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法人とは?株式会社から特殊法人までその特徴を解説!設立方法についても紹介

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法人とは?株式会社から特殊法人までその特徴を解説!設立方法についても紹介
法人という言葉を聞く機会は多いですが、実は詳しい定義を知らないという方も多いのではないでしょうか。法人を設立しようか悩むタイミングであれば、法人について詳しく知っておかなければなりません。

また、法人を設立する流れや費用なども一緒に理解しておくと、法人を設立するときに役立つでしょう。

本記事では、法人の基本的な知識や種類を解説するほか、個人事業主との違いや法人の設立方法なども紹介します。これから法人化の予定がある方は、ぜひ参考にしてください。

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法人とは法律で認められた人格のことを示す

法人とは、法律で認められた人格のことです。法人を設立し、法律上の人格を獲得すると、権利義務の主体となることができます。

権利義務の主体となると、商品を売買する、税金を納める、民事訴訟を起こすなど自然人にのみ認められている法的権利・義務を、法人という組織でも行使できるようになります。

なお、法人は大きく「営利法人」と「非営利法人」、「公的法人」の3つに分けられます。

営利法人は構成員への利益分配を目的とする法人であり、非営利法人では構成員へ利益分配を目的としません。公的法人は、公の業務の実施を目的とした法人です。

各法人の特徴を解説

各法人の特徴を解説

日本では、法律の定めによりさまざまな法人があります。具体的には、営利法人の株式会社や合同会社、非営利法人の一般財団法人や一般社団法人、公的法人の地方公共団体や特殊法人などです。以下では、主たる法人の特徴を解説します。

営利法人   株式会社
合同会社
合資会社
合名会社
非営利法人   協同組合
管理組合
互助会
公益法人 一般財団法人
公益財団法人
一般社団法人
公益社団法人
NPO法人
宗教法人
公的法人 地方公共団体
独立行政法人
特殊法人

株式会社

株式会社は営利法人の代表的な法人です。

株式を発行して資金を調達し、事業を行う点に特徴があります。また、間接有限責任であるため、社員(出資者)は出資額を限度として責任を負い、原則として債権者から直接責任を追及されることはありません。

株式会社を設立する際には、定款の認証を受け、登記手続きを行います。出資は経営者自ら行うこともでき、経営者と株主が同じ人物である「1人会社」も可能です。

なお、国税庁によれば令和2年度の組織別法人数では、株式会社が2,583,472社となっており、営利法人のうち92.1%を占めています。株式会社のなかで2022年度の売上高1位はトヨタで、37兆円を超えています。

合同会社

合同会社(LLC)は、2006年5月に施行された会社法改正により認められた、新しいタイプの営利法人です。出資者と経営者が同一であり、出資者全員が有限責任社員である点に特徴があります。

営利法人のなかでは株式会社に次いで2番目に多い134,142社となっており、全体に占める割合は4.8%です。

代表的な合同会社には、以下があります。

● アップルジャパン
● グーグル
● アマゾンジャパン

合同会社は株式会社と比較して設立手続きが簡単で、費用も株式会社ほどかからないため、少ない資金で法人を設立したい方に好まれている法人形態です。

一方で、合同会社は持分会社(出資者=会社の経営者)となるため、株式会社のように出資者の地位を他者に、自由に譲渡できません。

また、そもそも株式の概念がないため、株式を発行して資金調達ができず、資金調達方法は助成金や借り入れなどに限られるといったデメリットもあります。

なお、株式会社の代表は、代表取締役社長といいますが、合同会社には取締役という役職がないため、代表社員が代表取締役社長に該当します。

合資会社

合資会社は無限責任社員と有限責任社員より構成される営利法人です。株式会社と比べ無限責任社員を必要としますが、決算公告は不要で資本金の制度もありません。

合資会社の設立には定款の作成が必要です。株式会社と比較すると設立手続きの費用は少なく、手続きも容易となっています。

合名会社

合名会社は無限責任社員のみで構成される営利法人です。出資者全員に無限責任が課されるため、重い責任があることが特徴となります。

合資会社と同様に設立には定款の作成を要します。株式会社と比べると設立の費用は少なく、手続きは比較的容易です。

協同組合

協同組合とは、共通の目的をもつ個人が集まり、組合員として管理運営を行う非営利法人です。具体例としては、農業協同組合や森林組合、生活協同組合や信用金庫などがあります。

