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住民税とは?所得税との違いや計算方法、支払時期などをわかりやすく解説
個人に対する代表的な税金として、所得税や住民税があります。
住民税は給与所得者と個人事業主やフリーランスなどで納税方法が異なるほか、算出方法も所得税とは異なるため、住民税について「どのくらいの金額なのか」「いつ支払えば良いのか」などの疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では住民税の基本的な概要のほか、所得税との違いや計算方法、支払時期などをわかりやすく解説します。
住民税について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
記事のもくじ
住民税とは
私たちが日常で利用している公共サービスの運用は国と地方で分担されており、その費用は主に税金でまかなわれています。
税金は納める場所によって国税(国に納める税金)と地方税(地方自治体に納める税金)の2種類にわけられ、住民税は地方税のひとつです。
また、住民税には以下のように「個人住民税」と「法人住民税」があります。
● 個人住民税:その市区町村(都道府県)に住所などがある個人が納める
● 法人住民税:その市区町村(都道府県)に事務所などがある法人が納める
私たち個人に関係するのは個人住民税です。ここからは、個人住民税について解説します。
納めなければいけない人
住民税は、その年の1月1日時点で市区町村(都道府県)に住所のある方が課税対象です。住民税には均等割と所得割があり、1月1日時点の状況に応じて納めるべき税額が異なります。
課税対象になる方の状況 | 納める金額 |
市区町村に住所がある方 | 均等割と所得割の合計 |
市区町村に事務所、事業所または家屋敷があり、その市区町村に住所のない方 | 均等割 |
基本的には住所がある市区町村に「均等割と所得割の合計」を住民税として納めます。ただし、均等割については状況によって2ヵ所以上の市区町村に納めなければいけないこともあるので、覚えておきましょう。
なお、住民税には非課税制度があるので、一定の事由に該当する方については、課税対象から外れます。自治体によって異なる部分はありますが、例えば、以下のような方は、基本的に住民税の非課税対象になる可能性が高いです。
● 生活保護を受けている
● 個人事業主で年間所得が45万円以下(配偶者や扶養家族がいない場合)
● 給与所得のみで100万円以下(配偶者や扶養家族がいない場合)
要件は自治体によって異なる場合もあるので、詳細は住んでいる自治体の公式サイトでご確認ください。
市町村民税・道府県民税との違いは?
住民税は地方に納める税金となるので、各市区町村に納める「市町村民税(東京23区内は区民税))」と都道府県に納める「道府県民税(東京都は都民税)」で成り立っています。
つまり、住民税は「市町村民税 + 道府県民税」のことを指しているので、住民税と市町村民税・道府県民税は同じ意味と考えて良いでしょう。
ちなみに、住民税を納税する際は、住所のある市区町村に「市町村民税と道府県民税」を住民税として一括で支払います。その後、各市区町村がその道府県に道府県民税を支払うのが一連の流れです。
住民税と所得税の違い
所得税とは、会社からもらう給与所得や個人事業主の所得などにかかる国税です。所得があった年に課税され、税率は所得金額に応じて段階的に上昇する「超過累進税率」になります。
一方、住民税は地方税となるので、そもそも納める場所が異なります。また、住民税は所得のあった翌年の6月から支払いをすることとなります。税率は一律となる点も所得税とは異なります。
項目 | 所得税 | 住民税 |
税金の種類 | 国税 | 地方税 |
支払う時期 | 所得のあった年(給与所得者)または、所得のあった翌年の2月16日から3月15日まで | 所得のあった翌年6月から |
税率 | 超過累進税率 | ● 10%(所得割) ● 4,000円(均等割) |
なお、どちらも所得に対する税金となりますが、所得控除額や申告する基準が異なっているため、「所得税はかからなくても住民税はかかる」ということがあるので注意しましょう。
所得税は年間所得が48万円(給与所得は103万円)以下だと課税されませんが、住民税は前述しているように、年間所得が45万円(給与所得は100万円)を超えると基本的に課税されます。
例えば、アルバイトで年間の給与所得が101万円の方は所得税を支払わなくて良いですが、住民税は支払わなければいけません。
住民税の計算方法
住民税は所得金額にかかわらず定額を負担する「均等割」と、所得金額に応じて負担する「所得割」の2段構造です。そのため、住民税の金額は「均等割の金額 + 所得割の金額」で算出できます。
住民税の納税義務者(非課税対象者以外)は、均等割と所得割の合計金額を各市区町村に一括で納めなくてはいけません。
