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起業前に準備すべきもの~起業家に聞いた失敗しないための注意点~
「可能性を試したい」
「収入を上げたい」
理由は様々ですが、現在起業したいと考えている方は多いでしょう。
しかし実際に起業するとなると、その準備は大変です。
今回は起業前に準備すべきものを紹介するとともに、やっておくべきアクション、起業家へのアンケート調査で分かった「もっとやっておくべきだったこと」について解説します。
起業前に準備すべきもの11選
まずは、起業前に準備すべきものについて紹介します。
➀事業資金
当然ですが、起業するためには「お金」が必要です。
起業時に必要となるお金は大きく2種類あります。
・初期費用(会社を設立するための費用、設備投資費用など)
・ランニングコスト(人件費、仕入れコスト、家賃等)
意外と見落としがちなのがランニングコストです。事業を始めたからといって、すぐに売上が出るとは限りません。むしろ、いきなり売上が出るケースは稀です。起業する前は、事業が軌道に乗る時期を予想して、それまでの売上がゼロでも運営できるだけの資金は準備しておくのがベストです。
資金調達する選択肢もアリ
起業するために自己資金だけでは心もとない場合は資金調達を検討しましょう。自己資金がしっかり貯まってから起業した方がリスクは少ないですが、貯まるのを待っていてはタイミングを逃してしまうこともあるかもしれません。
起業時における資金調達として、代表的な方法は「創業融資」と呼ばれる、新規で事業を始める方向けの融資です。民間及び公的な金融機関で実施していて、通常の融資よりも審査ハードルが低いという特徴があります。
創業融資には主に次の2種類があります。
・日本政策金融公庫「新創業融資制度」
・地方自治体・信用保証協会・民間の金融機関の3者連携「制度融資」
前者は融資スピードが早く、後者は融資までに時間がかかるものの金利が低い傾向があります。
起業時の資金調達は創業融資だけでなく、銀行融資や補助金、クラウドファンディングを活用するのもいいでしょう。
起業にかかる費用を確認しよう
起業するのにかかるお金は業種によっても様々ですが、日本政策金融公庫が発表した「2020年度新規開業実態調査」によると、平均989万円となっています。ネットビジネスの普及もあり、1991年度の調査以来最も少ない金額でしたが、それでも1,000万円前後は必要となります。
飲食店の開業には、テナントの敷金・礼金や賃料などの初期費用に加えて、食材費、人件費、光熱費等が運営に必要となります。一方で、ネット系の起業であればドメイン・サーバー費等の初期費用は必要になるものの、飲食店に比べると圧倒的に少なく済みます。
また、業種は同じであっても事業の規模感やサービスの種類によって金額は大きく変わります。どれくらいのお金が必要になるのかをできるだけ細かくイメージしておきましょう。
②事業計画書
事業計画書とは、事業内容や収支計画を示す書類であり、金融機関や投資家から融資を受けることを目的に作成されます。記載事項は次のようなものです。
・経営者のプロフィール ・事業内容 ・ビジョン・理念 ・サービス・商品の強み ・市場・競合の状況 ・事業の見通し・戦略 ・生産方法(仕入先・取引先の状況) ・収支計画 ・従業員数と人件費 ・必要な資金額 |
金融機関や投資家に対して、自身の事業をアピールするためにも事業計画書に記載する金額などの数字はできるだけ細かく、かつ根拠のあるものにしましょう。
事業計画書の作成方法については「事業計画書とは? 伝わる書き方&押さえるべき記載事項」で詳しく解説しています。
③会社名、ロゴ
当然ですが、会社を設立する際は社名を決めなければなりません。法人登記、不動産登記など「登記」に必須となるからです。※個人事業主として独立する場合は不要
また、会社のアイデンティティをアピールできるロゴも必要です。ロゴは企業のWEBサイト、名刺、看板などに広く活用できます。社内で作るのが難しい場合は、デザイン会社に依頼するのもいいでしょう。
④役所に提出する書類、印鑑
起業といっても個人事業主で起業する場合と会社を設立(法人化)する場合では、必要となる書類や手続きが異なります。ちなみに、印鑑は代表者印、銀行印、角印が必要となります。
