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経営

国税の還付金はどんな人が受け取れる?スケジュールや計算方法に加えて確定申告のポイントも解説

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国税の還付金はどんな人が受け取れる?スケジュールや計算方法に加えて確定申告のポイントも解説
「国税の還付金」は雇用形態や所得に関わらず、どのような人にも発生し得るものです。しかし、還付金は所定の手続きを行わないと受け取れないため、概要を理解しておかないと損をすることにつながってしまうので注意しましょう。

本記事では、還付金の概要や計算方法に加えて、全体のスケジュールや受け取り方などをまとめました。また、「少しでも早く還付金を受け取りたい!」と感じている方に向けて、確定申告のポイントも解説しています。

これまで還付金をそれほど意識してこなかった方は、これを機に正しい知識を身につけましょう。

国税の還付金とは?

源泉徴収や予定納税によって所得税を支払い過ぎてしまった場合、その超過分は所定の手続きを行うことで返還されます。この納税者に返還される税金が、今回解説する「国税の還付金」と呼ばれるものです。

どんな人が還付金を受け取れる?

国税の還付金を受け取れるのは、簡単に言えば「所得税を払い過ぎた人」です。では、具体的にどのような状況になれば、所得税を払い過ぎる状況になるのでしょうか。

個人事業主については、その多くが国税の還付対象に含まれます。個人事業主が受け取る報酬からは、ほとんどのケースで源泉徴収分が差し引かれているためです。この源泉徴収は、必要経費や所得控除を踏まえない形で実施されるため、必然的に所得税の支払超過が生じます。

では、経営者やサラリーマンのような給与所得者はどうでしょうか。給与所得者については、以下のような控除が適用されると、国税の還付金を受け取れる可能性が高いです。

控除の名称 控除の概要
医療費控除 自身や配偶者、もしくはほかの親族のために費やした医療費が、一定額を超えた場合に所得控除を受けられる制度。
住宅ローン控除 住宅ローンを借り入れた場合に、税金の優遇措置が適用される制度。
寄附金控除 ふるさと納税や指定寄附金など、特定の寄附をした場合に控除が適用される制度。
雑損控除 災害・盗難・横領によって、資産(生活に必要なもの)に損害を受けた場合に所得控除が適用される制度。
特定支出控除 通勤費や転居費をはじめ、特定の経費が一定の支出額を超えた場合に控除を受けられる制度。
配偶者控除、
扶養控除
配偶者がいる場合や、16歳以上の扶養親族がいる場合に適用される控除制度。

上記のほか、株式投資などの副業で大幅な赤字が生じ、「損益通算」によって利益と損失を相殺した場合も、還付対象に含まれる可能性があります。

このように、日本国内ではさまざまな控除制度が実施されているため、給与所得者の中にも還付金を受け取れる人は多く存在します。ただし、個人事業主・給与所得者のいずれも、還付金を受け取るには「確定申告」が必要になるので要注意です。

年末調整でも還付金は受け取れる?

年末調整だけでも還付金は受け取れますが、さまざまな控除制度が適用される場合には、基本的には確定申告をすることが望ましいです。なぜなら、控除制度の中には医療費控除のように、確定申告をしないと適用されないものが存在するためです。

つまり、年末調整だけで申告を済ませると、本来控除されるべきものが所得から差し引かれない影響で、受け取れる還付金の額が減ってしまう恐れがあります。したがって、適用される控除は事前にしっかりと調べておき、必要性が生じた場合にはきちんと確定申告を済ませましょう。

還付金はいくらもらえる?計算方法を簡単にチェック!

国税の還付金がどれくらいか、「事前にある程度の金額を把握しておきたい」と感じる人もいるでしょう。そこで、源泉徴収によって所得税を支払い過ぎていた場合の還付金の計算方法を簡単に解説します。

国税の還付金は、「源泉徴収額-所得税額=還付金」の式で算出するため、まずは1年間の源泉徴収額を計算しなければなりません。源泉徴収額は以下のように、1回の給与額・報酬額によって計算式が異なるので要注意です。

源泉徴収の計算方法
・1回の給与額(報酬額)が100万円未満の場合…源泉徴収額=給与額×10.21%
・1回の給与額(報酬額)が100万円超の場合…源泉徴収額=(給与額-100万円)×20.42%+102,100円

次に所得税の計算ですが、以下を見てわかるとおり所得税額の計算は少しややこしいです。

○所得税の計算方法
【1】給与額(報酬額)から、給与所得控除額を差し引く
【2】さらに【1】の計算結果から、所得控除額を差し引く
【3】所得税率表を確認し、「【2】×該当する税率」を計算する
【4】最後に【3】の計算結果から、所得税率表に記載された控除額を差し引く
(※「所得税率表」は国税庁のホームページ上で公開されている)

