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税金・節税対策

個人事業主の節税方法21選!基本とポイント、裏ワザも解説!

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個人事業主の節税方法21選!基本とポイント、裏ワザも解説!
個人事業主やフリーランスにとって税金を納めることは大切ですが、自分で稼いだお金はできるだけ多く手元に残したいですよね。ただし、節税は適切な方法で行わないと、税務調査の対象となって指摘を受けたり、加算税の支払いが発生したりする恐れがあります。

この記事では、どのように節税すれば良いのか具体的なおすすめの方法21選とそれぞれのポイント、注意点を解説します。自分に合った方法を選ぶ際の参考にしてください。

個人事業主・フリーランスが納める税金の種類一覧

個人事業主・フリーランスが納める税金について解説していきます。主な税金は以下のとおりです。

  ● 所得税
  ● 消費税
  ● 住民税
  ● 個人事業税
  ● 償却資産税

所得税

所得税は、その年の所得に対して、支払う税金です。その年の売上から経費を引いたものが所得になり、所得から所得控除を引いた金額が課税所得となります。

税率は課税所得に応じて異なり、5~45%です。累進課税となっており、課税所得が多くなるほど、税率も高くなります。

納税の期限は例年、納付書で納める場合は3月15日であり、口座振替なら4月中です(休日であれば次の平日。以下同じ)。2037年(令和19)までは復興特別所得税として、所得税額の2.1%が上乗せされます。

消費税

消費税は、課税売上高に対して、支払う税金です。個人事業主の場合、前々年度の課税売上高か、前年度上半期(1~6月)の課税売上高が1,000万円を超えると納税義務が発生します。

課税売上高の消費税額から課税仕入高の消費税額を引いた金額を納付します。課税売上高が5,000万円以下で、事前に税務署へ届出書を提出していれば、簡易課税制度が適用され、納税額の計算を簡略化することも可能です。

納税の期限は例年、納付書なら3月末日であり、口座振替なら4月中です。

日本では2023年10月1日からインボイス制度(適格請求書保存方式)が導入され、個人事業主にも影響が及んでいます。導入以前、売り上げが1,000万円以下の個人事業主は免税事業者として、消費税の納付は義務づけられていませんでした。
しかし、課税事業者からの案件依頼を受けやすいことをはじめとした、インボイス制度に対応するメリットを受けるためには、個人事業主も消費税を納める必要があります。
インボイス制度が個人事業主に与える影響や登録手続きについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

住民税

都道府県や市区町村など、自治体に対して支払う税金であり、所得割と均等割の2種類があります。前者は前年度の所得金額の10%から、税額控除を引いた金額であり、後者は一定の条件を満たした人に課税され、全国一律で5,000円です。

納税の期限は、6月、8月、10月、翌年1月の末日です。5~6月中に「住民税決定通知書」が届き、納付書や口座振替などで納税します。

個人事業税

住民税と同じく、自治体に対して支払う税金です。地方税法で定められている70の業種が対象となり、その年の所得が290万円を超えると、納税義務が発生します。税率は業種によって異なり、3~5%です。納税の期限は、原則として8月と11月の末日となり、送られた納税通知書をもとに納付書か口座振替で納税します。

個人事業税についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

償却資産税

固定資産税の一種であり、1月1日の時点で事業用の償却資産を保有しており、その課税標準額の合計が150万円以上であれば、支払わなければいけません。税率は課税標準額の1.4%です。

1月末までに償却資産の所有について都道府県の税事務所に申告し、後日納税通知書が交付されます。納税のタイミングは徴収する自治体によって異なります。

個人事業主が納める税金についてはこちらの記事も参考にしてください。

個人事業主の納税額を決めるのは「確定申告と経費」!