個人事業主として起業する場合、手続きとしては税務署に「個人事業主の開業・廃業等届出書」を提出するだけです。対して、法人を設立する場合は少なくとも下記3つの書類が必要となります。
・法人設立届出書
・源泉所得税関係の届出書
・消費税関係の届出書
なお法人設立届出書には、添付書類として定款等の写し、株主名簿の写し、設立時の貸借対照表なども必要となります。
税務署に必要書類を提出するだけの個人事業主とは違い、法人設立の場合はその前に「定款の作成及び認証」「法務局への登記」「年金事務所への必要書類の提出」などを経て、税務署へ届け出するというフローになります。
加えて、法人を設立する場合は次のような資金も必要になります。
定款認証料:5万円(※会社設立代行を頼む場合:設立代行手数料 1万円)
登録免許税:15万円
会社印鑑作成料:2万円
会社を設立するには、手間と費用がかかることを心得ておきましょう。
⑤名刺
起業後の営業活動で必要となる名刺も起業前に準備しておきましょう。
・会社名(ロゴ)
・氏名
・住所
・電話番号、メールアドレス
上記の基本情報に加えて、自社・自分を強く印象付けるために、キャッチコピーなどがあってもいいでしょう。
⑥仕事場所
仕事場所は、オフィスを借りる必要がなければ、自宅でも問題ありません。
ただ、会社に関する書類、名刺などに自宅の住所を記載することに抵抗がある場合は「バーチャルオフィス」の活用がおすすめです。バーチャルオフィスであれば、東京の一等地であっても月額2,000円以下であることも珍しくありません。
バーチャルオフィスの場合にネックとなるのが郵便物ですが、転送サービスを利用することでその問題も解消できます。
⑦自社WEBサイト(HP)
自社WEBサイト(HP)は必須ではありませんが、ネット社会においてその重要性は高まっています。仕事の商談などもリモートでやり取りすることが増えた昨今では、名刺代わりの役割も果たしてくれます。
WEBサイトの立ち上げには、ドメイン及びサーバーを取得した後、「CMS」と呼ばれるサイト構築システムの導入が必要となります。馴染みが薄いと難しそうに感じるかもしれませんが、手続き自体はそこまで時間がかかりません。
会社サイト(HP)には、少なくとも下記のページを作っておきましょう。
・会社概要
・事業紹介
・問い合わせフォーム
起業後は、実績や事例ページを作成するなどして「営業資料」としても活用できるような会社サイトを目指しましょう。
⑧挨拶状(パンフレット)
会社サイトとは別に、お世話になっている方、見込み顧客に送るために必要となるのが挨拶状(パンフレット)です。開業したことを伝えるだけならメール等で十分ですが、形あるハガキ、カードで伝えることで受け取る側にとっても印象深いものになります。
挨拶状には、日頃の感謝と会社名(連絡先)だけでなく、起業に至った理由や今後の抱負などを添えるようにしましょう。
⑨営業関連資料
起業後すぐに営業活動ができるように、営業資料は起業前に用意しておきましょう。
事業内容や会社概要をはじめ、自社の商品・サービスの強みと顧客のメリットが明確かつ魅力的に伝わるような資料にしましょう。
⑩経理管理
事業を行う上で経理管理は必須です。税理士にお願いするのもいいですが、金銭感覚を養う意味でも、できる限りは自力でやるのがおすすめです。これまで経理を一切やったことがない方は会計ソフトを活用することで、簡単かつ効率的に作業を進めることができます。
会計ソフトも様々な種類がありますが、起業する方におすすめなのが「freee(フリー)」です。会計ソフトとしては最も知名度が高く、簿記の知識がなくても帳簿できるシステムとなっているので、会計初心者の方からも高い支持を得ています。
⑪会社用のクレジットカード
会社用として使うクレジットカードは法人用のクレジットカード、いわゆる「ビジネスカード」にしましょう。個人事業主の場合はビジネスカードではなく、個人のクレジットカードでも問題ありませんが、ビジネスカードは利用限度額が大きく、引き落とし口座を法人口座に設定できるため、会社用として使う上での利便性は高いです。
クレジットカード決済は、引き落とし日がカード利用日の1~2ヵ月先になるので、手元からすぐに現金がなくなることを防止する役割も果たしてくれます。会社を運営する上での資金繰り対策としても有効なのです。