上記の流れで源泉徴収額・所得税額の2つを算出すれば、あとは「源泉徴収額-所得税額=還付金」の式に当てはめて計算をするだけです。ただし、中でも所得税は適用される控除が多いほど計算が複雑になるため、ある程度の手間がかかることは事前に覚悟しておきましょう。

還付金はいつ受け取れる?基本的な流れや受け取り方

経営者や個人事業主の中には、「還付金を事業資金の一部にしたい」と考えている方もいるでしょう。

事業期間から還付金を受け取るまでのスケジュールは、基本的には以下のような流れになります。

還付金を受け取るまでの流れ 概要
【1】事業期間 給与所得者・個人事業主にかかわらず、事業期間は毎年1月1日~12月31日。
【2】確定申告 翌年の2月中旬~3月中旬に、【1】の事業期間について確定申告を実施。
【3】国税の還付 通常は4月~5月の間に、支払超過分の所得税が還付。

上記を見てわかる通り、国税の還付金は申告後すぐに受け取れるものではありません。提出書類の確認や審査に時間がかかるため、確定申告から「1ヶ月~1ヶ月半ほど」の期間を要するケースが一般的です。

ただし、「e-Tax(電子申告)」で確定申告を済ませた場合は、この期間を2週間~3週間ほどに短縮できます。また、混み合う時期に確定申告をすると、書類の確認・審査にどうしても時間がかかってしまうため、早めに還付金を受け取りたい方は以下の2つのポイントを意識しておきましょう。

○国税の還付金を早く受け取るためのポイント
・持参や郵送ではなく、e-Taxによって確定申告を済ませる
・大量の申告書が提出される3月は避けて、1月や2月のうちに確定申告を済ませる

国税の還付金で知っておきたい3つのポイント

国税の還付金で知っておきたい3つのポイント

ここまで解説した以外にも、国税の還付金には知っておきたいポイントがあります。想定外の事態が発生してもスムーズに対応できるよう、これを機に基礎知識をしっかりと身につけておきましょう。

【ポイント1】場合によっては追加で税金が発生することも

国税の還付金は、納税額の過不足を調整するためのものであるため、確定申告(年末調整)をしたからと言って確実に受け取れるわけではありません。仮に、源泉徴収額よりも所得税額のほうが大きければ、「追加徴税」という形で追加の税金が発生する可能性もあります。

たとえば、ボーナスが膨れ上がって想定以上に給与額が増えたり、控除額がこれまでより大幅に減少した場合は、追加徴税の対象になる可能性があるでしょう。これらのケースに該当する方は、追加徴税を支払うための資金を準備しておかなくてはなりません。

なお、追加徴税は一見すると損に見えるかもしれませんが、あくまでも「本来支払うべきはずだった税金」であるため、経済的な損につながらない点はしっかりと理解しておきましょう。

【ポイント2】5年以内であれば、確定申告が遅れても還付金を請求できる

国税の還付金は、最長で5年前まで遡って請求することが可能です。たとえば、2020年1月~12月の事業期間分は、翌年1月1日の5年後、つまり2026年1月1日までに申告をすれば還付を受けることができます。

したがって、確定申告が遅れてしまった場合や、後になってから適用される控除があることを知った場合は、5年以内であれば諦める必要はありません。申告に必要な領収書などを整理したうえで、落ち着いて還付申告を済ませるようにしましょう。

【ポイント3】なかなか振り込まれないときは、税務署への問い合わせを

問題なく確定申告を終わらせたにも関わらず、還付金が振り込まれないケースは少なからず存在します。還付金が振り込まれない理由としては、主に以下の点が想定されます。

・担当者の確認ミスなど、振り込みまでの間に人的ミスが発生した
・確定申告の提出書類に不備が見つかった
・申告のタイミングが悪く、特に混み合う時期だった

このようにいくつかの理由が考えられますが、納税者側がいくら考えたところで、その理由を特定することは難しいでしょう。そのため、還付金が振り込まれないときには悩むのではなく、管轄の税務署に問い合わせることを検討しましょう。

なお、還付金はいきなり振り込まれるのではなく、事前に「国税還付金振込通知書」と呼ばれる通知が届きます。税務署に問い合わせる場合は、この通知書が届いているか否かを伝えると、スムーズに対応してもらえる可能性があります。

生活環境が変わった人は要注意!確定申告の時期には還付金を強く意識!

本記事で解説してきたように、国税の還付金はさまざまな人が対象となります。しかし、確定申告をしなければ還付を受けられないケースも存在するため、雇用形態に関わらず還付金は毎年意識しておきたいところです。

結婚をして家族構成が変わった、病気やケガで医療費がかさんだなど、特に生活環境が大きく変わった場合は、控除が適用される関係で還付対象になる可能性が高いでしょう。直近の状況はもちろん、時間に余裕のある方は過去5年分の状況も入念に見直しておきましょう。