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副業にも税金がかかる?確定申告の基準と必要書類・手続きを解説
副業でまとまった収入を得たときに注意したいのが、確定申告の申告漏れです。特に本業の会社で年末調整の書類を提出した方は、副業に関する確定申告を忘れていないか確認してみましょう。
ここでは副業に対する税金の有無や、確定申告を行う基準、詳しい手続きについて紹介します。
そもそも副業とは?
そもそも、本業と副業の違いはどこにあるのか疑問に思う方も多いでしょう。まずは副業の定義や収入の分類について解説します。
副業とは?
副業とは、本業とは別に収入を得ることを指します。かつては多くの企業が業務への影響や情報漏えいなどのリスクから原則禁止としていましたが、近年は本業に影響のない範囲でのみ許可する企業が増えてきました。
本業との違いは、副業のほうが業務負担や収入が少ない傾向にあることです。アルバイトやパートなど労働のほか、投資なども(本業として行っていないものは)副業にあたります。
副業で得た収入はどのように分類される?
副業で注意したいのが、得た収入によっては税金が発生することです。前述のとおり副業と一口に言ってもアルバイトやパートなどのほかに投資も含まれるため、収入源によって分類が異なります。
収入に関わる申告をスムーズにするためにも、副業で得た収入の分類を正しく理解しておきましょう。基本的な副業に関係する所得の分類は、以下のとおりです。
所得の分類 | 収入源の具体的な例 |
---|---|
給与所得 | アルバイト・パートなど |
雑所得 | FX取引や仮想通貨、衣服など資産の売却、役務の提供など |
事業所得 | モデルの撮影料やハンドメイド品の販売など |
不動産所得 | 家賃収入 |
譲渡所得 | 株式投資や骨董品などの売却 |
配当所得 | 株式投資などの配当 |
企業の正社員が、本業とは別にアルバイトで収入を得ている場合は、本業と同じく給与所得としての収入となります。
一方で正社員が不動産投資で家賃収入を得ている場合は、副業分は不動産所得に分類されます。
副業による収入が、どの所得に分類されるか分からないときは、税務署や税理士に確認しましょう。
副業にも税金が発生する場合もある!確定申告の基準と年末調整との関係
副業をするうえで覚えておきたいことが、収入金額によっては本業とは別に税金が発生する場合もあることです。税金が発生するほどの収入となると、確定申告の必要性も考えなくてはなりません。
そこでこの項目では、副業で確定申告が必要となる(税金が発生する)基準について解説します。
副業の種類別「確定申告」の有無
副業による所得の種類はアルバイトなどの給与所得か、個人で仕事を受けた場合の雑所得となるケースが一般的です。本業ですでに年末調整をしている方も、副業の内容によっては確定申告が必要となります。
・副業の所得が給与にあたる場合…年末調整していない分の収入に対して
・副業の所得が雑所得となる場合…年末調整していない分の所得に対して
上記のどちらの場合も、一定金額を超える収入があれば確定申告を行わなくてはなりません。
また、副業の有無に関わらず、本業の年収が2,000万円を超える場合も確定申告が必要です。
20万円ルールとは?
確定申告の必要性を判断する基準のひとつが、20万円ルールです。本業とは別に得ている収入が年間20万円を超える方は、確定申告を行う必要があります。
ただし前述のとおり、副業で20万円を超える所得が給与なのか雑所得なのかで、計算方法は異なります。収入と所得の違いは以下のとおりです。
・収入…給与の額面どおりの金額
・所得…経費を差し引いた残りの金額
副業がアルバイトで、本業と合わせると2ヶ所以上から給与をもらっている方の場合は、収入(給与の額面どおりの金額)が年間20万円以上であれば確定申告が必要です。
副業がモデルや執筆業などの報酬(給与以外)として収入を得ている場合は、経費を差し引いた残りの所得が20万円を超えるときに確定申告が必要となります。経費とは、仕事をするために購入した資料や備品などの代金です。
副業で確定申告が不要なケース
副業による収入で確定申告が必要となるのは、上記のとおり本業以外の収入もしくは所得が年間20万円を超える場合です。反対に収入や所得が20万円以下となる方は、確定申告が不要となります。
特に副業が給与所得ではなく雑所得にあたる方は、経費を差し引くことで所得が20万円以下となる可能性があるため、まずはかかった経費を計算してみましょう。
また、人によっては副業の収入や所得が年間20万円以下であっても、確定申告を行ったほうが得をすることがあります。支払った税金が多ければ還付が受けられるため、収入の金額に関係なく確定申告を行ってはいかがでしょうか。
副業と年末調整の関係
副業を行っている場合も、本業の会社での年末調整は必要です。複数の会社から給与が支給されている方は、最も金額が高い会社で年末調整を受けることとなります。本業の会社で年末調整を行ったあとに、確定申告を行います。
副業を行っていても、年末調整の手順や内容に大きな影響はありません。年末調整では、扶養控除や配偶者控除のほか、生命保険料控除や2年目以降の住宅ローン控除などを申告します。一方、医療費控除や、ふるさと納税などの寄附金控除を受ける方は、年末調整では申告できないため確定申告時に記載しましょう。
年末調整で各控除の申告を行った分は、確定申告書に会社から発行された源泉徴収票の金額を転記する必要があります。
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副業の所得の計算方法は?
