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【3分で解説!】個人事業主が納める税金の種類と計算
しかし、個人事業主のメリットとして、経費として処理できる税金もあります。
ここでは、個人事業主が支払う税金を、経費にできるかどうかという観点から分類し、計算方法、支払いの時期などをわかりやすく解説していきたいと思います。
個人事業主が納める税金は2種類
個人事業主が治める税金には「租税公課」と「事業主貸」の2種類があります。まず、その違いを解説します。
■租税公課
事業そのものにかかる税金のことです。事業の運営に必要なコストなので、経費として計上することが可能です。経理上は「租税公課」という勘定科目で仕訳されます。
<租税公課として経費にすることが可能な税金例>
個人事業税
消費税
固定資産税
不動産取得税
自動車税
登録免許税
印紙税
会費や組合費(組合や商工会議所など)
■事業主貸
事業ではなく、個人事業主の個人にかかる税金のことです。事業には関係ないので、経費としての処理はできません。経理上は「事業主貸」という勘定科目で仕訳されます。
<事業主貸として経費にすることができない税金例>
所得税
相続税
都道府県民税、市町村税、住民税
国税や地方税の延滞金や加算金
罰金(交通違反など)
なお個人事業主では、自動車税や固定資産税、不動産取得税などは、事業での使用用途と個人の使用用途とが重複している場合が少なくありません。そんな場合は、事業用(租税公課)と個人用(事業主貸)の2つに税額を分散させる必要があります。これを、複合仕訳と言います。
1.租税公課の解説
個人事業主が事業として納め、経費として計上できる税金「租税公課」のなかでも、大きな存在といえる「個人事業税」と「消費税」の2つについて詳しく解説します。
■個人事業税
個人事業主が、各市区町村に納付する地方税です。
すべての個人事業主ではなく、指定された業種の個人事業主のみに課税され、税率が業種ごとに決まっているという特徴があります。
とはいえ、業種を見るとほとんどの個人事業主は該当していると言えるでしょう。
第1種事業:物品販売業や料理店業、出版業など37業種。税率5%。
第2種事業:畜産業、水産業、薪炭製造業の3業種。税率4%。
第3種事業:医業や弁護士業、理美容業など28業種は税率5%。鍼、マッサージ
指圧などの医業、装蹄師業の2業種は税率3%。
毎年8月頃にお住いの地域に該当する都道府県税事務所から「納税通知書」が送付されます。
納付時期は2つに分かれます。第一期分は8月末、第二期分は11月末となります。
なお地域によっては、上記のスケジュールと異なる納期となる場合もあります。あらかじめ確認をしておきましょう。
個人事業税の対象となる業種はこちらを参照してください。
個人事業税に関する法定業種と税率(東京都主税局)
■消費税
消費税は、商品などを販売するときにかかる税金です。消費税の処理方法は、税込経理方式と税抜処理方式があり、前者の税込処理方式の場合、租税公課で処理されます。
例えば、「税抜価格1,000円の商品」を販売した場合、消費税は10%なので購入者は1,100円を支払います。
この100円を、消費税として納める必要があるということです。
ただし消費税には、「小規模事業者の納税義務の免除」という制度があり、前々年(2年前)の課税売上金額が1,000万円以下の場合、消費税の納付を免れることができます(免税事業者)。つまり、どんなに売上金が高額であっても「開業して2年間は免税事業者」ということになります。
なお、前年の1月〜6月の「特定期間」の間に課税売上と給与支払額の両方が1,000万円を超えた場合、消費税の課税事業者になります(課税売上と給与支払額のどちらか一方が1,000万円以下になる場合は、免税事業者となります)。
消費税の納付時期は、毎年3月31日までとなっています。しかし前述のとおり、自営業者の方で、開業から2年経過後、前々年の課税売上が1,000万円以下の場合は、納付する必要がなくなりますので覚えておきましょう。
2.事業主貸の解説
個人事業主が、事業とは別に個人として納める税金「事業主貸」は、事業の経費としては計上できません。主な事業主貸の「所得税」と「住民税」の2つについて詳しく解説します。
■所得税
所得税は、所個人事業主が、1月1日から12月31日までの1年間で得た利益(所得)にかかる国税の税金です。毎年おおむね3月15日までに確定申告を作成・提出し、その内容で金額が決定されます。なお、所得は「売上-経費などの支出=所得」で、「売り上げ金額」ではありません。
なお、2013~2037年までは、所得税に「復興特別所得税」(所得×2.1%)を併せて申告・納付します。これは、東日本大震災に関する復興施策の財源となります。
