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年収と手取りの違いは?年収から引かれる税金、保険料や手取りをアップする方法を解説
一方で、手取りは税金や保険料などの仕組みを理解しておけばアップする可能性はあるので、知っておくと良いです。
本記事では、年収と手取りの違いや、手取りをアップする方法などを解説します。
年収と手取りの違い
年収とは年間に得られる総収入のことで、税金や保険料などが差し引かれる前の金額です。一方、手取りは年収の金額に応じた保険料や税金などを差し引かれたあとに実際に支給される金額になります。
● 年収…1年間に得られる総収入
● 手取り…総収入から保険料や税金などを差し引いて実際に支給される収入
社会人は所得税や住民税、健康保険、厚生年金などが基本給与から控除され、残った分が支給額になります。勤めている企業によって多少異なりますが、給与明細の総支給額合計から控除額合計を差し引いた、差し引き支給額が手取りです。
年収から手取りを計算する方法
年収から手取りを求める場合、総収入から税金や社会保険などを差し引きます。具体的な計算式は以下のとおりです。
● 総収入-{(所得税+住民税)+(健康保険+介護保険+厚生年金+雇用保険)}=手取り
ただし、養っている家族の人数や、医療費控除や寄付金控除の有無などの給与所得者の状況によって、同じ年収の方でも手取り金額が異なるケースがあります。
年収から手取り額を計算する際は、次のような簡易的な計算方法を用いるとわかりやすいです。
簡易的な計算方法 | |
年収1,000万円以下のケース | 年収の約70%~80%が手取り額 |
年収1,000万円超 2,000万円以下のケース | 年収の約60%~70%が手取り額 |
年収2,000万円超 のケース | 年収の約50%~60%が手取り額 |
例えば、年収が500万円の方の場合、500万円×0.7~0.8=350万円~400万円となるので、手取り額は350万円~400万円と計算できます。なお、実際の手取り額とは異なる可能性はあります。
なお、年収1,000万円超とは、年収が10,000,001円以上という意味になり、10,000,000円は含まれませんので、注意してください。
年収と手取りの早見表
次の表は、年収から差し引かれる税金や保険料、手取りなどの金額をまとめたものです。なお、表の金額は下記の条件に基づいて、令和5年度の税率で求めています。
● 東京都で働く独身の会社員(扶養親族なし)
● 介護保険料の支払いなし
● ボーナスはなし
● 給与所得控除・基礎控除・社会保険料控除のみ
所得税 | 住民税 | 健康保険料 | 厚生年金保険料 | 雇用保険料 | 手取り | |
100万円 | 0円 | 0円 | 52,800円 | 96,624円 | 6,000円 | 844,576円 |
150万円 | 12,300円 | 34,700円 | 75,600円 | 138,348円 | 9,000円 | 1,230,052円 |
200万円 | 26,900円 | 63,900円 | 102,000円 | 186,660円 | 12,000円 | 1,608,540円 |
250万円 | 41,700円 | 93,500円 | 120,000円 | 219,600円 | 15,000円 | 2,010,200円 |
300万円 | 54,000円 | 118,000円 | 156,000円 | 285,480円 | 18,000円 | 2,368,520円 |
350万円 | 67,900円 | 145,900円 | 180,000円 | 329,400円 | 21,000円 | 2,755,800円 |
400万円 | 83,900円 | 177,800円 | 204,000円 | 373,320円 | 24,000円 | 3,136,980円 |
450万円 | 103,200円 | 210,700円 | 228,000円 | 417,240円 | 27,000円 | 3,513,860円 |
500万円 | 137,800円 | 245,300円 | 246,000円 | 450,180円 | 30,000円 | 3,890,720円 |
550万円 | 167,300円 | 274,800円 | 282,000円 | 516,060円 | 33,000円 | 4,226,840円 |
600万円 | 202,000円 | 309,500円 | 300,000円 | 549,000円 | 36,000円 | 4,603,500円 |
650万円 | 237,100円 | 342,300円 | 336,000円 | 581,940円 | 39,000円 | 4,963,660円 |
700万円 | 307,700円 | 377,600円 | 354,000円 | 647,820円 | 42,000円 | 5,270,880円 |
750万円 | 386,900円 | 417,200円 | 372,000円 | 680,760円 | 45,000円 | 5,598,140円 |
800万円 | 462,500円 | 455,000円 | 408,000円 | 713,700円 | 48,000円 | 5,912,800円 |
850万円 | 548,300円 | 497,900円 | 426,000円 | 713,700円 | 51,000円 | 6,263,100円 |
900万円 | 642,900円 | 545,200円 | 450,000円 | 713,700円 | 54,000円 | 6,594,200円 |
950万円 | 737,500円 | 592,500円 | 474,000円 | 713,700円 | 57,000円 | 6,925,300円 |
1,000万円 | 814,100円 | 630,800円 | 588,000円 | 713,700円 | 60,000円 | 7,193,400円 |
日本は累進課税制度を採用しているため、年収が高くなるほど、支払う税金も重くなる傾向があります。実際、年収が高額になると、手取りの上昇幅は減少します。なお、実際の手取り額は家族構成や年齢などによって異なる可能性はあります。
