単純に売掛金の入金処理をするだけです。買掛金の場合と違って特別な会計処理は必要ないので、混同しないように注意しましょう。

販売手数料は「支払手数料」に含まれない

振込手数料と混同しやすい「販売手数料」という手数料があります。販売手数料とは、販売代理店に商品を販売してもらう際に支払う報奨金などのことです。
販売手数料は売上に直接関係する経費なので、「販売促進費」という科目で計上します。
一方の振込手数料は商品販売とは直接関係がないため、販売促進費ではなく「支払手数料」として計上します。

専門家に報酬を支払う場合は「支払報酬」

税理士や弁護士、行政書士などの専門家への報酬は支払手数料として計上することもできますが、「支払報酬」という勘定科目で計上するのが一般的です。これらの報酬は、士業の種類によって源泉徴収のルールが異なるため、計上する際は注意しましょう。

これらの報酬を支払手数料として計上してしまうと、支払手数料の金額が大きくなってしまうため、振込手数料を把握しにくくなります。明朗会計を目指すのであれば、支払報酬として計上しておいたほうが良いでしょう。

振込手数料を安くする方法、かからない方法とは?

振込手数料を安くする方法、かからない方法とは?

1件ずつの金額は少額ですが、取引が増え、契約期間が長くなれば振込手数料の総額はそれなりに大きくなります。「振込手数料を少しでも抑えたい」と考える担当者は少なくないでしょう。
振込手数料を安くする、あるいは、かからないようにする方法には、以下のようなものがあります。

パーチェシングカードを利用する

振込手数料を抑えるために有効な方法は、パーチェシングカードを利用することです。
パーチェシングカードとは、企業が仕入代金などの支払いのために利用できるカードです。代金を口座振替で支払うことができます。

複数の請求書の支払いをカード会社が行い、その総額を請求します。そのため、請求書ごとに発生していた振込手数料を1回にまとめることが可能です。

パーチェシングカードを利用する

また、金額ごとに振込手数料の上限が定められているため、ほとんどのケースで振込手数料を節約できます。

さらに、パーチェシングカードはカードレスで利用できることに加えて、目的や会社の部門ごとにカードを発行することも可能です。

他にも「キャッシュフローに余裕が生まれる」「分散していた支払日が集約されるため支払業務を効率化できる」といったメリットがあります。

パーチェシングカードの詳細については、こちらがおすすめです。
>>「パーチェシングカードの仕組みを解説!メリット・デメリットも紹介!」

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インターネットバンキングから振り込む

振込手数料は、振込方法によって変動します。金融機関のインターネットバンキングを利用すると、振込手数料を安く抑えられるケースが多いです。

インターネットバンキングには実店舗がないため店舗賃料がかかりません。その分人件費を抑えられるため、サービスを低価格で提供できます。
金融機関によっては、一定の条件を満たすことで、無料で振り込みができたり、預貯金の金利が優遇されたりする金融機関もあります。インターネットバンキングの利用料金を考慮しても、十分リターンを期待できるでしょう。また、店舗に足を運ぶことなく振り込みができるため、業務効率化にもつながります。

当座預金を利用する

当座預金を利用して、振込手数料を節約する方法もあります。
当座預金は企業間の取引に使われる小切手や手形の引き落としに使われる口座です。

当座預金は用途が限定されますが、小切手に相当する金額の引き出しには手数料がかからないというメリットがあります。事業の種類によっては、振込手数料の削減に役立つでしょう。

振込口座を同一行同一店舗にする

従業員への給与振込は、件数が多く、かつ定期的に振込手数料がかかります。
そのため、給与振込の手数料を削減できれば、振込手数料を大幅に抑えることが可能です。

給与の振込手数料は、「給与振込口座を同じ銀行に統一する」「同一店舗を指定する」といった対策を行うことで、手数料が安くなったり、かからなくなったりすることがあります。条件は各金融機関によって異なるため、自社で利用している金融機関に確認してみると良いでしょう。

振込手数料は正しく経費で計上しよう

振込手数料を経費として正しく計上することは、節税対策につながります。また状況を正しく把握できるため、コストダウンの方法を検討することもできます。
振込手数料を削減する方法はいくつかありますが、振込手数料の単価を安くする方法と、振込手数料の件数を減らす方法の両面から考えてみると良いでしょう。

パーチェシングカードは個々の請求に対する振り込みが不要になるので業務効率化を図れるだけでなく、請求が一本化されることで手数料負担を大幅に軽減できるのでおすすめです。
振込手数料を安く抑えたい担当者の方はぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。