納付期限日は、その年の確定申告の提出期限日(多くの場合、3月15日)になります。もし支払期限までに本来の納税額を半分以上納めた場合は、残りの納税額を期限後に延期できます。しかしその際は、延期をした金額に対して年率1.8%の利子税が加算されます。
■住民税
住民税は、居住している市区町村に納付する税金です。所得税(国税)の支払額に応じて自動的に計算、決定されます。
住民税は「市県民税」とも呼ばれ、都道府県民税と市区町村民税の合計額を、各市区町村の窓口に納付することになります。
納付時期に関しては、毎年6月中旬あたりにお住まいの地域から「納税通知書」が送付されます。
通常の納付時期は、「普通徴収」と呼ばれる分割払い(4回払い)で、6月末、8月末、10月末、翌年1月末となります。住民税は、一括払いか分割払いかも選ぶことができますが、税額に変化はありません。
所得控除の解説
税金のなかには、租税公課(事業経費)として処理はできませんが、控除対象になるものもあります。その代表例が「国民健康保険」や「国民保険」です。
国民健康保険や国民保険は、どちらも事業主個人にかかる税金なので、租税公課として処理することはできません。仕訳上は事業主貸となります。
しかし、この2つは所得税の「社会保険料控除」の対象になります。控除額の支払いは免除されるので、節税につながります。
個人事業主が支払う各種税金の計算方法
■個人事業税
個人事業税は所得税の税額で自動的に算出されるので、自分で計算する必要はありません。
個人事業税の計算式
(収入−必要経費−各種控除−事業主控除(290万円))×税率=個人事業税の納付税額
収入から経費と各種控除をマイナスした金額が290万円を下回った場合は、個人事業税を納付する必要はありません。
■消費税
消費税は、以下の計算式で算出されます。
消費税の計算式
課税売上高の10%−課税仕入等の10%=消費税の納付税額
前述のとおり、開業から2年間の自営業者、前々年の課税売上が1,000万円を超えない自営業者も、免税事業者となっている可能性が高くなります。
■所得税
所得税は、以下の計算式で算出されます。
所得税の計算式
1年間の収入(売上など)−必要経費−各種控除=課税所得金額
課税所得金額×税率(※)−課税控除額=所得税の納付税額
(※)税率は、課税所得の金額によって変動します。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 ~ 1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
■住民税
住民税は所得税の税額で自動的に算出されるため、自分で計算する必要はありませんが、計算方法は下記のようになります。
住民税は「市区町村民税」と「都道府県民税」の2つの税金の合算になります。
また、所得にかかわらず一定金額の「均等割(おおむね4,000〜5,000円 ※)」と、所得に応じて変動する「所得割」の合計額で算出されます。
(※東日本大震災復興基本法に基づき、2023年まで5,000円。それ以外は4,000円。)
住民税の計算式
課税所得(所得金額−所得控除)×税率(10%)−税額控除+均等割(4,000〜5,000円)=住民税の計算式
個人事業主が納める税金の納付スケジュール
個人事業主が納める税金の納付スケジュールを租税公課、事業主貸、その他に分けて表にまとめました。
個人事業税 | 第1期8月31日、第2期11月30日 |
---|---|
消費税 | 2021年3月31日(2020年分) |
固定資産税 | 市区町村や年度ごとで異なり、4期に分けて納付する |
不動産取得税 | 申告後、送られてくる納税通知書に記載されている納期限(原則として発送月の月末)までに納付 |
自動車税・軽自動車税 | 5月31日 |
登録免許税 | 登記の申請をするときに納付 |
所得税 | 年に1度、3月15日の確定申告(振替日の確認はこちら) |
---|---|
相続税 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内 |
住民税 | 6月から年4回納付 |
国民健康保険 | 市区町村ごとで異なる |
---|---|
国民年金 | 毎月納付。前納もできる |
個人事業主ができる5つの節税方法
個人事業主ができる節税方法を5つご紹介します。
①青色申告で確定申告を行う
個人事業主が行う確定申告には白色申告と青色申告の2種類があります。青色申告にすると作成する書類は多くなるものの、10万円または最大65万円の特別控除を受けられます。控除額以外にも、青色申告だと家族に支払った給料も適正基準であれば、経費として計上できるなどのメリットがあります。
②消費税や固定資産税は経費にする
