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住宅借入金等特別控除申告書の書き方を詳しく解説!必要な書類や適用要件もご紹介
そこで、この記事では、住宅ローン控除を受けるために提出する「住宅借入金等特別控除申告書」の書き方を詳しく解説します。必要な書類や適用要件など、経理・労務・総務担当者が知っておくべきことをご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
住宅借入金等特別控除とは?
住宅借入金等特別控除とは、個人が住宅ローンなどを利用してマイホームの新築・取得・増改築などを実施し、一定の要件を満たす場合に、所得税から控除を受けられる仕組みです(所得税から控除しきれなかった場合は、住民税から控除)。
一般的には、「住宅ローン控除」と呼ばれています。この単語であれば、見聞きした経験をお持ちの経理・労務担当者も多いのではないでしょうか。以下、適用条件などをご紹介するので、従業員から相談されても対応できるように、内容を正確に把握しておきましょう。
住宅借入金等特別控除の適用要件
以下、住宅借入金等特別控除の適用要件を、「共通の要件」と「住宅などの区分に応じた要件」の順にご紹介します。
共通の適用要件
まず、住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、以下の9要件をすべて満たす必要があります。
1. 住宅の新築などの日から6ヵ月以内に居住の用に供している
2. 控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住の用に供している
3. 「住宅の床面積が50平方メートル以上で、床面積の2分の1以上を専らご自身の居住の用に供している」かつ「控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下」(※)
4. 新築・取得のために、10年以上にわたって分割して返済する一定の借入金または債務がある
5. 2つ以上の住宅を所有している場合は、「主として居住の用に供する」と認められる住宅であること
6. 居住年、および、その前2年の計3年間に、所定の「譲渡所得の課税の特例」の適用を受けていない
7. 居住年の翌年以後3年以内に居住した住宅以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について所定の「譲渡所得の課税の特例」を受けていない
8. 取得時および取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係のある者からの取得ではない
9. 贈与による住宅の取得ではない
上記の内容は概略です。詳細については、国税庁や国土交通省の公式サイトなどでご確認ください。
(※)特例居住用家屋または特例認定住宅などの場合は、「住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満で、床面積の2分の1以上を専らご自身の居住の用に供している」かつ「控除を受ける年分の合計所得金額が1,000万円以下」
住宅などの区分に応じた適用要件
前の章でご紹介した「共通の適用要件」に加えて、下表に示す「住宅などの区分に応じた適用要件」も満たさなければ、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。
住宅などの区分 | 適用要件 |
認定長期優良住宅 | 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」11条1項で規定されている「認定長期優良住宅」に該当 |
低炭素建築物 | 「都市の低炭素化の促進に関する法律」2条3項で規定されている「低炭素建築物」に該当 |
低炭素建築物とみなされる特定建築物 | 「都市の低炭素化の促進に関する法律」12条で規定されている「認定集約都市開発事業により整備された特定建築物」で、同法16条の規定によって「低炭素建築物」とみなされる建築物に該当 |
特定エネルギー消費性能向上住宅 | 「エネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅」の用に供する家屋として、所定の基準に適合 |
エネルギー消費性能向上住宅 | 「エネルギーの使用の合理化に資する住宅」の用に供する家屋として、所定の基準に適合 |
控除を受けるための手続き
控除を受けるための手続きは、「初年度」と「2年目以降」で異なるのでご注意ください。以下、それぞれについて説明します。
初年度
確定申告書に必要事項を記入したうえで、後述する書類を添付して、納税地(原則として住所地)の所轄税務署に提出しなければなりません。
年末調整では手続きを行えないので、給与所得者(会社員、公務員など)も、初年度は確定申告をする必要があります。
2年目以降
給与所得者(会社員、公務員など)の場合、2年目以降は年末調整で手続きが可能です。しかし、事業所得者の場合、2年目以降も確定申告を行わなければなりません。
勤務先または税務署に提出する書類は、次の章以降でご紹介します。
控除を受けるために必要な書類
ここからは、初年度に必要になる「共通の提出書類」「住宅などの区分に応じた提出書類」、および、2年目以降に必要になる書類(「事業所得者の場合」と「給与所得者の場合」)をご紹介します。
共通の提出書類
初年度は、以下に示す書類を確定申告書に添えて税務署に提出する必要があります。
● 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(※1)
● ローンを組んだ金融機関などから交付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
● 家屋の「登記事項証明書」など(床面積が50平方メートル以上(※2)であることを明らかにする書類)
● 家屋の「工事請負契約書」または「売買契約書」の写しなど(家屋の取得対価の額を明らかにする書類)
● 土地の購入に関する住宅借入金などについて控除を受ける場合は、土地の「登記事項証明書」など(敷地の取得年月日を明らかにする書類)、および、土地の「売買契約書」の写しなど(土地の取得対価の額を明らかにする書類)