確定申告と経費

個人事業主が納税額を決定するには、売上と経費を計上して、自ら確定申告を行わなければいけません。どのような流れで手続きするのか見てみましょう。

確定申告とは

確定申告とは、その年の売上や経費、所得などを申告し、納税額を決定する行為です。所定の様式で確定申告書を作成し、税務署に持参・郵送するか、e-Taxを使ってインターネット経由で提出します。

申告期間は所得税が毎年2月16日から3月15日、消費税は例年、1月から3月末です。

申告期間を過ぎてから確定申告すると、「無申告加算税」が上乗せされるため注意が必要です。納付すべき金額が50万円までであれば納税額の10%、50〜300万円までの部分は15%、300万円を超える部分は25%上乗せされます。

経費とは

経費とは、事業を行う上でかかる費用を指します。事業で使う物の購入代金や仕入代金、交通費、交際費、通信費、広告宣伝費、損害保険料、従業員の給料や福利厚生費、荷造運賃などが対象です。事業用であれば、家賃や光熱費、税金(租税公課)も対象になります。

逆に、個人事業主は福利厚生費を経費として計上することができません。健康診断や人間ドックにかかる費用、事業と無関係の家賃や光熱費、税金(住民税や相続税など)も対象外です。

経費は、事業を営む上で必要と見なされるため、確定申告の際に売上から控除して所得に含まれないようにします。ただし、帳簿に記録するだけでは不十分で、レシートや領収書などの証明を残さなければいけません。

個人事業主が節税するための仕組み

節税するためには、まず納税額がどのように決まるか理解することが重要です。納税額は、収入から経費や所得控除を差し引いた「所得金額」に基づいて行われます。この仕組みを理解することで、どのように経費や控除を活用すれば税負担を減らせるか把握できるでしょう。

納税額の計算方法

納税額は「課税所得」を基に計算されます。課税所得は、総収入から経費や控除額を差し引いたあとの金額です。計算式は「課税所得 = 収入 − 経費 − 所得控除」で表され、これに累進課税が適用されます。累進課税は、所得が高くなるほど税率も上昇する仕組みです。

正確な収支管理と控除の適用が、適切な納税額を計算するための基本です。つまり経費を適切に計上し、控除を最大限活用することで課税所得が減り、節税につながります。

課税所得額を減らす

課税所得額を減らすためには、まず事業に関連する支出を正しく経費として計上することが重要です。例えば、交通費や家賃の事業利用分、通信費、消耗品などが経費として認められます。

また、適切な所得控除を活用することも大切です。医療費控除や生命保険料控除、小規模企業共済への掛金なども所得控除の対象になるため、これらを漏れなく適用して課税所得を下げることをおすすめします。

税額控除を利用する

税額控除は所得控除と異なり、直接納税額そのものを減らす制度です。例えば、住宅ローン控除を利用すると、所得に関係なく納税額から直接控除を受けることができます。
経費計上や所得控除で課税所得を減らすことも重要ですが、税額控除は納税額自体を大きく減らせるため、効率的な節税方法です。適用される控除項目を確認し、利用できるものを最大限に活用することで、効果的に税負担を軽減できます。
税額控除を受ける方法や控除の種類をより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご確認ください。

個人事業主がまずは押さえておきたい3つの節税

個人事業主がまずは押さえておきたい3つの節税

個人事業主が節税するために、押さえておきたい3つの方法を知っておきましょう。

①青色申告で節税

白色申告から青色申告に申告方法を変えることは、節税の方法として効果が大きいといえます。以下で青色申告のメリットや控除を受けるための条件を紹介します。

青色申告のメリット
青色申告の最大のメリットは、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる点です。これにより課税所得が大幅に減少し、結果として納税額を抑えることができます。
また、事業が赤字になってしまった場合、損失を3年間繰り越して、翌年以降の所得と相殺できる繰越控除の利用が可能です。さらに家族を従業員として雇っている場合、その給与を全額経費として計上できる専従者給与の控除もあります。
そのほかにも青色申告をすることで、貸倒引当金の一括評価や棚卸資産の評価方法など、税務上の特例が適用されるため、経営の自由度が増します。これらの特典により、事業所得を効率的にコントロールし、節税効果を最大化できるのが大きな魅力です。

青色申告特別控除を受ける主な条件
青色申告特別控除を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。最も重要な条件は、複式簿記で帳簿を記帳し、それに基づいた正確な決算書を作成することです。
また、申請する年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。新規開業の場合は、開業届の提出から2ヵ月以内に申請しましょう。
加えて、65万円の控除を受けるためにはe-Taxによる電子申告を利用、もしくは電子帳簿保存法が定める有料な電子帳簿による保存をすることも条件のひとつです。もし紙ベースで申告する場合、控除額は最大55万円に減少します。
あわせて、家族従業員がいる場合は専従者給与に関する適切な届出も必要です。これらの手続きを怠ると、青色申告特別控除の恩恵を受けられない場合があるため、申請手続きや条件を十分確認しておくことが大切です。
青色申告についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

