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所得税の所得控除は全部で15種類!2022年最新の内容を解説!
自身で確定申告をする個人事業主やフリーランスの方は、控除の要件や内容を把握していないと、控除を受けられない可能性があります。
そこで今回は所得税の控除について解説します。全部で15種類になった所得税の控除の要件や対象、控除金額の上限などを解説します。また、所得税の支払いにおすすめのクレジットカードもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
所得税の所得控除とは?
所得税の所得控除とは、所得税の計算において、ある一定の要件に当てはまる場合に所得の合計から一定額を差し引くことができる仕組みです。
所得控除によって課税所得が少なくなるため、所得税の所得控除は税負担を軽くする役割を果たしています。
所得控除は税額控除とは違い、会社員や公務員のような給与所得者は企業が所得税の申告・納付を行っており、確定申告をすることで支払った税金が戻ってきます。
所得控除は2022年度の時点で15種類あり、所得控除の種類によって対象者や控除金額が異なります。働き方や時勢の変化に合わせて法改正が行われるのも特徴です。
所得税の所得控除の各内容
2022年(令和4年)4月1日時点での所得税の所得控除は次の15種類になります。
①雑損控除
②医療費控除
③社会保険料控除
④小規模企業共済等掛金控除
⑤生命保険料控除
⑥地震保険料控除
⑦寄附金控除
⑧障害者控除
⑨寡婦控除
⑩ひとり親控除
⑪勤労学生控除
⑫配偶者控除
⑬配偶者特別控除
⑭扶養控除
⑮基礎控除
基本的に会社員や公務員のような給与所得者は、勤務先が年末調整を行います。
しかし、雑損控除、医療費控除、寄附金控除は年末調整で控除されません。個人事業主やフリーランスの方は15種類の控除を把握して自身で確定申告する必要があります。
15種類の控除がどのような内容なのか、順番に解説します。
①雑損控除
雑損控除は災害・盗難・横領などによる損害を受けた場合に適用される控除です。
地震や台風、大雪、落雷などの自然災害のほかに、火災や火薬類の爆発などの被害、泥棒による盗難、従業員の横領、さらにはシロアリ被害による駆除といったケースでも対象となります。
給与所得者が雑損控除を適用するには確定申告が必要で、雑損控除の金額は2つの計算式のうち金額が多い方になります。
(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
②医療費控除
医療費控除は医療費が一定額を超えた場合に適用される控除です。納税者と生計を同じくする配偶者やそのほか親族の医療費も合算して控除できるのが特徴で、同居している妻や息子のほかに、別居しているが仕送りをしている両親の医療費も対象になります。
ただし、対象となる医療費はその年の1月1日~12月31日までの間に支払った医療費で、未払の医療費は実際に支払った年の医療費控除の対象となります。
例えば、12月に診察・手術を受けて、支払ったのが翌年1月なら、翌年の医療費控除の対象となります。
給与所得者が医療費控除を受けるには確定申告が必要で、計算式は次のようになっています。
(実際に支払った医療費の合計金額-保険金などで補填される金額)-10万円と(所得の合計額×5%)との、いずれか少ないほうの金額
③社会保険料控除
社会保険料控除は社会保険料を支払った場合に適用される控除です。
控除の対象となる社会保険料は幅広いですが、個人事業主やフリーランスだと国民年金、国民健康保険、国民年金基金の掛金などが該当します。
納税者が生計を同じにする配偶者や親族の社会保険料を支払った場合も、納税者において所得控除が受けられるため、同居しながら大学に通っている20歳以上の子どもの年金を親が支払っていた場合は、親の社会保険料控除に含まれます。
控除できる金額は実際に支払った金額、または給与や公的年金などから差し引かれた金額の全額になります。
④小規模企業共済等掛金控除
小規模企業経等掛金控除は小規模企業共済の掛金などを支払った場合に適用される控除です。控除できる掛金は次の3つになります。
・小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
・確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金
・地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金
個人型年金加入者掛金とはいわゆるiDeCoのことで、iDeCoをしている方は小規模企業共済等掛金控除を受けられます。控除金額はその年に支払った掛金の全額になります。
⑤生命保険料控除
生命保険料控除は生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に適用される控除です。
