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累進課税とは? 課税方式の概要と3つの税金の税率・計算方法を解説

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累進課税とは? 課税方式の概要と3つの税金の税率・計算方法を解説
累進課税は、日本において所得税・相続税・贈与税に採用されていますが、仕組みや税率がわからない方もいらっしゃるかもしれません。

計算方法は控除なども考慮する必要があり、複雑になることもあります。

しかし、税金の計算に必要な情報を用意して、国税庁が定める税率や控除を確認すれば計算可能です。

本記事では、累進課税について紹介したうえで、日本において累進課税が採用されている理由や、それぞれの税金における計算方法を解説します。

累進課税制度とは

累進課税制度とは、課税額が大きくなるほど適用される税率が上がる課税方式のことです。

この仕組みでは、所得が一定の基準に達すると税率が上がる仕組みとなっていますが、公平性を保つために必要に応じて控除という形の調整がはいります。

控除が用いられる理由は、日本では累進課税制度のなかでも、超過累進課税を採用しているため、税額の計算が複雑になるからです。

税金にはさまざまな種類がありますが、累進課税制度が採用されている税金には、所得税・相続税・贈与税が挙げられます。

累進課税制度の種類

累進課税制度の種類は、単純累進課税と超過累進課税の2種類が挙げられます。それぞれの累進課税の種類について、現在の所得税の税率を参考にそれぞれ例を挙げて計算していきます。

単純累進課税

単純累進課税は、所得が一定額を超えた場合に、その全体に対して税率を適用する課税方式です。

例えば、課税所得が300万円の人に10%の税率を課すなら、「300万円×10%=30万円」の税額として単純計算します。

単純累進課税で問題になるのは税率の境目であり、国税庁が定める所得税率では、課税所得金額が330万円以上になると税率が20%に増加する仕組みです。

課税所得が330万円の場合は「330万円×20%=66万円」の所得税を支払う必要がありますが、課税所得が329万円の場合、所得税は「329万円×10%=32.9万円」となるので、1万円の課税所得の差で税額が大きく変わることになります。

税率の境目で、納税額が極端に増加するなどの不都合が生じやすいので、単純累進課税は採用されていません。

超過累進課税

超過累進課税は、所得が一定額を超えた場合に、その超えた金額に対してのみ、最も高い税率を適用する課税方式です。

例えば、課税所得が300万円の人に10%の税率を課すなら、195万円に対しては5%、195万円を超過した分に関しては10%税率が適用されるということです。

このときの所得税の計算方法は「195万円×5%+(300万円-195万円)×10%=20万2,500円」になります。

課税所得金額を大きくして500万円で計算する場合は、20%・10%・5%の3つの税率が適用されることになり、所得税は「195万円×5%+(330万円-195万円)×10%+(500万円-330万円)×20%=57万2,500円」です。

単純累進課税よりも公平に税金を課せるので、現在の所得税には超過累進課税が採用されています。

しかし、こちらの計算方法では、課税所得が700万円、1,000万円と増加するにつれて計算式が複雑になります。

そのため、所得税の計算は、国税庁が公開している控除額の早見表を使って計算するのが一般的です。

累進課税となっている理由

現在の日本において一部の税金の課税方式が累進課税となっている理由は2つ挙げられます。

・個々に合わせた公正な納税が実現できる
・国民の所得格差を縮められる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

個々に合わせた公正な納税が実現できる

累進課税は、個々が負担できる税金に合わせた公正な納税を実現できる仕組みです。

課税所得が大きくなるほど税率が上がる仕組みは、経済的に豊かな人から税金を多く集め、所得が低い人の税負担を軽くすることにつながります。

税金の基準となる境目に対する公正さも超過累進課税を採用することにより解決しています。

国民の所得格差を縮められる

累進課税により、高所得者から多く集めた税金は、福祉や社会保障を充実させるために使われます。

所得の低い人も充実した福祉や社会保障を受けられるようになるため、所得格差が縮まりやすくなります。

累進課税の対象となる3つの税金

累進課税の対象となる3つの税金は下記のとおりです。

・所得税
・相続税
・贈与税

それぞれ解説していきます。

所得税

所得税とは、年間の所得に対してかかる税金のことです。

所得と収入は異なるものであり、個人事業主であれば所得を得るために必要になった経費を収入から差し引くことが可能であり、会社員の給与収入からは、給与所得控除が差し引かれます。