②経費計上で節税

先述のとおり、経費は事業を営む上で必要と見なされるため、所得には含まれません。経費が多くなるほど所得は少なくなり、所得税も少なくなります。

ただし、売上に対してあまりにも経費が多いのは不自然であり、税務署に調査される恐れがあります。また、所得が少ないと銀行からの融資を断られる場合があるため、過度に計上するのは禁物です。

③所得控除を活用した節税

売上から経費を引いた所得から、さらに「所得控除」を引けるので、適用できる所得控除が多くなるほど節税が可能です。単身でも48万円の基礎控除が適用されます。扶養する配偶者や家族がいれば、配偶者控除や扶養控除の対象です。

ほかにも、寄付金控除、社会保険料控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除などが適用できます。ただし、いずれも証明書が必要です。申告するだけでなく、証明書も大切に保管しましょう。

個人事業主の節税方法【経費計上による節税8選】

個人事業主が活用できる、経費に関連する主な節税方法には以下が挙げられます。

  ● 経費となる支出の見直し
  ● 家賃や光熱費を按分する
  ● 経費にできる税金を把握する
  ● 30万円未満の固定資産を一括で経費に計上する
  ● 短期前払費用の特例を活用する
  ● 旅費日当を経費にする
  ● 中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金を経費にする
  ● 社用車を購入する

それぞれの詳細を順に見てみましょう。

①経費となる支出の見直し

日々の支出のうち、事業に関連のある費用は経費にできるものもあります。経費として認められる可能性が高い支出の例には以下が挙げられます。

  ● 旅費交通費:電車賃、バス代、タクシー代、ガソリン代、高速道路料金
  ● 消耗品費:オフィスで使う事務用品、プリンター用紙、インクカートリッジの費用
  ● 通信費:スマートフォン、インターネット料金の事業利用分
  ● 家賃:自宅オフィスとして使う部分の家賃按分
  ● 光熱費:電気代、ガス代、水道代の事業利用分
  ● 交際費:取引先との会食や贈答品の費用
  ● 広告宣伝費:チラシやオンライン広告の費用
  ● 保険料:事業用の火災保険、賠償責任保険など
  ● 修繕費:事業用設備の修理・メンテナンス費用
  ● 車両費:事業用車両のガソリン代、車検代、保険料

普段何気なく支払っているものも、経費として計上できないか改めて見直してみることが重要です。
また、青色申告者の配偶者や15歳以上の親族が従業員として働いている場合「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出すると、報酬を給与として計上できることがあります。

②家賃や光熱費を按分する

自宅を事業所として使用する場合、家賃や光熱費の一部を事業に関連する分を「按分」という処理によって経費計上が可能です。

按分する際は、支出額に対して業務に使用する割合を基に計算します。例えば、居住空間全体の30%を事業に使用しているなら、家賃や光熱費の30%を経費にできます。正確な割合を把握し、領収書や計算根拠を明確にすることが大切です。

また、按分には自宅以外にも以下のような支出が経費と認められることがあります。

  ● 旅費交通費
    ガソリン代:自家用車を業務で使用する場合、事業で使用した距離に応じて按分
    高速道路料金:事業目的で移動した際の高速料金
  ● 光熱費
    ガス代:自宅オフィスの暖房や調理(ビジネス関係の接客など)に使う分
    暖房・エアコン費:自宅で事業に利用した際の空調の電気代
  ● 通信費
    携帯電話代:事業連絡に使った時間や通話内容に応じて按分
  ● 家賃
    駐車場代:自宅駐車場を事業用車両として利用している分
  ● 消耗品費
    トイレットペーパー、洗剤:オフィススペースで使う場合、来客用の消耗品
    ソフトウエアやアプリの利用料:業務用に購入したアプリやソフトウエアの費用
  ● 事務関連費
    家具代:事業で使用する机や椅子、キャビネットなど、自宅でのオフィス作業に必要なもの
  ● 修繕費
    住宅の修繕費:自宅オフィス部分の修理・メンテナンス費用