おすすめの法人用クレジットカードは後ほどご紹介します。
起業準備の前にやっておくべきアクション7つ
➀本当に起業すべきかどうかを考える
「今の会社や収入に不満があるから」
「なんとなくやってみたいから」
上記のような理由で起業するのは危険です。
もちろん、収入を上げたいというのもひとつの理由にはなりますが、根拠のない自信から見切り発車で起業しても成功する可能性は低いでしょう。
ちなみに、中小企業庁が公表している「中小企業白書(2017年)」によると起業から5年後の企業存続率は81.7%となっています。ただし、このデータの対象は帝国データバンクに登録されている企業なので、一定以上の事業規模がある企業と考えられます。個人事業主や零細企業も含めるとその存続率はさらに下がり、「起業後5年で60%以上は倒産する」とも言われています。
本当に今すぐ起業すべきかどうかは、起業前にいま一度しっかりと考えるべきです。
副業でスタートする方法もある
何となく起業したい、挑戦したいという方は副業として始めるのもいいでしょう。現在の会社の了承を得る必要はありますが、副業なら万が一事業がうまくいかなくても収入がゼロになることはありません。
副業という形で事業を始めてみて、軌道に乗ってから起業するという方法を検討してみてもいいでしょう。
②家族の理解を得る
家族の理解を得られずに起業をやめてしまう方は少なくありません。家族の反対を押し切って起業するのもいいですが、家族のサポートがないと事業を続けるのは難しいでしょう。
家族に対しては、熱意だけでなく具体的なビジョンを伝えることも大事です。日頃の姿勢や行動から起業を応援してもらえるような関係性を築いておきましょう。
③競合・市場調査
起業する上で「成功できるかどうか」は最も考えるべきことのひとつです。成功の定義は様々ですが、自分や家族が生活していけるだけの収入を稼ぐ必要があるでしょう。
事業を成功させるためには「競合企業の状況」「市場」を総合的に分析しましょう。起業前はどうしても「自社の強み」だけが前面に出てしまいがちで、周りが見えていないことも少なくありません。自身の事業を客観的にみることで、競合との差別化ポイントを明確にしておきましょう。
④現在の勤務先を退職するタイミングを決める
起業を決意したなら、次は現在の勤務先を退職するタイミングを決めなければいけません。起業の準備期間や現在の業務の引継ぎにかかる時間を考慮して、退職日を決めましょう。
現在の上司や同僚とは起業した後も仕事仲間として関わる可能性もあるので、退職理由をしっかりと説明して円満に退職するのが理想です。
⑤人材(仲間)を集める
事業に必要な人数を考えておくことは事業計画の基本です。起業してすぐはお金の余裕もないので、できるだけ自分一人でやった方がいいでしょう。一人ではどうしても難しい場合は、仲間を集めなければいけません。
しかし、仲間集めは簡単ではありません。とくに、実績もない起業時はよほど事業のビジョンに共感してくれたり、可能性を信じてくれる人でないと仲間にはなってくれません。また、そういった人が優秀である保証はありません。
まず考えるべきは一人でできるかどうか。難しい場合は、昔からの仕事仲間に声をかける、起業家が集まるセミナーなどのイベントで知り合った方に声をかけるのが一般的です。最近では、ネット上で起業仲間を見つける方法もあります。
⑥個人事業主or会社設立を決める
一言で「起業」といっても、個人事業主として働く場合と会社を設立して法人化する場合があります。前述したとおり、法人化する場合はその手続きが雑多で大変です。それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことは必須です。
メリット | デメリット |
---|---|
・開業手続きが簡単 ・事業開始までにかかる費用が少ない ・一定の所得までは税額が低い ・確定申告は個人のみで済む |
・経費にできない範囲が大きい ・所得が増えるほど、税率は高くなる |
一般的に、個人事業主は所得が800万円を超えると、法人化した方が税負担は軽くなると言われています。しかし、800万円というのはあくまで目安であり、事業所得だけでなく各種経費などを考慮しないと分からないので、法人化を検討する際は税理士に相談することをおすすめします。
