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税金・節税対策

【個人事業主が納める税金の種類一覧】計算方法・納税時期・節税方法も

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【個人事業主が納める税金の種類一覧】計算方法・納税時期・節税方法も
個人事業主は給与所得ではないことから、確定申告をして所得税や消費税などを納税する必要があります。事業を円滑に運営するためには正しい知識を身につけて、納税額の見通しを立てることが大切です。

この記事では、個人事業主に関わる主な税金の基礎知識を解説します。

個人事業主が納める主な税金の種類一覧と計算方法

個人事業主が納税する主な税金には、消費税、所得税、事業税、住民税の4つがあります。加えて、土地や建物といった固定資産を保有していれば、固定資産税の納税が必要です。

税金の種類 納税の時期
消費税 毎年4月1日から翌年3月31日までの課税期間に基づき、翌年の4月1日までに納税
所得税 翌年3月15日まで(確定申告期間中に納付)
個人事業税 原則、年2回(8月末と11月末)に分割納付
住民税 原則、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分割納付
固定資産税 原則、年4回に分割納付

消費税

消費税は、前々年度(基準期間)あるいは前年1月から6月(特定期間)の売上において、消費税の対象となる売上が1,000万円超の個人事業主は確定申告・納付が必要です。
消費税の税額の計算方法には、原則課税方式、簡易課税方式の2つがあります。

原則課税方式 課税期間中の課税売上に係る消費税額 - 課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額 = 消費税額
簡易課税方式 課税売上に係る消費税額 -(課税期間中の課税売上に係る消費税額 × みなし仕入率)
(参考:国税庁「消費税のしくみ」)

消費税は自宅へ納税額が通知されたら、現金振込、口座振替、e-taxによる電子納税から選んで支払います。

●売上が1,000万円以下なら消費税は免除される
個人事業主が消費税を納める必要があるかどうかは、基準期間(通常は2期前)の課税売上高によって決まるのが一般的です。具体的には、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であれば免税事業者として扱われ、消費税の納税義務が免除されます。この制度は小規模事業者を保護するために設けられており、事務負担の軽減にもつながります。

ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えると翌々年から課税事業者となり、消費税の納税が必要です。課税事業者は売上に基づく消費税額を納める義務がある一方、仕入れや経費にかかった消費税額を控除できます。

●インボイスが必要な場合は課税事業者に登録
2023年10月に施行されたインボイス制度は、個人事業主にも影響を及ぼしています。この制度では、仕入れ税額控除を受けるために取引先が適格請求書(インボイス)を保存することが義務付けられました。そのため、免税事業者であっても、取引先からインボイス発行を求められる場合があります。

インボイスを発行するためには「適格請求書発行事業者」として登録する必要があります。この登録を行うと課税事業者として扱われ、消費税の納税義務が発生しますが、取引先との関係を維持するために必要な対応となる場合があるでしょう。

インボイス制度により小規模事業者にとっての負担が増加する一方、事業の信頼性を高められるメリットもあります。自身の事業環境を考慮し、慎重に対応を検討しましょう。

インボイス制度における免税事業者への影響や対応などは、以下の記事も参考にしてください。
【記事】売上1,000万円以下の事業者への影響は?インボイス制度の内容と適用前に準備すべきポイント

所得税

所得税は、1月1日から12月31日までの1年間に得た所得(売上から必要経費を差し引いた金額)に課される税金です。課税対象期間の翌年2月16日~3月15日の期間に確定申告することで、納税額が決まります。

所得税の税額は「所得税額 = 課税所得額(所得 − 所得控除額)× 税率 − 控除額」で計算されます。税率は所得金額に応じて高くなる累進課税率で、5%~45%です。

所得税は確定申告の期間に支払い、現金振込や口座振替、e-taxによる電子納税のほか、コンビニ払い(QRコード)やクレジットカード払いにも対応しています。

●所得税の税率
所得税は、課税所得額(所得から所得控除額を差し引いた金額)に応じて異なる税率が適用される累進課税方式が採用されています。以下は、所得金額別の税率と控除額をまとめた表です。

課税所得金額 税率 控除額
1,000円〜194万9,000円 5% 0円
195万円〜329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円〜694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~899万9,000円 23% 63万6,000円
900万円〜1,799万9,000円 33% 153万6,000円
1,800万円〜3,999万9,000円 40% 279万6,000円
4,000万円〜 45% 479万6,000円
(参考:国税庁「所得税の税率」)