確定申告を行うときは、所得の種類ごとに計算して申告書に記載します。雑所得の場合は収入から経費を差し引いた金額となりますが、副業も給与の場合は経費を差し引くことはできません。
代わりに給与の金額に応じて、一定の給与所得控除を差し引いた金額を記載します。本業も給与となるため、合算した収入金額を元に所得金額を求めましょう。
確定申告の必要書類と申告書類の記載方法
確定申告は専用の書類に記載して提出するだけではなく、本人確認や所得・支出を証明するための必要書類も用意しなくてはなりません。ここでは確定申告の必要書類と、申告書類の記載方法について解説します。
確定申告の必要書類
確定申告で提出が求められる書類は、以下のとおりです。
・本人確認書類:マイナンバーカードや身元確認書類など
・銀行口座番号がわかるもの:通帳など
・所得がわかる書類:源泉徴収票や支払調書など
・支出がわかる書類:領収書・レシートなど
・控除を受けるための証明書類:寄付金の受領証など
本人確認書類は、マイナンバーカードを持っていない場合は運転免許証やパスポートなどの身元確認書類のほかに住民票やマイナンバー通知書なども利用できます。
所得は源泉徴収票や支払調書などのほか、年間取引計算書(株式の場合)や不動産売買時の売買契約書や領収書なども含みます。控除は申告したい控除の内容に応じた書類が必要で、たとえば医療費控除を希望する方は医療費や交通費の明細書を用意しましょう。
青色申告と白色申告
確定申告は、青色申告と白色申告があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
・青色申告:事前に承認が必要な申告
・白色申告:事前に承認は不要な申告
青色申告は複式簿記で帳簿をつけることが義務付けられており、事前に税務署へ開業届を出し、承認を受ける必要があります。手続きや記帳が複雑なため、手間がかかりますが、65万円もしくは10万円の特別控除を受けられるうえ、赤字を3年間繰り越せるなどのメリットがあります。
白色申告は事前の承認が必要なく、多くの方が利用できる一般的な申告方法です。単式形式での帳簿付けが可能で確定申告の内容もシンプルなため、複雑な知識を要しません。一方で、青色申告のように大幅な特別控除を受けられないことや、赤字の繰り越しができない点はデメリットと言えるでしょう。
確定申告の手続き
確定申告の手続きの流れは、青色申告も白色申告も大きな違いはありません。手続きの大まかな流れは、以下のとおりです。
1.取引を記帳する:収入や支出を記帳しておく
2.必要書類を集める:支払調書などをもらっておく
3.確定申告書に記載する:所得などを計算して申告書に記載する
4.管轄の税務署に申告する:3月15日までに申告書と必要書類を提出する
事前準備として、毎月の収入や支出をこまめに帳簿に記帳しておきます。支払調書や本人確認書類など、申告書とあわせて提出する書類も早めに用意しておきましょう。控除を受ける場合は関連する書類も必要です。
帳簿の情報をもとに、計算した所得などを確定申告書に記載していきます。確定申告は毎年(特例を除いて)3月15日が提出期限となっているため、当日までに書類を提出するかオンラインで申告を済ませましょう。
確定申告書への記載方法
ここでは副業の代表例として、雑所得の場合の記載方法のポイントを紹介します。
・本業は給与所得として記載する
・副業は雑所得として記載する
・収入欄は源泉徴収票の「支払金額」を記載する
・給与の所得欄は「給与所得控除額の金額」を記載する
・雑所得の所得欄は「収入から経費を差し引いた金額」を記載する
確定申告書では収入と所得をそれぞれ記載するため、源泉徴収票の金額を転記する部分と計算した金額を記載する部分の違いに注意してください。副業による雑所得は、基本的に「業務」欄に記載します。
ちなみに「副業の分を確定申告すると、会社に副業していることがバレてしまう」と心配している方は、確定申告時に工夫することでリスクを軽減することができます。確定申告書の第二表にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で、自分で納付する項目にチェックをつけておくだけです。
副業に対する住民税の金額の通知や納付書のみが自宅に届くようになり、本業の分は従来どおり会社に届くため、住民税の金額から副業がバレるリスクはなくなります。
まとめ
副業をする方が増えつつある近年、注意したいのが確定申告の申告漏れや記載内容の誤りです。本業で年末調整を行っている方も、副業の金額によっては確定申告が必要となるため、まずは年間所得金額を確認することから始めましょう。
確定申告をすることで副業が会社にバレてしまうと心配している方は、住民税の支払い方法を工夫することでリスクを軽減できます。副業の収入が多いにも関わらず確定申告を行わなかった場合はペナルティもあるため、必ず毎年申告を忘れないようにしましょう。