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インボイス制度の導入によって何が変わる?事業者が理解しておくべき内容を解説!
そこで、本記事では、ビジネスを営んでいる方に向けて、インボイス制度の内容について詳しく解説します。インボイス制度の導入によって変わることや、制度の開始が予定されている時期、知っておくべきことをご紹介するので、スタートに備えて今から理解を深めておきましょう。
インボイス制度とは?
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、消費税課税事業者が消費税額の仕入税額控除を受けるうえで、適格請求書等(インボイス)の保存が要件とされる制度・方式を指します。
仕入税額控除とは、課税売上にかかる消費税額から、課税仕入などにかかる消費税額を差し引く仕組みです。生産・流通・販売などの各取引段階において何重にも消費税が課されないように(累積を排除するために)設けられていることを覚えておきましょう。
なお、適格請求書等とは、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額などを伝えるための書面です。次項で、現行の「区分記載請求書等」との違いについて説明します。
現行の区分記載請求書等保存方式との違い
区分記載請求書等保存方式とは、「区分記載請求書等」を保存しておくことで、仕入税額控除を受けられる仕組みです。区分記載請求書等とは、以下に示す項目が記載された書面を指します。
● 発行者の氏名または名称
● 受領者の氏名または名称
● 取引年月日
● 取引内容(軽減税率が適用される品目がある場合は、その旨)
● 税率ごとに合計した販売価格(税込)
なお、区分記載請求書等の交付は、「義務」ではありません。
また、「軽減税率が適用される品目である旨」「税率ごとに合計した販売価格(税込)」が記載されていない場合、受領者が追記することが可能です。
他方、適格請求書等(インボイス)とは、以下の事項が記載された書面を指します。
● 適格請求書発行事業者登録番号(※)
● 発行者の氏名または名称
● 受領者の氏名または名称
● 取引年月日
● 取引内容(軽減税率が適用される品目がある場合は、その旨)
● 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)、および、適用税率
● 消費税額
ちなみに、消費税免税事業者は、適格請求書等(インボイス)を発行できません。適格請求書発行事業者には、消費税課税事業者からの求めに応じてインボイスを交付する義務が発生し、受領者による内容の追記は不可とされています。
(※)法人番号を有する場合は「T+法人番号」、それ以外は「T+13桁の数字」
インボイス制度の導入によって、何がどう変わるのか?
インボイス制度の導入によって変わることは、主に以下の3つです。
● インボイスを発行できるのは、「適格請求書発行事業者」のみ
● インボイスがなければ、仕入税額控除が適用されなくなる
● 登録事業者はインボイスの発行が、買い手は保管が必須になる
それぞれについて詳しく説明します。
インボイスを発行できるのは「適格請求書発行事業者」のみ
インボイスを発行できるのは、「適格請求書発行事業者」として登録された事業者のみです(登録できるのは消費税課税事業者のみ)。
消費税免税事業者は、適格請求書発行事業者として登録できないため、インボイスも発行できません。発行したいのであれば、消費税課税事業者になったうえで、適格請求書発行事業者としての登録を行う必要があります。
なお、消費税課税事業者であっても登録は任意です。ただし、登録しない場合はインボイスを発行できません。
インボイスがなければ、仕入税額控除が適用されなくなる
インボイス制度(適格請求書等保存方式)がスタートすると、インボイスを交付しない事業者から購入した物品・サービスに関しては、原則、仕入税額控除が適用されなくなってしまいます。ただし、「簡易課税制度」の適用を受けている買い手は、売り手からインボイスを交付されなくても仕入税額控除が可能です。
また、しばらくの期間、「経過措置」が講じられることも覚えておきましょう。経過措置とは、インボイスを発行しない事業者からの仕入れについて、制度実施後3年間は消費税相当額の「8割」を、続く3年間は「5割」を仕入税額控除できるようにする措置(※)です(簡易課税制度の適用がない事業者も対象)。
簡易課税制度および経過措置の詳細については後述します。
(※)区分記載請求書と同様の事項が記載された請求書等を保存し、帳簿に「経過措置を受ける旨」を記載することが条件
登録事業者はインボイスの発行が必須になる
上述したように、現行の区分記載請求書等保存方式においては、売り手は区分記載請求書等を買い手に対して交付する「義務」がありません。
しかしながら、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が開始されると、登録業者に対して「買い手にインボイスを交付する義務」が課されます。