●所得税額のシミュレーション
所得税は、課税所得額(所得から所得控除額を差し引いた金額)に基づき、累進課税方式で計算されます。以下に、実際の計算例を示します。

例1:課税所得が300万円の場合
課税所得300万円に対する所得税額の計算式は、以下の通りです。

適用税率:10%
控除額:97,500円
計算式:300万円 × 10% − 97,500円 = 202,500円

したがって、この場合の所得税額は202,500円となります。

例2:課税所得が700万円の場合
課税所得700万円に対する所得税額は、以下の計算式で求められます。

適用税率:23%
控除額:636,000円
計算式:700万円 × 23% −  636,000円 = 974,000円

この場合、所得税額は974,000円です。

例3:課税所得が1,000万円の場合

課税所得1,000万円に対する所得税額は、以下の計算式で求められます。

適用税率:33%
控除額:1,536,000円
計算式:1,000万円 × 33% − 1,536,000円 = 1,764,000円
この場合の所得税額は1,764,000円です。

このように、所得が増えるほど税率が上がり、税額も大きくなります。正確な所得税額を計算するには、所得控除や税制改正の最新情報を確認し、確定申告で適切に処理することが重要です。

個人事業税

事業税(個人事業税)は、地方税法に定められる事業を行う個人事業主に課されます。所得税と同じく、納税額は所得によって決定され、課税対象は事業所得290万円超からです。また確定申告と同時に事業税の申告も完了します。

事業税は「事業税額 =(所得 − 各種控除)× 税率」の計算式で求められます。

事業税の計算における各種控除には青色申告特別控除(最大65万円)は含まれないため、所得税の課税所得額とは異なる計算が必要です。事業税の税率は業種ごとに異なり、3~5%の範囲で設定されています。対象となる業種は全70種類で、主な業種と税率は以下のとおりです。

区分 税率 主な事業
第1種事業
(37業種)
5% 販売業、飲食店業、保険業、出版業、製造業、運送業ほか
第2種事業
(3業種)
4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業
(30業種)
5% 医業、弁護士業、コンサルタント業、デザイン業、理容業ほか
3% あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復、その他の医業に類する事業
(参考:東京都主税局「個人事業税」)

事業税は、現金振込、口座振替、e-taxによる電子納税、コンビニ払い(QRコード)、クレジットカード払いに対応しています。ただし、各都道府県により対応が異なる場合もあります。事業税の具体的な計算例は以下のとおりです。

例1:所得が500万円で、販売業(第1種事業、税率5%)の場合
課税対象所得 = 500万円 − 290万円 = 210万円
事業税額 = 210万円 × 5% = 10万5,000円

例2:所得が800万円で、医業(第3種事業、税率5%)の場合
課税対象所得 = 800万円 − 290万円 = 510万円
事業税額 = 510万円 × 5% = 25万5,000円

住民税

住民税は、毎年1月1日時点に居住地のある市区町村に納税する地方税のことです。所得に関係なく課される「均等割」と所得に応じて課される「所得割」から成り立っています。

所得割の計算方法は「所得割額 =(所得 − 所得控除額)× 税率(10%)− 控除額」

住民税の均等割の課税額は、都道府県民税額1,000円と区市町村民税額3,000円、森林環境及び森林環境譲与税の1,000円を合わせた5,000円です。自治体によって増税や減税を行っていることもあります。

東京都の場合、令和5年まで計5,500円が課され、所得割を加えた金額が住民税の納税額です(令和5年まで防災対策として500円が加算)。

出典:東京都主税局「個人住民税」


納付書に記載の金融機関やコンビニなどで納めます。クレジットカードに対応する自治体もあるため確認しましょう。

その他の税金

個人事業主に課される税金にはほかにも、建物や自動車など一定額以上の固定資産を購入した時にかかる固定資産税があります。また、国民健康保険税(保険料)の納付も必要です。確定申告をする際は、漏れがないよう入念に確認しましょう。

個人事業主の税金の支払いタイミングは?

個人事業主の税金の支払いタイミングは?

納税額は前年度の所得で決まります。納付するタイミングをあらかじめ把握しておきましょう。

消費税

消費税の申告と支払いは課税期間の終了から3ヵ月以内、つまり3月末と決められています。自宅に納付書が届き次第、すみやかに納付しましょう。口座振替で支払う場合のみ、納付期限を3月末から4月下旬に延長できます。

所得税

原則として、所得税の支払期限は確定申告の申告期限と同日の3月15日です。消費税と同じく、口座振替のみ4月下旬に延期します。

納税額の2分の1までを5月末まで延納できる制度もありますが、延納した税額に利子税が上乗せされる場合がある点に気をつけましょう。

個人事業税

事業税は、確定申告後、8月に送られる納付書にしたがって8月と11月の2回に分けて納めます。ただし、納税額が1万円以下の場合は8月の1回で納付を完了します。

住民税

住民税の納付時期は自治体により異なりますが、期限はおおむね次のとおりです。

・第1期:6月末日(6月中に条例で定める日)
・第2期:8月末日(8月中に条例で定める日)
・第3期:10月末日(10月中に条例で定める日)
・第4期:翌年1月末日(1月中に条例で定める日)