そのほかにも、さまざまな控除を差し引いたうえで、課税所得金額が決定され、この金額をもとに所得税が計算される仕組みです。

相続税

相続税は、ある人が亡くなったとき、自身がその財産を相続する相続人の立場にあるとき、相続した財産にかかる税金です。

相続した財産の一部が国に納められることで資産を再分配する仕組みであり、累進課税が採用されていることから相続した財産が大きいほど納税額が増加します。

基礎控除と借金がある場合や、葬式費用については財産から差し引けるので、差し引いた結果、0円になった場合は相続税を支払う必要がありません。 

贈与税

贈与税とは、財産を譲り受けたときに納める義務が生じる税金のことです。

家族間であっても、生活費、教育費、結婚式の費用以外に一定の価値を持つ財産を贈与した場合も税金がかかります。

基準は基礎控除額である110万円であり、個人から110万円を超える財産を譲り受けた場合は贈与税を納める必要があります。相続税と同様に財産の価値が高いほど納税額が大きくなる仕組みです。

累進課税の税率と計算方法

累進課税となっている3つの税金について、それぞれの具体的な税率と計算方法について紹介します。

所得税の税率と累進課税の計算方法

所得税の税率とそれぞれの課税所得に対する控除額の早見表は下記のとおりです。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,950,000円まで 5% 0円
1,950,001円 から 3,300,000円まで 10% 97,500円
3,300,001円 から 6,950,000円まで 20% 427,500円
6,950,001円 から9,000,000円まで 23% 636,000円
9,000,001円 から 180,000,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,001円 から 40,000,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,001円 以上 45% 4,796,000円

引用:国税庁 No.2260 所得税の税率

上記の表を参考に、経費や控除を差し引いた課税所得金額が500万円であった場合の所得税を求めていきましょう。

税率は20%で、控除額は42万7,500円であることから所得税は「500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円」です。

超過累進課税の計算で求めた計算結果と一致することから、控除額により計算が簡略化できていることがわかります。

相続税の税率と累進課税の計算方法

法定相続分に応じた取得金額に対する税率と控除額の早見表は以下のとおりです。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

引用:国税庁 No.4155 相続税の税率

上記の表を参考に例を挙げながら相続税の計算をしていきます。借金や葬式費用を差し引いた遺産総額が1億円であったとき、相続人が配偶者と子2人の場合、相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×3(相続人の数)=4,800万円」です。

遺産総額の1億円から4,800万円を差し引いた5,200万円が相続税の対象となり、税率は15%、控除額は50万円に決定します。

法定相続分において、配偶者は遺産の2分の1、子1人は遺産の4分の1を相続すると決まっているので、配偶者の相続税額は「(5,200万円×1/2)×15%-50万円=340万円」子1人あたりの相続税額は「(5,200万円×1/4)×15%-50万円=145万円」になります。

よって、相続税の合計額は「340万円(配偶者分)+145万円×2(子2人分)=630万円」です。

遺産総額が大きいほど相続税は高まり、相続人の数が多いほど基礎控除額が増加する仕組みとなっています。

贈与税の税率と累進課税の計算方法

相続税の税率は、一般贈与財産用(一般税率)に該当するか、特例贈与財産用(特例税率)に該当するかによって税率が異なります。

一般贈与財産用は、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年の場合など、特例贈与財産用に該当しない贈与が対象となり、特例贈与財産用は18歳以上の子が財産の贈与を受けた場合に、両親や祖父母などの直系尊属からの贈与が対象です。

下記に、一般贈与財産用と特例贈与財産用の税率と控除額をまとめました。

一般贈与財産用(一般税率)

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

特例贈与財産用(特例税率)
基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

引用:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

特例税率のほうが、税率が上がる境目となる基準が高く設定されており、控除額も大きくなっていることから、税率が優遇されています。贈与税の基礎控除額は、110万円となっており、110万円を超える額に対して課税されます。

それぞれのパターンに対してシミュレーションしていきましょう。一般贈与財産用と特例贈与財産用において、1,000万円を贈与したと仮定します。

1,000万円から基礎控除額を差し引くと、890万円となるため、一般贈与財産用では税率が40%、控除額は125万円になりますが、特例贈与財産用においては、税率が30%、控除額は90万円です。

一般税率における贈与税は「890万円×40%-125万円=231万円」、特例税率における贈与税は「890万円×30%-90万円=177万円」になります。

贈与税は、一般贈与財産用と特例贈与財産用で異なるため、贈与する側と贈与を受ける側の関係と贈与を受ける側の年齢が重要です。

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累進課税のまとめ

累進課税は、所得に応じて税金を公平に徴収するために工夫された課税方法です。

超過累進課税を採用していることから、基本的には税金の境目を気にせず公平に納税できる仕組みが整っています。

課税対象額が増えるほど計算方法が複雑になりやすい超過累進課税ですが、国税庁のホームページで公開されている控除額の早見表を確認すれば計算しやすくなっています。

確定申告の義務があり、税金の計算が必要な個人事業主の方は、経費管理がしやすく、計算を効率化できるビジネスカードを作ることがおすすめです。

この記事を監修した人

宮川 真一
宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】
CFP、税理士