要件がいくつかあり、2011年12月31日以前に締結した旧契約と、同日より後の新契約では生命保険料控除の取り扱いが違います。また、保険期間が5年未満の生命保険では対象にならないものがあります。
控除金額の計算方法も新契約と旧契約で異なりますが、控除金額の最大は12万円です。
⑥地震保険料控除
地震保険料控除は地震保険料などを支払った場合に適用される控除です。その年に支払った保険料の金額に応じて控除額が決定しますが、控除金額の最大は5万円になります。
⑦寄附金控除
寄附金控除は国、地方公共団体、公益社団法人、公益財団法人などに一定の寄附をした場合に適用される控除です。
ふるさと納税も寄附金控除の1つで、個人が行った「赤い羽根共同募金」への寄附も寄附金控除の対象となります。
控除金額は次のいずれか低い金額から2,000円を差し引いた金額になります。
・その年に支出した特定寄附金の額の合計額
・その年の総所得金額等の40%相当額
給与所得者がふるさと納税を行って寄附金控除を受けるには、確定申告が必要です。ただし、ワンストップ特例の場合、確定申告は不要です。
確定申告を行う際には寄附した団体などから交付を受けた寄附金の受領書(領収書)または、特定事業者が発行する「寄附金控除に関する証明書」が必要になります。
⑧障害者控除
障害者控除は納税者及び同一生計配偶者、扶養家族が障害者に該当する場合に適用される控除です。なお、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族も適用されます。
控除者の区分によって控除の金額は異なり、最大で75万円の控除が受けられます。
⑨寡婦控除
寡婦控除は配偶者と離婚・死別している場合に適用される控除です。2020年に改正されており、対象となる範囲が変更となっています。
2020年以降の対象要件は、その年の12月31日の現況でひとり親に該当せず、夫と離婚した後に扶養親族がいて合計所得金額が500万円以下、もしくは夫と死別して合計所得金額が500万円以下の人が当てはまります。
2019年以前は控除額が27万円、もしくは35万円でしたが、2020年以降の控除額は一律27万円です。
⑩ひとり親控除
ひとり親控除は納税者がひとり親である場合に適用される控除で、2020年に創設されました。この場合のひとり親は男親、女親を問いません。
原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしておらず、次の3つの要件にすべて当てはまる方が対象となります。
・婚姻関係と同様の事情にあると認められる人が居ないこと
・生計を一にする子どもが居ること
・合計所得金額が500万円以下であること
要件にすべて当てはまった方は、一律35万円の控除が受けられます。
⑪勤労学生控除
勤労学生控除は一定水準以下の給与所得のある学生に適用される控除です。控除を受けられるのは次の3つの要件にすべて当てはまる方が対象となります。
・給与所得などの勤労による所得があること
・合計所得金額が75万円以下で、勤労以外の所得が10万円以下であること
・特定の学校の学生、生徒であること
3つの要件にすべて当てはまる方は、一律27万円の控除が受けられます。
⑫配偶者控除
配偶者控除は年間48円以下の所得金額の配偶者がいる場合に適用される控除です。次の4つの要件のすべてに当てはまる方が対象となりますが、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると受けられません。
・民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
・納税者と生計を一にしていること
・配偶者の年間合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)であること
・青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
控除金額は納税者本人の合計所得金額によって変動します。
⑬配偶者特別控除
配偶者特別控除は年間48万超~133万円以下の合計所得金額の配偶者がいる場合に適用される一定金額の控除です。
基本的には配偶者の所得が年間48万円超~133万円以下の場合に受けられる控除ですが、いくつかの要件を満たすことと、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です。
配偶者の合計所得と納税者本人の合計所得金額に応じて、控除金額が1万円~38万円に変動します。
⑭扶養控除
扶養控除は扶養する家族がいる場合に適用される控除です。扶養控除の対象になる親族は、その年の12月31日の現況で年齢が16歳以上の人を対象としており、年齢ごとに区分が変わります。
控除金額は扶養親族の区分や年齢、同居の有無で変動し、最大で63万円です。
⑮基礎控除
基礎控除は合計所得金額が2,400万円以下の納税者であれば、原則として、誰でも適用される控除です。