その他の税金

固定資産税も住民税と同じく4回に分けて支払います。東京23区の令和6年度の期限を例に挙げると、納付期限は以下のとおりです。

・第1期:7月1日
・第2期:9月30日
・第3期:12月27日
・第4期:翌年2月28日

(参考:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」)


国民健康保険税も分納です。8~10回ほどに分けて納付します。納付回数や期限は自治体により異なるので、事前に確認しておくと安心です。

個人事業主が最低限知っておきたい税金対策

税金を支払う義務はありますが、できる限り抑えたいと考える事業者は多いでしょう。個人事業主が知っておきたい節税方法を3つ紹介します。

節税方法をより多く知りたい場合は、以下の記事も併せてご覧ください。
【記事】個人事業主の節税方法21選!基本とポイント、裏ワザも解説!

確定申告は青色申告で

確定申告には白色申告と青色申告があります。青色申告で確定申告を行うと、65万円の特別控除を受けることが可能です。ほかにも、赤字を黒字と相殺して税金を抑える繰越控除など、メリットが多くあります。

青色申告で確定申告を行うには、事前に申請や複式簿記による記帳など複雑な手続きが必要です。確定申告の注意点については、こちらの記事を参考にしてください。

控除制度を活用する

退職金の代わりとして個人事業主におすすめなのが小規模企業共済です。毎月1,000~7万円までの掛金の全額を所得控除できるため、将来に備えながら節税もできます。ほかにも、控除には以下のようにさまざまなものを活用できます。

●生命保険料控除
生命保険や個人年金保険などの保険料が控除対象となり、一定額を所得から差し引くことが可能です。

●医療費控除
1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超過分を所得控除できます。事業に直接関係のない個人の医療費も対象となるため、家族の医療費を含めて計算することで、控除額が増える可能性があります。

●扶養控除
配偶者や扶養親族がいる場合、所得控除を受けることが可能です。扶養親族が多いほど控除額が大きくなり、節税効果が高まります。

経費を増やす

所得税や住民税、事業税は所得に応じて納める税金が決まります。所得は売上から必要経費を差し引いた金額です。そのため、日頃から経費をもれなく記帳して所得を圧縮することを心がけましょう。

節税を目的に経費を増やすためには、日常的な支出の見直しも効果的です。特に個人事業主の場合、事業とプライベートが混在しやすいため、以下のポイントを意識しましょう。

●家事按分の活用

自宅を事務所として使用している場合、家賃や光熱費などの一部を事業経費として計上できます。これを「家事按分」と呼び、事業と私生活の割合を明確に分けることで、無駄なく経費を計上することが可能です。例えば、家賃のうち事業に使用しているスペース分を按分して経費化することが認められます。

●租税公課の見直し
自動車税や固定資産税など、事業に関連する税金は「租税公課」として経費に計上できます。特に車両や不動産を事業用途で使用している場合は、該当する税金をもれなく経費に含めるようにしましょう。

利益が800万円を超えたら法人化も検討

個人事業主としての利益が800万円を超える場合、法人化を検討することで節税効果が期待できます。これは、所得税における累進課税は所得が増えるほど税率が高くなるため、800万円以上の所得があれば法人税率(約23.2%)の方が納める税金が低くなるからです。

ほかにも、法人化するメリットには経費として認められる範囲が広がることや、取引先や金融機関からの信頼が高まりやすくなることなども挙げられます。

利益が増えるほど法人化のメリットが顕著になるため、事業の成長に合わせた判断が必要です。法人化のメリット・デメリットについてはこちらの記事にもまとめているので、こちらも参考にしてください。

ビジネスカードを活用する

ビジネスカードの活用は、経費管理や節税に大きく役立ちます。事業に関連する支払いをビジネスカードで行うことで、経費をもれなく記録でき、確定申告時の処理を効率化できます。

また、利用金額に応じてポイント還元やキャッシュバックが受けられるため、実質的に経費を削減することが可能です。さらに、貯まったポイントを事業に必要な商品やサービスの購入に充当すれば、日々の支出を効果的に節約できます。

ビジネスカードはキャッシュフローの改善にも有効で、利益が拡大している個人事業主や法人化を検討している場合には、導入を検討すると良いでしょう。

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