協同組合の設立には、発起人の選定や定款の作成などのうえ、行政庁への設立認可申請が必要です。

管理組合

管理組合とは、マンションなどの集合住宅の維持や管理を目的とする組織です。法人化が可能であり、法人となることで不動産の取得や登記などが可能となります。

管理組合を法人化する場合は、所有者間で議決を行い、法務局への設立登記申請が必要です。

互助会

互助会はある一定の属性をもつ会員同士の相互扶助を目的につくられた組織です。例としては、職員互助会や冠婚葬祭互助会などがあります。

互助会や町内会、同窓会などの任意団体の法人化には中間法人がありましたが、2008年の中間法人法の廃止を受け、一般財団法人や一般社団法人へ移行しています。

一般財団法人

一般財団法人は、公益法人制度改革関連3法が2008年12月に施行されたことにより、新たに設立可能となった法人です。一般財団法人は「財産」に法人格が与えられたものであり、具体例には美術館や奨学金支給を行っている団体などがあります。

一般財団法人は非営利法人となりますが、事業自体に制限があるわけではなく、収益事業を行うことも可能です。

ただし、株式会社のように営利を目的とした法人ではないため、社員や設立者に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を付与することはできず、収益は営業(活動)のために使います。この点は営利法人とは多く異なる特徴でしょう。

なお、一般財団法人の設立には300万円以上の財産拠出が必要です。行政庁の許認可は必要なく、比較的簡単な登記手続きで設立できます。

公益財団法人

公益財団法人は一般財団法人のなかで、行政庁に公益性を認められた法人です。公益を目的とする23の事業に限定されており、税制上の優遇措置を受けられます。

公益財団法人を設立する場合には、設立登記を行ったあと、行政庁(内閣府または都道府県知事)による公益認定が必要です。

一般社団法人

一般社団法人もまた、公益法人改革により生まれた法人です。一般財団法人が「財産」に法人格を与えることに対し、一般社団法人では「人」に対し法人格を付与します。

一般社団法人は登記により比較的簡単に設立可能です。活動に制限がなく、収益をあげることも可能なため、介護事業や資格認定機関など幅広い団体に利用されています。

公益社団法人

公益社団法人は、一般社団法人のうち公益認定を受けた法人のことです。公益目的事業には公益財団法人と同じ23の事業が挙げられており、税制上の優遇措置があります。

公益社団法人を設立する際には、一般社団法人として設立登記を行ったあと、行政庁(内閣府または都道府県知事)による公益認定が必要です。

NPO法人

NPO法人は、特定非営利活動法人のことを指しています。「社会教育の推進」や「国際協力」など20の分野の活動を非営利で行う法人です。補助金や支援プログラムが充実している特徴があります。

ただし、NPO法人の設立にはさまざまな要件を満たしたうえで、所轄庁の認証が必要です。一般社団法人と比較すると、設立に期間を要します。

宗教法人

宗教法人とは、神社や教団のような宗教団体のうち、法人格を取得したものです。神社や寺院など単体で礼拝施設を持つ「単位宗教法人」と、複数の施設を束ねる「包括宗教法人」があります。

宗教法人の設立には、所定の事項を記した規則を作成したうえで、都道府県知事または文部科学大臣の認証が必要です。

地方公共団体

地方公共団体は一定地域を基礎とする公的法人です。国とは別の法人格を有しています。

地方公共団体は地方自治法を根拠としており、「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」の2つに分類されます。

● 普通地方公共団体:都道府県、市町村
● 特別地方公共団体:特別区、地方開発事業団、財産区

普通地方公共団体には、都道府県と市町村があり、都道府県がそれぞれに属する市町村を統括しています。

また、特別地方公共団体は、それぞれが特定の目的のために設置された地方公共団体で、特別区は東京23区のことをいいます。

独立行政法人

独立行政法人とは国の行政活動のうち、実施部門にあたる一定の事務や事業を分離し法人格を与えたものです。

活動は主務大臣による目標のもと、各法人の自律性によって運営されています。例としては、国立大学や国立病院機構などがあります。

特殊法人

特殊法人とは国に必要な事業のうち、企業的経営がなじむものについて特別の法律により独立の法人格を与えたものです。

活動は国による特別な監督のもと、できる限りの自主性により経営されています。具体例には株式会社日本政策金融公庫や新関西国際空港株式会社などがあります。

法人と個人事業主の違い

法人と混同されやすい言葉として個人事業主があります。独立して働く場合、法人を設立するか個人事業主として働くかの2種類がありますが、その主な違いは以下のとおりです。