事業税・消費税や固定資産税、自動車税、印紙税など事業にかかわるものは必要経費とすることができますので、忘れずに計上しましょう。
③家賃や光熱費を経費計上する
自宅を事務所としている場合は、家賃や水道光熱費、固定電話費用、インターネット料金など、仕事に使用した分について「家事関連費」として、経費に計上可能です。
家賃や水道光熱費などは実際に使用している面積、時間を按分として、事業の経費にできます。賃貸の場合、家賃や共益費、礼金、仲介手数料なども経費になりますが、敷金は経費になりません。持ち家の場合は、返済中のローンの元金以外を経費とできます。
④個人事業主などのための退職金制度「小規模共済」に加入する
「小規模共済」とは、個人事業主などを対象とした個人事業主の退職金のような制度で、毎月の掛け金を積み立てていきます。
月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能です。加入後も増額・減額できます。
確定申告の際は、その全額を課税対象所得から控除できるため、高い節税効果を期待できます。例えば、月々の掛け金を最高額の70,000万円に設定すると、年間で最大84万円が控除の対象となります。
共済金は、退職・廃業時に受け取り可能。満期や満額はありません。共済金の受け取り方は「一括」「分割」「一括と分割の併用」が可能。一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットもあります。
契約者は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を利用することも可能です。低金利で、即日貸付けもしてくれます。
⑤連鎖倒産などを防止するための制度「経営セーフティ共済」に加入する
節税のために、取引先が倒産した時の連鎖倒産などを防止するための制度「経営セーフティ共済」に加入するというのもひとつの方法です。
経営セーフティ共済は、「取引先の倒産」という事態不測の事態に直面した中小企業が、必要となる事業資金を速やかに借入れできる共済制度です。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認がすみ次第、すぐに借り入れられます。
掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額可能。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できるため、節税効果が期待できます。
共済契約を解約した場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります。ただし、12か月未満は掛け捨てとなりますので、注意が必要です。
個人事業主の納税はクレジットカード払いがおすすめ
このように個人事業主には支払わなければならないさまざまな税金があります。納付時期はいつなのか、いくら支払えばよいのか、納付するにはどの方法が最も効率がよいのかなど、迷う方は多数いらっしゃると思います。
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セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードのメリットを解説
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セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードのメリットを解説
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よくある質問
Q1 個人事業主が納める税金の種類は?
個人事業主が治める税金には「租税公課」と「事業主貸」の2種類があります。
Q2 租税公課とは?
個人事業主が事業として納め、経費として計上できる税金「租税公課」の中には、「個人事業税」と「消費税」の2種類があります。
Q3 事業主貸とは?
個人事業主が、事業とは別に個人として納める税金「事業主貸」は、事業の経費としては計上できません。主な事業主貸の「所得税」と「住民税」の2種理になります。
Q4 控除対象となる税金は?
税金の中には、租税公課(事業経費)として処理はできませんが、控除対象になるものもあります。その代表例が「国民健康保険」や「国民保険」です。
まとめ
個人事業主にとって税金は、整理がたいへんで非常に厄介な存在です。しかしそれを克服すれば、経理業務が大幅に効率化され、事業の業績アップにも貢献します。
税金についての知識を深め、税金と上手に付き合っていきましょう。
個人事業主・経営者様向けの1枚
決算書、法人登記簿不要!