これらの経費を按分する場合、事業に利用した割合や時間を適切に見積もり、根拠となるデータや記録をきちんと保管することが重要です。
ただし、上記にある項目が必ずしもすべて按分できるとは限りません。正しく判断するためには、税理士や税務署に相談の上、適切に処理するようにしてください。

③経費にできる税金を把握する

個人事業主が支払う税金の中には、租税公課により経費として計上できるものが複数あります。代表的なものとして、個人事業税や固定資産税、自動車税などが挙げられます。例えば、事業用の車を所有している場合、その自動車税は経費計上が可能です。

また、土地や建物などの固定資産や自動車を按分で利用している場合、該当する税金を按分して経費に計上できます。税金に関しても事業に関連する分を正確に見積もり、経費に反映することが節税のポイントです。

経費にできる可能性がある主な税金は以下のとおりです。

  ● 個人事業税:事業所得に対して課税される税金
  ● 固定資産税:事業用の土地や建物にかかる税金
  ● 自動車税:事業で使用する車両にかかる税金
  ● 償却資産税:事業用の設備や機械にかかる税金
  ● 都市計画税:事業用の不動産にかかる税金
  ● 登録免許税:不動産購入や登記時にかかる税金
  ● 印紙税:契約書や領収書にかかる印紙代

これらも経費として計上する際は、按分する割合も含め事前に十分確認してください。

④30万円未満の固定資産を一括で経費に計上する

通常、固定資産は減価償却を通じて数年間にわたって経費として計上しますが、青色申告の場合、30万円未満の資産については購入した年に一括で経費として計上できます。

これは、パソコンや事務用品など比較的小規模な設備投資を行った場合に非常に有効です。この特例により資産購入のタイミングで即時に経費化でき、当年度の納税額を減らすことができます。

⑤短期前払費用の特例を活用する

短期前払費用の特例とは、1年以内にわたって提供されるサービスや商品に対する前払い費用を、その支払い時点で全額経費に計上できる制度です。例えば、サーバーの年間利用料や保険料の前払いを行う場合、その全額を支払った年の経費として計上できます。

ただし、契約期間が1年を超える場合や、支払いが事業の終了後に継続する場合には、この特例は適用されません。計画的に前払いを利用することで、納税額を適時に調整できます。

⑥旅費日当を経費にする

事業に伴う出張の際、宿泊費や交通費だけでなく、旅費日当を経費に含めることが可能です。旅費日当とは、食事代や現地での雑費に充てるための費用であり、従業員や自分に対して支払います。

旅費日当を経費として計上するためには、事前に旅費規程を作成し、日当額や適用条件を定めておくことが重要です。規定を設けることで税務署に認められやすくなります。

⑦中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金を経費にする

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先が倒産した場合の資金繰り対策として活用できる共済制度です。この共済に加入することで、掛金を全額経費として計上できます。

毎月5,000〜20万円まで掛金を支払うことができ、取引先倒産のリスクに備えつつ、節税もできるのが大きな利点です。また、掛金は経営状況に応じて自由に増減できるため、柔軟な資金運用が可能です。

⑧社用車を購入する

事業で使用する車を購入した場合、その購入費用を減価償却の形で経費に計上できます。具体的には、車両の耐用年数に基づいて年ごとに一定の金額を経費として計上します。

購入時の支出は大きいものの、減価償却を通じて数年にわたって経費化できるため、長期的な節税が可能です。また、車両にかかるガソリン代や保険料、修理費なども事業に関連する支出として経費に含めることができます。

個人事業主の節税方法【控除による節税7選】

節税のためには経費を増やす以外にも、控除を活用する方法がおすすめです。主な方法には以下が挙げられます。

  ● 生命保険による節税
  ● 医療費控除による節税
  ● 住宅ローン控除を活用する
  ● 扶養家族を変えることによる節税
  ● 小規模企業共済に加盟する
  ● ふるさと納税をする
  ● iDeCo(確定拠出年金)で年金を積み立てる

それぞれ順に見てみましょう。

①生命保険による節税

生命保険料控除を活用すると、所得金額から最大12万円控除できます。内訳として、生命保険料と介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合、それぞれで4万円まで控除が可能です。