年収から引かれるもの
年収から引かれるものは以下のとおりです。
● 所得税
● 住民税
● 厚生年金保険料
● 健康保険料
● 介護保険料
● 雇用保険料
上記を順番に解説します。
所得税
所得税とは、個人が1年間に得た収入から所得控除を差し引いた金額にかかる税金です。計算式は以下のとおりです。
1. 年収-給与所得控除=給与所得
2. 給与所得-所得控除の合計額=課税所得
3. 課税所得×税率-税率に応じた控除額=所得税
国に納める税金で、その年の1月1日~12月31日までの所得から給与所得控除や各種所得控除を差し引いた課税所得額に一定の税率をかけます。なお、所得税は累進課税制度を採用しているため、課税所得額に応じて、次のように税率と控除額が異なります。
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
また、給与所得者の場合は給与から次の給与所得控除額を差し引きます。
給与 | 給与所得控除額 |
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 | 1,950,000円(上限) |
例えば、年収350万円の方の所得税は次のように求めます。
● 3,500,000-(3,500,000×30%+80,000)=給与所得(2,370,000)
● 2,370,000-{基礎控除(480,000)+厚生年金(180,000)+健康保険料(329,400)+雇用保険(21,000)}=課税所得(1,359,000)
● 1,359,000×5%=所得税(67,900円)
住民税
住民税は、地域に住む方たちが地域社会の費用を分担するために支払う税金です。所得税と同様に1年間の所得に応じて税額が変わりますが、計算式が異なります。
1. 年収-給与所得控除=給与所得
2. 給与所得-所得控除の合計額=課税所得
3. 課税所得×住民税の税率+均等割額=住民税
住民税が所得税と違う点は、基礎控除の金額が43万円で、住んでいる地方自治体にもよりますが住民税の税率は10%です。例えば、年収350万円の方の住民税は次のように求めます。
1. 3,500,000-(3,500,000×30%+80,000)=給与所得(2,370,000)
2. 2,370,000-{基礎控除(430,000)+厚生年金(180,000)+健康保険料(329,400)+雇用保険(21,000)}=課税所得(1,409,000)
3. 1,409,600×10%+均等割額(東京都の場合は5,000円)=住民税(145,900円)
厚生年金保険料
厚生年金保険料とは、厚生年金保険が適用される会社に勤務する70歳未満の従業員および公務員が原則加入する公的年金制度の保険料です。計算式は以下のとおりです。
● 毎月の保険料額=標準報酬月額×厚生年金の保険料率
● 賞与の保険料額=標準賞与額×厚生年金の保険料率
標準報酬月額とは、被保険者が受け取る給与を一定の幅で区分した金額のことで、厚生年金保険料や健康保険料などの保険料額を求める際に用います。4月から6月の平均給与をもとに9月以降の標準報酬月額が決定し、厚生年金の保険料率をかけると厚生年金保険料が求められます。
厚生年金保険料の保険料率は18.3%です。例えば、標準報酬月額30万円の場合、毎月の保険料額は54,900円になります。なお、厚生年金保険料は事業主と保険料を折半するので、年収から実際に引かれる金額は半額の27,450円です。
健康保険料
健康保険料は、医療費を国が負担するための財源となる公的な医療保険制度の保険料です。計算式は以下のとおりです。
● 毎月の保険料額=標準報酬月額×保険料率
毎年4月~6月の平均給与をもとに9月以降の標準報酬月額が決まります。ただし、健康保険の保険料率は入っている健康保険の種類や、都道府県ごとに異なるので注意しましょう。
「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の東京都の場合は、介護保険第2号被保険者に該当しないなら保険料率が10%なので、標準報酬月額30万円の方の保険料額は月額30,000円になります。なお、健康保険料も事業主と折半するので、年収から実際に引かれる金額は半額の15,000円です。
介護保険料
介護保険料は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える介護保険制度の保険料です。40歳から64歳までの健康保険の加入者(介護保険第2被保険者)は、健康保険料と一緒に介護保険料を納めます。計算式は以下のとおりです。
● 毎月の保険料額=標準報酬月額×介護保険の保険料率
介護保険料の保険料率は加入している健康保険の種類によって異なります。
「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の場合は令和5年3月分から1.82%なので、標準報酬月額30万円の方の介護保険料は月額5,460円になります。なお、介護保険料も事業主と折半するので、年収から実際に引かれる金額は半額の2,730円です。
雇用保険料
雇用保険料は労働保険制度である雇用保険の掛金です。計算式は以下のとおりです。
● 毎月の保険料額=標準報酬月額×雇用保険の保険料率
雇用保険料率は年度によって異なり、令和5年度は1.55%です。標準報酬月額30万円の方の雇用保険料は月額4,650円になります。なお、雇用保険料は事業主が0.95%を負担するため、年収から実際に引かれる金額は0.6%分の1,800円です。
手取りをアップさせたい人におすすめの方法
手取りをアップさせたい人におすすめの方法は以下のとおりです。
● 所得税の控除を活用する
● ふるさと納税を活用する
上記の方法を順番に解説します。
所得税の控除を活用する
所得税は1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率が適用されます。つまり、所得控除が多いほど課税所得が下がり、税率が下がるため、支払う税金が少なくなる可能性があります。
