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雇用保険とはどのような制度?加入条件や保険料の計算方法などを解説
しかし、雇用保険にはどのような種類があり、加入するためにはどのような手続きをすれば良いか、わからない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、雇用保険の概要や種類・手続きの方法などについて、説明します。
保険手続きのような事務手続きを行う機会の多い事業主の方におすすめのビジネスカードも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
雇用保険とはどのような制度?
雇用保険は、従業員が失業した場合や雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に備える、厚生労働省が運営している公的な保険制度です。
従業員の「生活および雇用の安定」と「就職の促進」を目的として、設けられています。
雇用保険の種類
雇用保険における給付には、以下に挙げるようにいくつかの種類があります。
● 求職者給付
● 就職促進給付
● 教育訓練給付
● 雇用継続給付
それぞれの給付について詳しく説明します。
求職者給付
求職者給付は、従業員が退職した後に、求職活動をする間の生活の保障や活動支援のために行われる給付で、以下に挙げるような手当が含まれます(いずれも一般被保険者(65歳未満)の求職者に対する手当)。
● 基本手当
● 技能習得手当
● 寄宿舎手当
基本手当は一般的に「失業保険」と呼ばれるもので、要件を満たした場合に退職前の賃金日額の45~80%が支給されます(割合は退職前の賃金日額に応じて変動)。
受給日数は退職時の年齢や雇用保険の被保険者だった期間などによって90~360日の間で変動し、退職理由が自己都合ではなく会社都合のほうが、受給日数は長くなります。
技能習得手当は、公共職業安定所の指示により職業訓練を受けた場合に支給される手当です。
受講手当と通所手当の2種類があり、受講手当は日額500円(上限2万円)、通所手当は通所方法によりますが月額最高42,500円です。
寄宿舎手当は、職業訓練を受けるために同居家族と別居して寄宿する場合に支給される手当で、月額10,700円です。
なお、65歳以上の高年齢被保険者に対する手当としては、「高年齢求職者給付金」があります。
高年齢求職者給付金は、65歳以上の方に対して基本手当の代わりに支給されるもので、退職前の賃金日額の50~80%が支給されます(割合は退職前の賃金日額に応じて変動)。
支給日数は、雇用保険の被保険者であった期間が1年未満の場合は30日で、1年以上の場合は50日です。
就職促進給付
就職促進給付は、従業員が退職した後に、早期再就職を支援するために行われる給付で、以下に挙げるような手当が含まれます。
● 再就職手当
● 就業促進定着手当
● 就業手当
● 常用就職支度手当
再就職手当は、基本手当の受給者が再就職した際に支給される手当で、基本手当の支給残日数によって受給できる金額は以下のように異なります。
● 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある場合:基本手当日額の60%(※1)
● 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上ある場合:基本手当日額の70%(※1)
就業促進定着手当は、再就職手当の受給者が、退職前よりも低い賃金で6ヵ月以上雇用される場合に受給できる手当です。再就職手当の支給率が基本手当日額の60%だったか70%だったかによって、上限額が異なります。
就業手当は、基本手当の受給者が再就職手当の支給対象にならない形態(パートやアルバイトなど)で就業した場合に、受給できる手当です。就業手当として受け取れる金額は、最大で1日につき1,836円(60歳以上65歳未満の場合は1,485円)です(※2)。
常用就職支度手当は、45歳以上の方、障がい者の方、そのほかの就職困難者に該当する受給者の方が、安定した職業に就職したときに受給できる手当です。常用就職支度手当として受け取れる金額の計算方法は、「失業手当の所定給付日数」や「基本手当の支給残日数」などによって異なります。
(※1)一定の上限あり、毎年8月1日以降に「毎月勤労統計」の平均給与額により改訂される可能性あり
(※2)毎年8月1日以降に「毎月勤労統計」の平均給与額により改訂される可能性あり
教育訓練給付
教育訓練給付は、在職中もしくは退職後の従業員が厚生労働大臣指定の教育訓練講座を受講・修了した場合に、受講費用の一部が支給される給付です。支給額は教育訓練講座のレベルに応じて以下の3つに分類されます。
● 専門実践教育訓練
● 特定一般教育訓練
● 一般教育訓練
専門実践教育訓練に該当する場合、年間での上限を40万円として受講費用の50%が受講中6ヵ月ごとに支給されます。
さらに、資格を取得したうえで訓練修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、年間での上限を16万円として受講費用の20%を追加で受け取ることが可能です。
特定一般教育訓練に該当する場合、年間での上限を20万円として受講費用の40%が受講終了後に支給されます。
一般教育訓練に該当する場合、年間での上限を10万円として受講費用の20%が受講終了後に支給されます。
雇用継続給付