● 個人事業主:資本金・設立費用が不要。一般的に法人と比べて社会的信用度が低いため、融資の調達で不利になることがある
● 法人:資本金・設立費用が必要(株式会社の場合、会社設立にかかる費用は約21~25万円)。社会的信用度が高い傾向があるので、融資の調達が有利になることがある。

個人事業主は資本金や設立費用が不要であり、設立時の手続きは開業届の提出で済む点は大きなメリットです。

一方、法人は個人事業主より範囲の広い経費を会計処理できます。また、個人事業主よりも社会的信用が高いため、金融機関からの融資や企業との取引で有利に働く点も魅力です。

それ以外にも決算期・確定申告の時期・社会保険の取り扱い・赤字の繰越欠損などに法人と個人事業主の違いがあります。

個人事業主か法人かどちらで開業すべきか

個人事業主か法人かどちらで開業すべきか

独立後個人事業主と法人どちらで開業すべきかは、メリット・デメリットを見比べて判断する必要があります。個人事業主・法人のどちらで開業すべきか、解説していきます。

事業規模で判断する

個人事業主か法人のどちらで開業すべきか悩んだときは、事業規模が判断基準になります。個人事業主の場合所得金額に対して、所得税率が決まります。所得金額が900万円を超えると所得税率は33%、所得金額が1,800万円を超えると所得税率は40%です。一方で法人税率は23.2%(※)なので、所得税率と法人税率を比べて法人税率の方が安くなる場合、法人化を検討したほうが良いでしょう。

また年商が1,000万円を超えた場合、翌々年度から課税事業者になり消費税を納める義務があります。この2つの指標を基に考えると、所得金額が900万円、年商が1,000万円を超えそうであれば法人化を考えたほうが良いでしょう。

さらに個人事業主と法人を比較すると、法人の方が社会的な信用度が高い傾向にあります。融資を受けたいときに、法人化したほうが場合によっては有利になることもあります。

(※)開始事業年度が2021年4月1日以降、資本金1億円以下の法人で年800万円超の部分です。税率は所得税、法人税ともに2021年度時点の値となります。

個人事業主から始めて後々法人化する方法もある

独立時に個人事業主からスタートするか、法人を設立するか悩む方も多いと思います。そんな方は、個人事業主からスタートして、後々法人化する方法があることも頭に入れておきましょう。個人事業主は設立費用がかかりませんので、初期の負担が少ない点がメリットです。

はじめから従業員を複数雇って事業を始めると、資金面などで苦労することがあります。小規模な個人事業主からスタートし、軌道に乗ったら法人化・雇用を検討する方法であれば、資金的なリスクを抑えることができます。

法人(株式会社)の設立方法

個人事業主から法人化するためには、方法を知っておく必要があります。一般的には、株式会社を設立する場合が多いので、ここでは株式会社の大まかな流れをご紹介します。

1. 基本事項の決定
2. 定款の作成
3. 定款の認証
4. 登記に必要な書類の作成
5. 登記申請を行う

株式会社を設立するためには、まず会社の目的や社名、事業内容など会社の基本事項を決めて、定款を作成します。定款とは、会社の憲法とも呼べるもので、会社の根本となる重要な規則になるため、専門家と相談しながら適切に作成しましょう。

定款の作成後は、公証人(法務大臣に任命された法律事務の専門家)によって、定款に法律上の問題がないかなどの確認をしてもらい、正しい定款であることの証明を取ります。

その後、設立登記を作成・申請を行い、株式会社の設立となります。登記の申請場所は本店所在地を管轄する法務局などになるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

株式会社の設立にかかる費用

株式会社の設立には、定款の認証や登記の申請が必要なため、費用がかかります。株式会社の設立にかかる主な費用は以下です。

費用 金額
定款の印紙代 4万円(電子定款の場合は不要)
定款認証の手数料 3万円~5万円
定款謄本証明書 1枚250円
登録免許税 払込資本金の0.7%(15万円以下は一律15万円)

このように、株式会社の設立には最低でも20万円程度の費用がかかります。

費用は資本金によっても変動するほか、上記のほかに専門家への委託料や印鑑代、封筒、名刺代などの費用も必要になるため、株式会社の設立には、ある程度の初期費用がかかることを覚えておきましょう。