要件としては、その保険金の受取人が保険料の払込みをした納税者本人または配偶者やその他の親族であることなどが定められています。また、保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とならないものもあるため注意してください。

②医療費控除による節税

医療費控除を利用することで、所得金額から支払った医療費を控除できます。控除額は1年間に支払った医療費から保険金などで補てんした分と10万円を引いた金額で、最大で200万円です。

控除を受ける場合は、確定申告の際に「医療費控除の明細書」を作成して添付しましょう。

ただし、医療費控除の対象となる医療費は規定が細かく定められているため、活用する際は申請前によく確認しましょう。例えば、風邪をひいた場合、風邪薬などの購入代金は控除の対象となりますが、ビタミン剤のような病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費控除の対象となりません。

より詳しい医療費控除の概要や節税効果については、こちらの記事も併せてご覧ください。

③住宅ローン控除を活用する

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高に対して0.7%を所得税額から直接控除できる制度です。この控除は、主に新築や中古住宅の購入、リフォームなどで適用することができます。

控除の対象期間は最大で13年間続くため、長期的な節税効果が期待できます。要件として、住宅ローンの返済期間が10年以上であることや、合計所得金額が2,000万円以下であることなどが条件です。
この制度を活用することで、住宅購入や毎月のローン返済による経済的負担を節税という形で軽減できるのが魅力です。

④扶養家族を変えることによる節税

夫婦で共働きをしている場合は、扶養家族の割り振りを変更することで、節税できる場合があります。ただし、所得によっては控除を有効活用できないケース(ほかの控除で所得がゼロになるなど)もあるため、事前に試算しておきましょう。

⑤小規模企業共済に加盟する

小規模企業共済は、個人事業主やフリーランスが将来の退職金や経営リスクに備えるための共済制度であり、掛金が全額所得控除として認められます。

掛金の上限は月7万円、年間84万円ですが、これを全額所得から控除できるため、非常に大きな節税効果が得られます。さらに、事業主が退職した際や廃業時に共済からまとまった資金を受け取ることができ、老後の資産形成にも役立つでしょう。

共済の掛金は、経営状況によって毎月支払う金額を500円単位で柔軟に変更できます。また、掛金の払込期間中でも資金が必要な場合は、契約者貸付制度を利用して掛金の範囲内で事業資金を借りられるため、緊急時の資金繰りにも役立ちます。

⑥ふるさと納税をする

ふるさと納税は、任意の自治体に寄付を行うことで、所得税や住民税が控除される制度です。実質的な自己負担は2,000円のみで、寄付金額に応じた税金の控除を受けることができます。

さらに、寄付先の自治体から返礼品を受け取ることができる点も人気の理由です。控除限度額は年収や家族構成によって異なりますが、限度額内で寄付すれば寄付額のほとんどが税金から還元されます。

手続きとして、個人事業主の場合は確定申告の際に寄付した金額から、2,000円を差し引いた金額を「寄附金控除」という項目に記入します。ふるさと納税に興味がある場合は、以下のサイトから気になる返礼品を探してみましょう。また、控除額のシミュレーションも行えるのでぜひご活用ください。

セゾンのふるさと返礼品

⑦iDeCo(確定拠出年金)で年金を積み立てる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、年金を積み立てながら節税できる制度です。掛金は全額所得控除として認められ、積み立てた資産は運用益が全額非課税となります。年金として受け取る際にも退職所得控除や公的年金等控除が適用されるため、老後の資金形成に加えて大きな節税効果が期待できます。

iDeCoの掛金は毎月一定額を設定でき、上限は自営業者で68,000円です。運用の自由度が高く、株式や投資信託など、自身のリスク許容度に合わせて選択できます。ただし、iDeCoは60歳になるまで引き出しができないため、長期的な資産運用が求められる点に注意が必要です。

iDeCoのメリット・デメリットや始め方はこちらの記事でも解説しています。

個人事業主の節税方法【プラスアルファの節税3選】

その他の節税方法も確認しておきましょう。個人事業主には以下の方法がおすすめです。

  ● 期間内に申告することによる節税
  ● 会社設立・法人化も検討する
  ● 納税はカード支払いがおすすめ

それぞれの詳細を解説します。

①期間内に申告することによる節税

先述のとおり、期間を過ぎてから確定申告をすると、無申告加算税や延滞税が上乗せされてしまいます。期間内に確定申告して、上乗せするのを防ぐだけでも立派な節税です。

②会社設立・法人化も検討する

個人事業主として事業を継続していると、一定の売り上げ規模に達した段階で法人化を検討することが有効です。一般的に、個人事業主よりも法人の方が税率が低く設定されており、目安として利益が800万円を超える場合は法人化を検討するのが賢明といえます。