ただし、「交付義務が免除される事例」もあるので、国税庁公式サイトで詳細をご確認ください。
なお、買い手は、受け取ったインボイスや、一定の事項が記載された帳簿を保管しておく必要があります。これらを保管しておかなければ、仕入税額控除が適用されません。
インボイス制度が開始される時期
インボイス制度は、「2023年10月1日」から開始される予定になっています。「インボイス制度が開始される2023年10月1日時点からインボイスを発行したい」とお考えの場合は、「2023年9月30日」までに適格請求書発行事業者の登録手続き(税務署への「登録申請書」の提出)を行いましょう。
なお、適格請求書発行事業者の登録申請書を提出後、「適格請求書発行事業者番号」が通知されるまでに時間を要します。そのため、9月30日に登録申請書を提出した場合には、10月1日からインボイスを発行することは厳密にはできません。通知が届くまでは、従来の「区分記載請求書」の様式の書面を交付することになります。
ただし、適格請求書発行事業者番号の通知後に、相手方に「登録番号など、適格請求書の記載事項として不足する事項」を書面などで通知することにより、既に交付した書面と合わせて、適格請求書の記載事項を満たすことが可能です。
上述したように、登録できるのは「消費税課税事業者」のみです。消費税免税事業者の場合、消費税課税事業者にならなければ、適格請求書発行事業者としての登録を行えません。
インボイス制度の開始に備えて何をするべきなのか?
現時点で消費税課税事業者になっていて、今後も消費税課税事業者のままであることが予想される場合は、適格請求書発行事業者に登録することを見据えて、インボイス制度に対応した会計システムの導入、および社内体制の整備を進めましょう。
ただし、売上先が「一般消費者」「消費税免税事業者」「簡易課税制度が適用されている消費税課税事業者」のいずれかで、「簡易課税制度の適用を受けていない消費税課税事業者」が含まれない場合は、買い手がインボイスに基づいた仕入税額控除を行わないため、登録する必要はありません。
消費税免税事業者で、売上先に「簡易課税制度の適用を受けていない消費税課税事業者」が含まれている場合は、難しい選択を迫られます。後述する経過措置もあるので、急いで登録せず、しばらく様子を見るのも選択肢のひとつです。
インボイスを発行しない場合、買い手は仕入税額控除ができなくなりますが、魅力的な商品・サービスを提供しているのであれば、今後も購入し続けてくれる可能性があります。
なお、「買い手が仕入税額控除を受けられるように、消費税課税事業者になって適格請求書発行事業者として登録しよう」と考えるのであれば、これまで免除されていた消費税を納めることになり、実質的に利益が減ってしまう点を認識しておきましょう。
また、「経理担当者を雇い入れる」「税理士に依頼する」「新しい会計システムを導入する」といった対応が必要になる可能性もあるので、コスト増を見据え、販売価格の値上げを行うこともご検討ください。
インボイス制度の開始に備えて知っておきたいこと
インボイス制度の開始に備えて知っておきたいことは、以下の3つです。
● 簡易課税制度
● 経過措置
● 下請法・独占禁止法
それぞれについて詳しく説明します。
簡易課税制度
簡易課税制度が適用されている事業者の場合、「売上高に、適用税率を乗じたうえで、さらに「みなし仕入率」(※)を乗じた額」を控除した金額を消費税として納付するため、インボイスを交付されなくても仕入税額控除を受けることが可能です。
なお、簡易課税制度は、「課税売上高が年間5,000万円以下の事業者」が税務署に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出することで適用を受けられます。
(※)卸売業は90%、小売業などは80%、製造業などは70%、サービス業などは50%、不動産業は40%、そのほかの事業は60%(詳細については、国税庁公式サイトなどを参照)
経過措置
簡易課税制度の適用を受けていなくても、インボイス制度が開始されてから6年間は「経過措置」が講じられるため、インボイスがなくても仕入税額控除が可能です。「経過措置が適用される期間」および「控除できる割合」は、以下のようになっています。
● 2023年10月1日~2026年9月30日:仕入税額相当額の80%分を控除できる
● 2026年10月1日~2029年9月30日:仕入税額相当額の50%分を控除できる
なお、経過措置の適用を受けるためには、「区分記載請求書等」および「経過措置の適用を受ける旨(80%控除・50%控除の特例を受ける課税仕入れである旨)」を記載した帳簿を保存しなければならない点にご留意ください。
下請法・独占禁止法