● 国または地方公共団体などから補助金などの交付を受けた場合は、市区町村からの「補助金決定通知書」など(補助金などの額を証する書類)
● 住宅取得等資金の贈与の特例を受けた場合は、「贈与税の申告書」など(住宅取得等資金の額を証する書類)の写し
詳細については、国税庁公式サイトなどでご確認ください。
(※1)国税庁公式サイトからダウンロード可能
(※2)特例居住用家屋または特例認定住宅などの場合は、40平方メートル以上50平方メートル未満
住宅などの区分に応じた提出書類
初年度は、前の章でご紹介した「共通の書類」に加えて、下表に示す「住宅などの区分に応じた書類」も、確定申告書に添えて税務署に提出する必要があります。
住宅などの区分 | 提出書類 |
認定長期優良住宅 | ● 都道府県または市区町村などの長期優良住宅建築等計画などの「認定通知書」の写し ● 市区町村の「住宅用家屋証明書」(「認定長期優良住宅に該当する」などの記載があるもの)、または、建築士などが発行した「認定長期優良住宅建築証明書」 |
低炭素建築物 | ● 都道府県または市区町村などの低炭素建築物新築等計画の「認定通知書」の写し ● 市区町村の「住宅用家屋証明書」(「認定低炭素住宅に該当する」などの記載があるもの)、または、建築士などが発行した「認定低炭素住宅建築証明書」 |
低炭素建築物とみなされる特定建築物 | ● 市区町村の「住宅用家屋証明書(特定建築物用)」 |
特定エネルギー消費性能向上住宅 | ● 建築士などが発行した「住宅省エネルギー性能証明書」、または、登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写し(断熱等性能等級に関する評価が等級5以上、および、一次エネルギー消費量等級に関する評価が等級6以上であるもの) |
エネルギー消費性能向上住宅 | ● 建築士などが発行した「住宅省エネルギー性能証明書」、または、登録住宅性能評価機関の「建設住宅性能評価書」の写し(断熱等性能等級に関する評価が等級4以上、および、一次エネルギー消費量等級に関する評価が等級4以上であるもの) |
2年目以降の提出書類(事業所得者の場合)
事業所得者の場合、2年目以降は、以下の書類を確定申告書に添えて税務署に提出する必要があります。
● 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
● ローンを組んだ金融機関などから交付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は国税庁公式サイトからダウンロード可能です。印刷したうえで、必要事項を記入しましょう。
2年目以降の提出書類(給与所得者の場合)
給与所得者の場合、2年目以降は、「勤務先」に以下の書類を提出することによって「年末調整」で控除を受けることが可能です。
● 「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」(税務署から交付された用紙に、控除を受ける方や給与の支払者が必要事項を記入)
● 「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」(ローンを組んだ金融機関などから交付される)
「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の書き方は、次の章で詳しく説明します。
住宅借入金等特別控除申告書の書き方
2年目以降、年末調整で控除を受けるために勤務先に提出する「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」に記入する主な事項を、下表にまとめました。
控除を受ける従業員が記入する項目 | ● 本人の氏名 ● 世帯主の氏名、本人との続柄 ● 住所または居所 ● 新築または購入に係る借入金などの計算(「住宅借入金などの年末残高」「控除額」など) |
給与の支払者が記入する項目 | ● 給与の支払者の名称(氏名) ● 給与の支払者の法人番号 ● 給与の支払者の所在地(住所) |
勤務先(給与の支払者)が記入する欄と、控除を受ける方が記入する欄が存在するのでご注意ください。なお、一定の要件を満たす借換えをした場合は、以下の式で計算した金額を「住宅借入金などの年末残高」の欄に記入します。
本年の住宅借入金などの年末残高×(借換え直前の当初残高÷新たな住宅借入金などの当初残高)
詳細については、国税庁公式サイトの「記載例」などでご確認ください。
業務の効率化も検討する
企業で経理や労務、総務などを担当している方は、多種多様な業務に追われているのではないでしょうか。取り扱う文書の種類は多岐に渡り、住宅借入金等特別控除申告書をはじめとして、さまざまな書類への対応に多大な時間を費やしているかもしれません。
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まとめ
ローンを組んで住宅を購入し、一定の要件を満たす場合は、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を受けることが可能です。「初年度と2年目以降」「事業所得者と給与所得者」で、手続きが異なるので注意しましょう。
給与所得者の場合、2年目以降は、「住宅借入金等特別控除申告書」を勤務先に提出することで、年末調整で控除を受けられます。必要事項の記入・提出をする際には、この記事や国税庁公式サイトなどを参考にしてください。
企業で経理や労務、総務などを担当している方は、従業員から申請があった際にスムーズに対応できるように、書き方などを正確に把握しておく必要があります。不明な点がある場合は、1人で悩み続けるのではなく、税務署や税理士などに相談しましょう。
なお、経理や労務、総務などを担当している方は、住宅借入金等特別控除への対応をはじめとして、日々、さまざまな業務に追われ、神経をすり減らしているのではないでしょうか。
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