2023年時点で対象となる所得控除は以下のとおりです。
● 雑損控除
● 医療費控除
● 社会保険料控除
● 小規模企業共済等掛金控除
● 生命保険料控除
● 地震保険料控除
● 寄付金控除
● 障害者控除
● 寡婦控除
● ひとり親控除
● 勤労学生控除
● 配偶者控除
● 配偶者特別控除
● 扶養控除
● 基礎控除
基礎控除を除いた所得控除は、何らかの条件を満たしたり、手続きを行ったりしないと適用されません。手取りをアップしたいと考えている方は、ご自身に適用される所得控除を調べ、必要な手続きを行いましょう。
ふるさと納税を活用する
ふるさと納税は寄付金控除の1つです。ご自身の住んでいる地域以外の自治体に寄付した金額の2,000円を超える部分が所得税の還付や住民税の控除の適用を受けられます。また、寄付金の使い道をご自身で指定でき、寄付額30%以内の地域の名産品をお礼として受け取ることが可能です。
ただし、ふるさと納税は住民税が控除されて払い過ぎた所得税が還付されるので、厳密には手取りが増えるわけではありません。
例えば、年収350万円の方がふるさと納税を利用して、34,000円を寄付した場合、当年の所得税や翌年の住民税から32,000円分が減額され、寄付額30%の最大10,200円相当の返礼品を受け取れます。
ただし、ふるさと納税の控除限度額は年収や家族構成によって異なり、年間上限額を超えた金額は控除の対象とはなりません。次の表は、年収と控除限度額の目安をまとめたものです。
独身・共働き | 夫婦 | 共働き+子1人(高校生) | 共働き+子1人(大学生) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) | 夫婦+子2人(大学生と高校生) | |
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 19,000円 | 15,000円 | 11,000円 | 7,000円 | - |
350万円 | 34,000円 | 26,000円 | 26,000円 | 22,000円 | 18,000円 | 13,000円 | 5,000円 |
400万円 | 42,000円 | 33,000円 | 33,000円 | 29,000円 | 25,000円 | 21,000円 | 12,000円 |
450万円 | 52,000円 | 41,000円 | 41,000円 | 37,000円 | 33,000円 | 28,000円 | 20,000円 |
500万円 | 61,000円 | 49,000円 | 49,000円 | 44,000円 | 40,000円 | 36,000円 | 28,000円 |
550万円 | 69,000円 | 60,000円 | 60,000円 | 57,000円 | 48,000円 | 44,000円 | 35,000円 |
600万円 | 77,000円 | 69,000円 | 69,000円 | 66,000円 | 60,000円 | 57,000円 | 43,000円 |
650万円 | 97,000円 | 77,000円 | 77,000円 | 74,000円 | 68,000円 | 65,000円 | 53,000円 |
700万円 | 108,000円 | 86,000円 | 86,000円 | 83,000円 | 78,000円 | 75,000円 | 66,000円 |
750万円 | 118,000円 | 109,000円 | 109,000円 | 106,000円 | 87,000円 | 84,000円 | 76,000円 |
800万円 | 129,000円 | 120,000円 | 120,000円 | 116,000円 | 110,000円 | 107,000円 | 85,000円 |
850万円 | 140,000円 | 131,000円 | 131,000円 | 127,000円 | 121,000円 | 118,000円 | 108,000円 |
900万円 | 152,000円 | 143,000円 | 141,000円 | 138,000円 | 132,000円 | 128,000円 | 119,000円 |
950万円 | 166,000円 | 157,000円 | 154,000円 | 150,000円 | 144,000円 | 141,000円 | 131,000円 |
1000万円 | 180,000円 | 171,000円 | 171,000円 | 163,000円 | 157,000円 | 153,000円 | 144,000円 |
表の控除限度額以上のお金をふるさと納税で寄付しても、上限を超えた分は控除に反映されません。なお、表の金額はあくまでも目安なので、実際の控除限度額を知りたい方は市区町村に問い合わせてみましょう。
ふるさと納税するなら「セゾンのふるさと納税」がおすすめ
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年収と手取りの違いのまとめ
年収とは税金や保険料などを差し引かれる前の金額で、手取り額は差し引いたあとの金額で、実際に手に入る収入のことです。税金や保険料などが差し引かれるので、手取りは年収よりも少なくなります。
手取りをアップしたいなら、所得控除やふるさと納税などの制度を活用して、課税所得を減らしてみましょう。例えば、ふるさと納税は寄付した金額の2,000円を超える部分が所得税の還付や住民税の控除の適用を受けられ、寄付した金額の最大30%までの返礼品を受け取れます。
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(※)「QUICPay」「QUICPay+」は、株式会社ジェーシービーの登録商標です。
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(※)Apple、Appleのロゴ、Apple Payは、Apple Inc.の商標です。iPhoneの商標は、アイホン株式会社のライセンスにもとづき使用されています。
この記事を監修した人
【保有資格】
CFP、税理士