メリット | デメリット |
---|---|
・一定以上の所得であれば節税になる ・社会的信用度が高まる ・経費にできる範囲が広い ・社会保険に加入できる |
・開業手続きが雑多である ・事業開始までにかかる費用が大きい ・会計 ・赤字であっても税金を支払わなければならない |
法人化は手間と費用がかかるものの、所得次第では節税効果が大きくなります。また、「会社」になることで社会的信用度が高くなるので、人材が集まりやすいという面もあります。
事業内容と事業規模、将来のビジョンを考慮した上で、個人事業主として働くのか、法人化するのかをよく検討しましょう。
⑦起業経験者の話を聞く、セミナー受講
起業を検討している方なら、関連書籍やネット記事を沢山読んで情報を収集していることでしょう。しかし、それだけでは不十分かもしれません。
実際に起業した方と話してみることも非常に大事です。経験談を聞くことでより“リアル”に起業後の自分を想像できるでしょう。周りに起業した方がいないのであれば、起業関連のセミナーに参加するのもいいでしょう。
【起業家アンケート調査】起業してから分かったこと
今回は起業したことがある方49名にアンケート調査を実施して、起業したキッカケや起業前にやっておくべきだったことを聞いてみました。
■調査概要 居住地:全国 期間:2021年9月3日~2021年9月8日 ターゲット(モニタリスト):起業経験者 サンプル数:49 調査方法:インターネット調査 集計媒体:クラウドワークス |
起業したキッカケ
まずは起業したキッカケを聞いてみました。代表的な回答をいくつか紹介します。
会社員という働き方が嫌になったから 大阪府・30代男性・小売業 |
会社の成長性と自身の収入の将来性に不安を感じたため 千葉県・50代男性・営業支援業 |
自分の力でどれだけの人が来るのかを試してみたかったから 沖縄県・30代女性・美容サービス業 |
本業より副業の収入が増えたから 愛知県・30代 性別回答なし・映像プログラマー |
会社での人間関係にどうしても馴染めず、上司と部下の関係が嫌だったから 宮崎県・40代男性・印刷業 |
今回のアンケート調査では、「会社勤めに不安を感じた、向いていないから」という理由が多い結果となりました。他には「自身の可能性を試したい」「副業の収入が大きくなった」という回答がありました。
起業時に不安だったこと
続いて、起業時に不安に感じていたことについて聞いてみました。
どれくらい仕事のニーズがあるのかが不安でした 滋賀県・40代男性・社会保険労務士 |
顧客ゼロで、果たして売上が立つのかどうかが不安でした 京都府・50代男性・オークション代行業 |
自分以外に頼れる人がいないこと 大阪府・20代女性・ハンドメイド業 |
十分な集客ができるかどうか 大阪府・40代男性・飲食業 |
投資金が足りるかどうか不安でした 神奈川県・50代男性・物販業 |
圧倒的に多かったのが、「お金」に関する不安です。売上が出るかどうか、資金繰りが回るかどうか、十分な収入を得られるか・・・・。実際に起業してみないと分からないことなので、不安になるのも無理はありませんが、いかに貯蓄が大切であるかが分かる結果となりました。
起業前にやっておくべきだったこと
最後に、起業後に気付いた「やっておくべきだったこと」を聞いてみました。
もう少し資金を貯めてから余裕をもって起業するべきでした 宮崎県・40代男性・印刷業 |
同業者のアドバイスを聞いておくべきだった 兵庫県・30代女性・移動販売業 |
税金関係の勉強をもっとしておくべきでした 岡山・30代男性・建設業 |
会計について学んでおいた方が良かったと思います 海外・40代女性・不動産業 |
人脈作り 兵庫県・30代女性・美容サービス業 |
用意周到に起業の準備をしたとしても、事業を始めてから気付くことはあるものです。資金面のことから会計知識の習得、人脈作りに至るまで“やっておくべきだったこと”は様々でした。
現在起業を考えている方は、今回のアンケート結果をぜひ参考にしてください。
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それぞれ解説します。
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