ここでは均等割と所得割について詳しく解説します。
均等割の金額
均等割は所得金額にかかわらず課税され、一般的に金額は以下のようになります。
税目 | 金額(令和5年分までの金額) |
市町村民税 | 3,000円(3,500円) |
道府県民税 | 1,000円(1,500円) |
合計 | 4,000円(5,000円) |
均等割の金額は、通常だと4,000円の課税です。
ただし、平成26年(2014年)から令和5年(2023年)分までは東日本大震災を教訓として、各自治体が実施する防災施策にかかわる財源を確保するために、市町村民税と道府県民税が500円ずつ引き上げられており、合計5,000円が課税されます。
なお、自治体によっては金額が若干異なる場合もあるので、実際の金額は住んでいる自治体の公式サイトで確認するようにしましょう。
所得割の金額
所得割は前年の所得金額に「10%(原則一律)」の税率をかけて算出されます。均等割が定額なのに対して、所得割は収入に応じて金額が変動するので、覚えておきましょう。
税率10%の内訳は以下になります。
税目 | 税率(指定都市) |
市町村民税 | 6%(8%) |
道府県民税 | 4%(2%) |
合計 | 10%(10%) |
指定都市に住んでいる方は、市町村民税と道府県民税の税率が異なりますが、合計の税率はほかの自治体と同様に原則10%です。
また、所得割の金額は「(所得金額 – 所得控除額) × 税率 – 税額控除額」で算出できます。所得金額は「収入 – 必要経費」の金額となり、給与所得者の場合は必要経費の代わりに「給与所得控除」を引いた金額です。
所得控除と税額控除については以下になるので、確認しておくと良いでしょう。
所得控除 | 税額控除 |
● 雑損控除 ● 医療費控除 ● 社会保険料控除 ● 小規模企業共済等掛金控除 ● 生命保険料控除 ● 地震保険料控除 ● 障害者控除 ● 寡婦控除 ● ひとり親控除 ● 勤労学生控除 ● 配偶者控除 ● 配偶者特別控除 ● 扶養控除 ● 基礎控除 |
● 配当控除 ● 外国税額控除 ● 寄附金控除 ● 調整控除 ● 配当割額及び株式譲渡所得割額の控除 ● 住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除) |
なお、所得割に関しても均等割と同様に、自治体によって税率が異なる場合があるので、詳細は住んでいる自治体の公式サイトで確認するのがおすすめです。
住民税の具体例
一般的な住民税の計算方法を具体的に紹介します。例えば、令和3年分の所得金額が250万円で、所得控除が100万円、税額控除がない方の場合は以下のようになります。
均等割の金額 | 5,000円 |
所得割の金額 | (250万円 – 100万円) × 10%=15万円 |
住民税 | 5,000円+15万円=15万5,000円 |
なお、前述していますが、令和5年分以降の均等割の金額については通常通り4,000円に戻る予定になっています。
住民税はいつ払う?
住民税の納付方法には「普通徴収」と「特別徴収」があります。
● 普通徴収:納税義務者が送られてきた納税通知書に記載されている金額に基づいて納税する
● 特別徴収:給与を支払う会社など、納税義務者以外の者が代わりに納税する
普通徴収は、フリーランスや個人事業主などの給与所得ではない方が一般的に該当する納付方法です。普通徴収では市区町村から送られてくる納税通知書にしたがって納税を行います。
納付期限はその年の6月末、8月末、10月末と翌年1月末の4期に分けられていますが、まとめて1回で支払うことも可能です。
一方、特別徴収は給与の支払いを行う会社などが、納税義務者である従業員などに代わって納税を行う方法です。一般的に給与所得者は特別徴収で納税し、その年の6月から翌年の5月まで毎月の給与から天引きされます。
住民税はクレジットカードでも支払えることがある
住民税を普通徴収する場合は、自治体によってクレジットカードで支払えることがあります。クレジットカード納付サイトやアプリなど、自治体によってクレジットカードでの支払方法は異なるので、住んでいる自治体の公式サイトで確認してみましょう。
クレジットカードで住民税を支払えば、以下のようなメリットがあります。
● ポイントが貯まることがある
● 現金で支払う手間がない
● 利用明細で支払日を簡単に確認できる
クレジットカードを利用すれば、ポイントが貯まることは知られています。しかしながら、なかには「税金の支払いは、ポイント還元の対象外」としているクレジットカードがあります。
そのなかでもセゾンカードでは、各種税金の支払いでも永久不滅ポイントが貯まります。現金で支払うよりお得です。
また、住民税をクレジットカードで支払うときは基本的に専用サイトやアプリを使うので、コンビニや金融機関にわざわざ支払いに行く手間も必要ありません。
そのほか、クレジットカードは利用明細を見れば一目で支払状況を確認できるので、住民税の支払いを確認するときも便利でしょう。