合計所得金額に応じて控除額は変動しており、2020年以後は下記のとおりになっています。
・2,400万円以下なら控除額は48万円
・2,400万円超2,450万円以下なら控除額は32万円
・2,450万円超2,500万円以下なら控除額は16万円
・2,500万円超なら控除額は0円
所得税の所得控除手続きと確定申告の有無
所得税の所得控除はさまざまな支出に適用されており、個人事業主やフリーランスの方は確定申告の際に所得控除の手続きを行います。
手続きといっても確定申告書にある所得控除の欄に控除額を記入するのですが、次の所得税の所得控除には証明書などが必要になります。
①雑損控除
②医療費控除
③社会保険料控除
④小規模企業共済等掛金控除
⑤生命保険料控除
⑥地震保険料控除
⑦寄附金控除
⑪勤労学生控除
⑬配偶者特別控除
会社員や公務員などの給与所得者は勤め先が年末調整という形で控除を行っており、次の所得税の所得控除に関する手続きは必要ありません。
③社会保険料控除
④小規模企業共済等掛金控除
⑤生命保険料控除
⑥地震保険料控除
⑧障害者控除
⑨寡婦控除
⑩ひとり親控除
⑪勤労学生控除
⑫配偶者控除
⑬配偶者特別控除
⑭扶養控除
⑮基礎控除
一方、年末調整で控除されない所得税の所得控除もあります。
①雑損控除
②医療費控除
⑦寄附金控除
これらの所得税の所得控除を受けるには確定申告をする必要があります。その際には証明として添付書類が必要になるため、病院の領収書や寄附金受領証明書を用意します。
ただし、ふるさと納税でワンストップ特例を受ける場合は、確定申告不要です。
確定申告と青色申告特別控除
確定申告とは1年間(1月1日~12月31日)の所得に関する税金を計算して、国に納めるべき税額を申告する手続きです。1年に1回行い、年間の所得が基礎控除(48万円)以上ある自営業や個人事業主、フリーランスの方は必須です。
会社員や公務員のような給与所得者は勤務先が年末調整を行いますが、副業での所得がある、年収2,000万円以上ある、複数から給与を受けているなどの要件を満たしている方は確定申告が必要です。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があり、事前申請と記帳方法が難しい青色申告だと、所得税の控除とは別に特別控除が最大で65万円受けられます。
確定申告を行う際、経費を勘定科目ごとに仕訳する必要があるため、領収書の保管が必要になります。
しかし、クレジットカードで経費を支払っていれば、利用明細書で何にいくら使ったのか簡単に確認ができ、とても便利です。
所得税の支払いにおすすめのクレジットカード
所得税の納付期限は確定申告の申告期限と同日の3月15日までとなっています。現金払いや口座振替など納付方法はいくつもありますが、クレジットカードでの納付(※)がおすすめです。
所得税をクレジットカードで支払うと、納税金額に応じたポイントが付与されます。
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よくある質問
ここでは所得税の所得控除についてよくある質問を紹介します。
Q1 所得税の所得控除とは?
所得税の所得控除とは、所得税の計算において、ある一定の要件に当てはまる場合に所得の合計から一定額を差し引くことができる仕組みです。
所得控除によって課税所得が少なくなるため、所得税の控除は税負担を軽くする役割を果たしています。
Q2 所得税の所得控除の内容は?
基本的に会社員や公務員のような給与所得者は、勤務先が年末調整で所得税の所得控除の計算などは済んでおります。
しかし、雑損控除、医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を除く)は年末調整で控除されず、個人事業主やフリーランスの方は15種類の控除を把握して計算する必要があります。
所得税の控除まとめ
所得税の控除とは、一定の要件を満たすと支払うべき税金が安くなる制度です。2022年4月1日時点で15種類ありますが、時勢に合わせて法改正が行われます。
会社員や公務員などの給与所得者は勤務先が年末調整をするため、基本的には自分で控除の手続きをする必要はありません。
ただし、雑損控除と医療費控除、寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を除く)は年末調整ではできないため、控除を受けるためには自身で確定申告をしなければなりません。
また、一部の給与所得や個人事業主やフリーランスの方は確定申告が必須です。
所得税の支払いはポイントが付与されるクレジットカードがおすすめになります。
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この記事を監修した人
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CFP、税理士