法人化することで、役員報酬を設定して所得分散を図ったり、福利厚生費を経費として計上したりできるなど、さまざまな節税策の利用が可能です。
さらに、法人化によって信用力が高まり、金融機関からの融資や取引先からの信頼が得やすくなるメリットもあります。ただし、法人化には設立費用や事務処理の手間が増えるデメリットもあるため、事業の規模や利益状況に応じて慎重に判断することが大切です。

会社設立のメリット・デメリットの詳細はこちらの記事を参考にしてください。

③納税はカード支払いがおすすめ

近年は、インターネット経由でクレジットカードによる納税が可能になりました。クレジットカードによっては、ポイントを貯められるので、その分だけお得です。経費もクレジットカードで支払うと、さらにポイントを貯められるでしょう。

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個人事業主が節税する際の注意点

個人事業主が節税を行う際には、以下のようにいくつかの注意点があります。

  ● 必ずしもすべての税金対策が使えるわけではない
  ● 手続きが煩雑なものもある
  ● 手続きや届出には期限がある
  ● 過度な節税は税務調査の対象になりやすい


まず、すべての節税対策が誰にでも当てはまるわけではなく、適用要件を確認することが非常に重要です。例えば、青色申告を行うためには事前に承認を得る必要があり、控除を受けるには複式簿記を利用する必要があります。

また、節税策には申請や手続きが煩雑な場合もあるため、余裕を持って準備を進めることが重要です。特に控除や経費の適用には期限内に正確な申告を行わないと、控除が受けられないことがあります。

さらに、過度な節税は税務調査の対象になりやすいため、正確な帳簿管理と適切な書類保存を徹底することが必要です。例えば、家賃や光熱費を按分する場合、どの程度事業に使用しているか明確に説明できる根拠を用意することが大切です。税務署から指摘を受けた際にも、正確な根拠に基づいて説明できるようにしておくことで、トラブルを回避できます。

個人事業主の経費支払いはビジネスカードの活用を

ビジネスカードは法人カードとも呼ばれますが、個人事業主でも利用可能です。ビジネスカードを活用することで、ポイント還元やマイル還元以外にも以下のようなメリットが挙げられます。

  ● 経費を管理しやすくなる
  ● ビジネスとプライベートで使い分けられる
  ● ビジネスに便利な機能がある
  ● カードの利用限度額が高い


まず大きなメリットのひとつが、経費管理を効率化できることです。カードを利用することで日々の経費の支払いがわかりやすく記録され、経費精算に関連する業務の効率化に役立ちます。会計ソフトと連携することで経費の仕訳や集計が自動化され、さらに現金払いの手間も減り、キャッシュフローの改善につながるでしょう。

また、個人事業主は日々の支払いにおいて、ビジネスとプライベートの区別がつけにくいケースが多くあります。個人のカードとビジネスカードを使い分けることで、あとから明細を見るような場合でも簡単に判断しやすくなります。

ほかにも、ビジネスカードには出張時の旅行保険や特典、コンシェルジュサービスなどが付帯されていることも多く、ビジネスに便利な機能が多くある点や、カードの利用限度額が個人カードよりも高く設定されており、経費の支払いにおける利便性が高いことなどもメリットです。

税金対策はできることから始めよう

個人事業主は、青色申告や経費の計上、所得控除の適用などで節税できます。それぞれ、手続きや申告が必要なので、確定申告の際に忘れず済ませておきましょう。クレジットカードを活用すると、ポイントが貯まったり、経費の管理が楽になったりします。

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支払いをカードで行うだけで実質的な支払額が減るため、煩雑な手続きもなくすぐに節税の効果を得ることができます。興味のある方は、ぜひこの機会に導入をご検討ください。