ただし、クレジットカード決済システムのシステム利用料がかかる自治体もあるので、詳細は住んでいる自治体にご確認ください。
特に個人事業主やフリーランスの方は普通徴収で住民税を支払うので、クレジットカードの活用がおすすめです。
ここでは、個人事業主やフリーランスの方におすすめのビジネスカードを2券種ご紹介します。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、決算書・登記簿謄本不要で申込み可能なビジネスカードです。年会費は無料なので、保有コストを気にする必要もなく、特に個人事業主やフリーランスにおすすめのカードになっています。
審査はありますが、納税などの高額の支払い際は一時的に利用限度額を増額することも可能なので、支払い状況に応じて活用できて便利です。
また、税金の支払いでポイントが貯まるクレジットカードはそれほど多くありませんが、本カードなら税金の支払いでも1,000円(税込)につき1ポイントの永久不滅ポイントが貯まります。
住民税以外にも各種税金に対応しているので、税金を支払う際にぜひご活用ください。
そのほか、以下のようなビジネスに役立つ特典やサービスも付帯しています。
● 支払口座は個人名義口座と法人名義から選択可能
● ビジネスシーンで使われることの多い特定の加盟店でポイントが4倍(ヤフービジネスサービスやクラウドワークスなど)
● さまざまな業種の経費の支払いが優待価格になる「ビジネス・アドバンテージ」
● 対象の店舗で最大30%がキャッシュバックされる「セゾン・アメックス・キャッシュバック(※)」
(※) 店舗・サービスごとにキャッシュバックの上限額がございます。
(※)一部還元率の異なるサービスおよび加盟店がございます。
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードも決算書・登記簿謄本不要で申込みが可能です。年会費は初年度無料、2年目以降は22,000円(税込)で利用できます。
住民税を含めた各種税金の支払いに対応するほか、以下のようなビジネスに役立つ特典やサービスを利用できます。
● さまざまな業種の経費の支払いが優待価格になる「ビジネス・アドバンテージ」
● 対象の店舗で最大30%がキャッシュバックされる「セゾン・アメックス・キャッシュバック(※1)」
● 「オムニバス」が提供するWeb集客コンサルティングサービスの優待
● 国内用モバイルWi-Fi「Wi-Ho!Biz」の優待
また、本カードは充実した特典やサービスが付帯しているのも魅力です。
国内旅行傷害保険はもちろん、条件を満たせば充実した補償内容の海外旅行傷害保険が付帯するほか、カードの利用でJALのマイルがたまる「SAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ※2)」に登録できるので、出張が多い個人事業主の方にもおすすめです。
さらに、コンシェルジュ・サービスの利用やプライオリティ・パスに登録できるなど、プラチナカードならではの特典もあります。充実した特典をビジネスで活用したい方におすすめのカードになっているので、申込みをご検討ください。
(※1) 店舗・サービスごとにキャッシュバックの上限額がございます。
(※2)2,000円(税込)につき1ポイントの永久不滅ポイントも貯まります。
(※)一部還元率の異なるサービスおよび加盟店がございます。
まとめ
住民税は所得に対してかかる地方税です。国税となる所得税とは異なり、住んでいる自治体へ納めることになります。
また、住民税の金額は均等割と所得割の合計金額となります。所得割については年間の所得に応じて金額が異なるので、算出方法を覚えておくと良いでしょう。
なお、給与所得者の場合は、毎月の給与から天引きされる形で住民税を納めるのが一般的ですが、個人事業主やフリーランスなどは自身で納める必要があります。
自治体にもよりますが、住民税はクレジットカードでも支払いができる場合があるので、確認しておくのがおすすめです。
今回ご紹介したセゾンのビジネスカードは、決算書・登記簿謄本不要で申込みが可能です。ビジネスに役立つ豊富なサービスや特典も利用できるので、住民税の支払いにクレジットカードの利用を考えている方は、セゾンのビジネスカードをご検討ください。
監修者
安田 亮
京都大学3回生在学中に公認会計士試験に合格。大手監査法人で約4年間、東証一部上場企業で6年間勤務し、その後2018年9月に神戸市中央区で独立開業。税理士業務だけでなく、連結決算などの会計コンサルティング業務も行なう。また、1級FP技能士とCFP(R)の資格も保有しており、個人のお金・家計・税金分野についても強みを持つ。お客様により具体的なアドバイスを行なうために、自らも家計管理・株式投資・節税など日々実践している。
【保有資格】
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認会計士、税理士