法人にかかる税金の種類

法人は、納める税金の種類が個人事業主とは違う点にも注意が必要です。法人にかかる主な税金の種類は以下になります。

税金の種類 内容
法人税 法人の所得に対して課せられる国税で、法人の種類や資本金額、年間所得金額などで税率が変動します。
法人住民税 会社を登記している都道府県、市町村に対して納める地方税です。国税となる法人税とは違い、各自治体で税率が異なります。
法人事業税 事業所などを有する都道府県へ事業を営んでいることに対して納税する地方税です。法人住民税とは違い、市町村へは納めません。
消費税 商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対してかかる税金です。標準税率は10%、軽減税率は8%と、2種類の税率があります。
固定資産税 事業の継続に使われる土地や家屋、償却資産にかかる税金です。資産価値に応じて算定された税額を、固定資産を有する市町村に納めます。

上記のほか、法人は厚生年金や健康保険などの社会保険に加入する義務もあり、個人事業主のときに比べて、一般的に料金の負担が大きくなるので、覚えておきましょう。

税制優遇や助成金も活用しよう

法人化する場合は税制優遇や助成金を活用するのがおすすめです。主な税制優遇や助成金には以下のようなものがあります。

税制優遇 欠損金繰越控除制度
少額減価償却資産の特例
法人税の欠損金の繰戻しによる還付など
助成金 地域創造的起業補助金
小規模事業者持続化補助金
キャリアアップ助成金など

税制優遇や助成金はほかにもあるため、法人化するときは専門家への相談や、政府の公式サイトなどで確認しておくと良いでしょう。

法人におすすめのクレジットカード

これから法人を設立するという方は、併せて法人用のクレジットカードの発行をおすすめします。法人用のクレジットカードがあれば、経理管理の簡略化やポイントによる経費削減といったメリットがあります。

法人用のクレジットカードにはさまざまな種類がありますが、これから法人を設立される方にはセゾンのビジネスカードがおすすめです。セゾンのビジネスカードは、引き落とし口座を、代表者名義の個人口座と法人口座から選べます。

決算書・登記簿謄本・法人用口座不要でつくれるので、これから法人を設立する方でも申し込みしやすい点がメリットです。ここからは法人を設立される方におすすめのクレジットカードをご紹介します。

セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カード

セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、年会費無料で発行できます。追加カードは9枚まで年会費無料で、特に独立したばかりで年会費をおさえたい方にぴったりのビジネスカードです。

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セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードは、充実した特典やサービスを活用したい経営者におすすめのカードです。

初年度年会費無料、2年目以降は22,000円(税込)です。社員の方向けの追加カードも1枚あたり年会費3,300円(税込)で発行できるので、規模が大きくなっても使いやすいクレジットカードです。

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まとめ

法人を設立すべきかどうかは、しっかりと検討して決めるべき内容です。法人には株式会社や合同会社などさまざまな種類があります。今後の売上予測なども踏まえて、自分にとってベストな選択肢を選べるようにしましょう。

法人用クレジットカードがあれば、経理管理の簡略化はもちろん、充実したビジネスサービスを受けられ、本業に集中できる環境づくりが整います。法人を設立したときには、法人用クレジットカードも併せて発行しましょう。

セゾンのビジネスカードなら決算書・登記簿謄本・法人用口座不要でつくれるので、これから法人を設立する方でも申し込みできます。この機会にぜひセゾンのビジネスカードをご検討ください。

(※)Apple、Appleのロゴは、Apple Inc.の商標です。

この記事を監修した人

松浦 絢子
松浦 絢子
松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法科大学院出身。企業法務系の法律事務所のパラリーガル(法律事務補助)として主にIT業界を担当した後、ロースクールに進学しました。弁護士資格取得後は法律事務所や不動産会社の法務部門に所属した経験もあります。法律事務所に在籍していた頃はちょうど東日本大震災後の不景気で、個人や事業者の方から銀行や消費者金融からの借金、クレジットカード利用に関するご相談を多くお受けする機会がありました。不動産会社の法務部に転じてからは、不動産購入時のローンや機関投資家の不動産投資におけるファイナンスに携わっていたため金融の仕組みについては人一倍興味があります。現在、不動産やIT分野を中心として、トラブル対応・新規事業に関する適法性検討・契約交渉に関するご相談などに取り組んでいます。その他、借金や資金繰りにお困りの個人や事業者の方からのご相談もお受けしております。休みの日は、たいてい近所の大きな公園で子供と遊んでいます。

【保有資格】
弁護士、宅地建物取引士