仕入先が消費税免税事業者の場合、「インボイス制度の開始を機に、取引条件の見直しを行おう」とお考えの事業者がいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、「仕入税額控除ができないことを理由として強引に値下げを迫る」など、態様によっては「下請法」や「独占禁止法」に違反する可能性があることに注意しましょう。
しばらくは上述した「経過措置」を活用して、8割・5割相当の控除を受けることもご検討ください。
経理の負担を法人カードで軽減しよう
インボイス制度が開始されると、経理の手間が増えることが予想されます。法人カードや会計ツールを活用して、経理処理を効率化しましょう。
なお、おすすめの法人カードは「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」および「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」の2枚です。
数多くあるクレジットカードのなかには、税金の支払いで利用した場合、ポイント還元の対象外となっている場合があります。一方、セゾンのクレジットカードなら、税金の支払いでも通常通り、ポイントを貯められますのでぜひ検討してください。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
年会費が無料の法人カードで、追加カードも9枚まで無料で発行可能です。下記サイトにおいてカードで支払いを行うと、永久不滅ポイントが通常の4倍(1,000円(税込)につき4ポイント)貯まる(※)ので、ぜひご活用ください。
● アマゾン ウェブ サービス(AWS)
● エックスサーバー
● お名前.com ドメインサービス
● クラウドワークス
● cybozu.com
● さくらインターネット
● マネーフォワード
● かんたんクラウド(MJS)
● モノタロウ
● Yahoo!ビジネスセンター
また、以下に示すように、事業者向けのサービスや優待が付帯していることも魅力です。
● 福利厚生サービス「セゾンフクリコ」
● 補助⾦・助成⾦コンサルティングサービス優待
● G-Searchデータベースサービス優待
● エックスサーバー優待
● かんたんクラウド(MJS)優待
かんたんクラウド(MJS)は、株式会社ミロク情報サービスが提供する会計・給与のクラウドサービスであり、2ヵ月無料でお試しいただけます。インボイス制度で複雑化する経理処理の負担軽減にお役立てください。
(※)ほかのカードにてSAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ)に登録している場合は対象外
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード
年会費は通常22,000円(税込)です。ただし、年間200万円以上のショッピングの利用(※)で、翌年の年会費が11,000円(税込)になります。追加カードは、1枚につき年会費3,300円(税込)で、9枚まで発行可能です。
なお、以下に示すように、ビジネスに役立つ付帯サービス・優待特典が充実しています。
● 福利厚生サービス「セゾンフクリコ」
● 補助⾦・助成⾦コンサルティングサービス優待
● G-Searchデータベースサービス優待
● エックスサーバー優待
● WEBを使った集客コンサルティングサービス優待
● グローバル人材紹介サービス「ユナイテッドワールド」優待
● クラウド型経費精算サービス「Staple(ステイプル)」優待
Stapleは、中小企業の経理担当者向けのクラウド型経費精算サービスです。経費精算の手間が10分の1に削減されるほか、交通系ICカードの乗車履歴の読み込みや、乗換案内アプリとの連携、ご利用中の会計ソフトへのインポートも行えます。
6ヵ月分の無料クーポンをプレゼントしますので、実際に利用して操作感を確認したうえで、インボイス制度開始後の経理処理の負担を軽減するために、ぜひ導入をご検討ください。
(※)キャッシングや年会費などは対象外
インボイス制度の開始に向けて、情報収集や対策を進めよう
インボイス制度の内容は、しばしば変更されることがあります。制度が開始されるまで、報道をこまめにチェックするべきです。
「意味がよく理解できない」「どのように対処すれば良いのだろうか」といった悩みや不安をお持ちの場合は、税務署や税理士などに質問・相談しましょう。また、インボイス制度がスタートすると経理の手間が増えるので、法人カードや会計ツールを導入することもご検討ください。
おすすめの法人カードは「セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」および「セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード」の2枚です。それぞれに特長があるので、年会費や優待特典の内容を比較して、自社に適したものを選びましょう。
この記事を監修した人
【保有資格】
CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、公認会計士、税理士