雇用継続給付は、高齢者が再雇用されて賃金が減った場合や、介護などを理由に休業する場合に支給される給付で、以下に挙げるような給付が含まれます。
● 高年齢雇用継続給付
● 介護休業給付
高年齢雇用継続給付は、60歳以降に継続雇用や再雇用され、賃金が低下した場合に支給される給付金です。
高年齢雇用継続給付として受け取れる金額は、60歳到達時点の賃金と現在の賃金にどの程度の差があるかを表す「賃金の低下率」によって変わり、賃金の低下率が大きいほうが受け取れる金額は多くなります。
介護休業給付は、家族の介護のために休業した場合に支給される給付金で、休業前の給料の67%の金額を受け取ることができます。
雇用保険の加入条件
雇用保険に加入するためには、企業側と従業員側の双方に条件が設けられています。それぞれの加入条件について、以下で説明します。
企業側の加入条件
企業は業種や規模に関わらず、雇用保険の加入対象従業員を1人でも雇用している場合は、雇用保険に加入する必要があります。
ただし、農林水産業の一部については、 常時5人未満の従業員を雇用する個人経営の事業においては、当分の間は任意適用とされています。
従業員側の加入条件
従業員の方が雇用保険に加入するためには、以下に挙げる条件をすべて満たす必要があります。
● 勤務開始時から最低31日間以上働く見込みがある
● 1週間あたり20時間以上働いている
● 学生ではない(例外あり)
「31日間以上働く見込み」とは、31日間以上雇用が継続しないことが明確である場合を除き、すべてのケースが該当します。
従業員の方が実際に31日以上雇用された実績がある場合も、この条件が適用されます。
「1週間あたり20時間以上働く」ということは、「契約上の所定労働時間が週20時間以上」ということを意味します。
そのため、1週間に20時間以上働いたとしても、契約上の所定労働時間が週20時間未満となっている場合は、この条件を満たしたことにはなりません。
学生は原則として、雇用保険に加入することはできません。
ただし、学生の時点で企業から内定をもらい、卒業前からその企業で働き始めて卒業後も同一企業で働くことが明確な場合や、通信教育・夜間・定時制の学生などは、雇用保険に加入することができます。
雇用保険の保険料
雇用保険の保険料は、従業員の方と事業主の方がそれぞれ負担します。それぞれの負担割合は、以下のとおりです。
事業の種類 | 従業員負担 | 事業主負担 | 雇用保険料率 |
一般の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 15.5/1,000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 7/1,000 | 10.5/1,000 | 17.5/1,000 |
建設の事業 | 7/1,000 | 11.5/1,000 | 18.5/1,000 |
雇用保険料の計算方法
雇用保険料は、「額面給与×雇用保険料率」で計算されます。
例えば一般の事業に従事する従業員の方の額面給与が30万円だった場合、それぞれが負担する雇用保険料は、以下のように算出されます。
● 従業員:30万円×6÷1,000=1.800円
● 事業主:30万円×9.5÷1,000=2,850円
また、建設の事業に従事する従業員の方の額面給与が40万円だった場合、それぞれが負担する雇用保険料は、以下のように算出されます。
● 事業主:40万円×7÷1,000=2.800円
● 事業主:40万円×11.5÷1,000=4,600円
雇用保険の手続き方法
雇用保険の手続きは、従業員の入社時および退職時に行う必要があります。
入社時、退職時それぞれの雇用保険の手続き方法について、以下で詳しく説明します。
入社時
新たに従業員を雇用した場合は、事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
提出期限は、雇用関係が成立した月の翌月10日までです。
従業員を雇い入れたことを証明するために、従業員名簿、タイムカード等の添付書類が必要なので、それらの準備も忘れずに行いましょう。
退職時
従業員の方が退職して雇用保険の被保険者ではなくなった場合は、事業所を管轄する公共職業安定所に、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。
提出期限は、従業員の方が退職した日の翌日から10日以内です。
なお、資格喪失届を提出する際は、退職する被保険者に「離職証明書」が必要かどうかも確認しておきましょう。
離職証明書は、雇用保険から失業給付を受けるために必要な書類です。
保険手続きなどが多い事業主の方におすすめのビジネスカード
雇用保険に関する手続きのことも含め、事業主の方は事務関連の手続きを行うことも多いでしょう。
そういった手続きを少しでも簡単にするには、ビジネスカードを活用するのがおすすめです。
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雇用保険まとめ
事業主の方が従業員を雇った場合、原則として雇用保険に加入する必要があります。
雇用保険の手続きは従業員の方が入社・退職する際に都度行う必要があるので、手続きの流れや期日については、把握しておきましょう。
雇用保険の手続きをはじめとして、事業主の方が事務手続きに割く時間は決して少なくありません。
事務関連の手続きにかかる時間を少しでも少なくするためには、ビジネスカードを活用するのがおすすめです。
事務関連の手続きをなるべく簡単に済ませたいとお考えの事業主の方は、セゾンのビジネスカードを検討してみてはいかがでしょうか。