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厚生年金とは?加入する要件や保険料、必要な手続きを解説

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厚生年金とは?加入する要件や保険料、必要な手続きを解説
厚生年金は、日本の公的年金のひとつです。厚生年金は老後の生活やケガで障害を負った場合の生活などに備えられる大切な仕組みです。ただし、厚生年金の詳しい内容については、わからない部分がある方もいるのではないでしょうか。

本記事では、厚生年金の基本的な仕組みや適用要件、保険料の計算などを解説します。経営者の方や個人事業主の方に役立つ知識も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

厚生年金とは会社などに勤めている方が加入する公的年金

厚生年金とは、会社や工場、官公庁などに勤めている方が加入する公的年金です。

日本の公的年金制度は厚生年金と国民年金(20歳以上60歳未満の方すべてが対象)の2階建てとなっていて、厚生年金は2階部分にあたります。会社などに勤めている方は、厚生年金と国民年金の2つの公的年金に加入します。

厚生年金は、加入者と勤め先とで保険料を半額ずつ負担する点も特徴です。

厚生年金の受給要件

厚生年金を受給するためには、いくつかの要件があります。主な要件は下記のとおりです。

● 国民年金(老齢基礎年金)を受け取れる方
● 厚生年金の加入期間が1ヵ月以上ある方
● 原則として65歳以上の方

厚生年金は、加入期間が1ヵ月以上ある方なら受給できます。ただし、要件に「国民年金を受け取れる方」がある点には注意が必要になります。

それは、国民年金を受給するためには10年以上の国民年金の受給資格期間(保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した期間)が必要となるからです。

なお、国民年金の受給資格期間は2017年7月31日までは25年以上必要でした。現在では法改正で10年以上となっており、要件が緩和されています。

国民年金との違い

厚生年金と国民年金の違いは、厚生年金は会社などに勤めている方が加入するのに対し、国民年金は20歳以上60歳未満の方がみな加入する点です。公的年金への加入は、働き方により変わってきます。

被保険者の種類 第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
職業 農業や自営業の方、学生や無職の方など 会社や工場、官公庁などに勤めている方 専業主婦(夫)の方など
加入する公的年金 国民年金 国民年金・厚生年金 国民年金

また、国民年金は保険料が一律ですが、厚生年金は収入により保険料が異なり、一律ではありません。

そのほか、国民年金の保険料は加入者の全額負担となりますが、厚生年金は会社と加入者の折半である点も違いです。

厚生年金の適用要件

厚生年金へ加入するのは、「厚生年金に加入している会社(適用事業所)」で働いている「70歳未満の方(被保険者)」となります。適用事業所と被保険者それぞれに要件があるので、2つに分けてご紹介します。

事業所の適用要件

厚生年金は、下記のような事業所が加入する必要があります(強制適用事業所)。

● 常時従業員(事業主のみの場合を含む)を雇用するすべての法人
● 常時5人以上の従業員を雇用する個人事業所

法人の場合は事業主のみの場合も含まれるため、会社を設立した場合には必ず厚生年金に加入する必要があります。

個人事業主の方の場合も、常時5人以上の従業員を雇用するときは厚生年金の加入が義務付けられています。

ただし、個人事業所で5人以上雇用している場合でも、農業や漁業、一部のサービス業などは強制適用事業所とはなりません。

なお、強制適用事業所以外の事業所は、従業員の同意や厚生労働大臣の認可などにより、適用事務所になれます(任意適用事務所)。強制適用事業所以外の事業所で厚生年金に加入したい場合は、任意適用申請の手続きを行いましょう。

特定適用事業所と任意特定適用事業所

近年では、アルバイトやパートタイマーなどの短時間労働の方の年金に配慮して、「特定適用事業所」と「任意特定適用事業所」が定められ、厚生年金の適用が拡大しています。

特定適用事業所とは、事業主が同一で被保険者数が常時100人を超える適用事業所のことです。特定適用事業所では、アルバイトやパートタイマーの方も、一定の要件を満たすと厚生年金への加入が義務付けられています。

また、特定適用事業所以外の事業所の場合は、労使合意に基づいて任意特定適用事業所の申し出が可能です。

なお、2024年10月1日からは、特定適用事業所の対象となる被保険者数が「常時100人を超える」から「常時50人を超える」へと改正されます。該当する可能性のある事業所では、変更への準備が必要です。

被保険者の適用要件

被保険者の適用要件は、「厚生年金に加入している会社などで常用的に使用されている70歳未満の方」です。

国籍や性別、年金の有無にかかわらず、上記の要件を満たす方は厚生年金の被保険者となります。高校を卒業してすぐに働き始めた方も対象です。国民年金とは違い、20歳未満の方でも対象となります。

パートタイマーやアルバイトの方の場合

アルバイトやパートタイマーの方の場合は、厚生年金の被保険者となるには一定の条件があります。

条件の基準となるのは労働時間や労働日数です。1週間の所定労働時間および1ヵ月の所定労働日数が、勤め先の正社員やフルタイムの従業員の4分の3以上である場合は、厚生年金の被保険者となります。

そのほか、特定適用事業所や任意特定適用事業所、国・地方公共団体に属する事業所に勤務する方は、4分の3の基準に満たなくても、下記の要件をすべて満たすと厚生年金の被保険者になります。

● 1週間の所定労働時間が20時間以上
● 1ヵ月の賃金が8.8万円以上
● 学生ではない

以前は「雇用期間が1年以上見込まれる」という要件がありましたが、2022年10月に要件から削除されています。

厚生年金の被保険者にならない方

下記のような方は、原則として厚生年金の被保険者とはなりません。

● 日々雇い入れられる方
● 2ヵ月以内の期間を定めて使用される方
● 所在地が一定しない事業所に使用される方
● 季節的業務(4ヵ月以内)に使用される方

ただし、一定の期間を超えて雇用する場合は、厚生年金の対象となるケースがあるので注意しましょう。

厚生年金の保険料はどれくらい?

厚生年金の保険料はどれくらい?

厚生年金の保険料は、給与や賞与に保険料率をかけて計算します。そのため、収入によって異なるのが一般的です。厚生年金の保険料の計算式は下記となります。

● 毎月の給与で支払う厚生年金の保険料:標準報酬月額 × 保険料率(18.3%)
● ボーナスで支払う厚生年金の保険料:標準賞与額 × 保険料率(18.3%)

厚生年金の保険料は事業主と被保険者で半分ずつ負担します。そのため、実際に事業主と被保険者が支払う保険料の金額は、上の計算式で算出した金額の半分の金額です。

また、標準報酬月額とは、月々の給与を1等級〜32等級に区分したもので、複数の月における給与の平均から計算されます。

保険料の見込み額は「ねんきんネット」で計算できるので、厚生年金の保険料がどれくらいか知りたいときは「ねんきんネット」も参考にしてみましょう。

厚生年金の手続きの方法

会社の経営者の方が従業員を雇用するとき、個人事業主で厚生年金への加入が必要となったときなどは、厚生年金の手続きが必要です。

以下では、事業所として厚生年金の適用を受ける場合と従業員を雇用する場合に必要な手続きを説明します。

事業所が厚生年金の適用を受けるとき

新しく会社を設立したときや、個人事業主で厚生年金の適用要件を満たしたときは、新規適用の手続きを行います。

新規適用の手続きをするときは、「健康保険・厚生年金 新規適用届」を必要書類とともに事務センターまたは管轄の年金事務所へ提出しましょう。提出方法には、郵送や窓口持参のほか、電子申請の方法があります。

適用事業所が従業員を雇用するとき

厚生年金の適用事業所となり、被保険者の要件を満たす従業員を雇用するときは、厚生年金の資格取得の手続きが必要です。

従業員から基礎年金番号通知書(年金手帳)またはマイナンバーカード(提示のみ)を提出してもらい、事務センターまたは管轄の年金事務所へ「被保険者資格取得届」を提出しましょう。提出方法は郵送や窓口持参、電子申請や電子媒体(CDまたはDVD)があります。

経営者や個人事業主の方をサポートするセゾンのビジネスカード

経営者の方や個人事業主の方が事業を進めていくなかでは、厚生年金の手続きや月々の保険料の支払いをはじめ、さまざまな業務負担があります。

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まとめ

厚生年金は、会社や工場、官公庁などに勤めている方が加入する公的年金です。日本の公的年金は厚生年金と国民年金の2階建てとなっていて、会社などに勤めている方は国民年金とともに厚生年金に加入する必要があります。

また、厚生年金の手続きは会社を経営する方、個人で事業をされている方にとっても、手続きが必要となる場合があります。

厚生年金は従業員の方にとって、将来の生活を支える大切な公的年金です。厚生年金への加入が必要な場合は、適切に手続きを行いましょう。

この記事を監修した人

宮川 真一
宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】
CFP、税理士