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源泉所得税の計算方法を解説!計算シミュレーションをもとに算出してみよう
本記事では、源泉所得税の概要や計算方法、計算シミュレーションの例、納付方法などを詳しく解説します。これから源泉所得税にふれる方は、ぜひ参考にしてください。
源泉所得税とは「源泉徴収された所得税」
源泉所得税とは、その名のとおり「源泉徴収された所得税」のことを指します。
所得税は1年間の所得に応じて徴収される税金です。個人事業主や自営業の方は、1月から12月までの1年間の所得を毎年確定申告時に申告します。
会社員の場合は、勤め先の企業が所得の計算を行ってくれるのが一般的です。給与や報酬を支払う事業者があらかじめ一定額を徴収して国に税金を納付することを源泉徴収と呼び、源泉徴収によって支払われる所得税が源泉所得税です。
なお、2022年8月時点では、基準所得税率10%に加えて復興特別所得税0.21%が加算され、合計で10.21%が源泉徴収税率と定められています。個人の場合はご利用明細書発行時、会社員の場合は給与やボーナスから毎月天引きが行われ、年末調整や確定申告時に過不足分の調整をします。
源泉所得税と所得税の違い
所得税は、1年間のすべての所得に応じて課される税金のことであり、所得者本人が申告して納税する必要があります。
一方で、源泉所得税は事業者が従業員に支払う給与から一定額を徴収し、本人の代わりに納める税金です。
所得を申告するのも納めるのも本人であるのが所得税であるのに対して、源泉所得税は報酬を支払う事業者が納める税金になります。
また、所得税は所得をすべて自己申告するため、申告に不備がなければ納税が完結します。
しかし、源泉所得税は一定額を徴収する制度であり、従業員の所得に合わせた税金を徴収できるわけではないので源泉徴収によって納税が完結しません。支払う所得税を調整するために年末調整を行うことで帳尻を合わせます。
源泉所得税が引かれる所得の種類
源泉所得税は、すべての所得から引かれるわけではありません。
また、給与や報酬を受け取る者が個人であるか、法人であるかによって源泉徴収の対象となる範囲が異なります。以下では、個人と法人に分けて源泉所得税が引かれる所得の種類をご紹介します。
個人の場合
個人の場合、源泉徴収の対象となる範囲は以下のように定められています。
● 原稿料や講演料など(ただし懸賞応募作品等の賞金については、5万円以下であれば源泉徴収対象外)
● 弁護士・公認会計士・司法書士など特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
● 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
● プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
● 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
● ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー・キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
● プロ野球選手の契約金など、役務の提供契約を約することにより一時に支払う契約金
● 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
上記に該当しない報酬であれば、源泉徴収の必要はありません。個人の方からご利用明細書を受け取る場合、源泉徴収の対象になるかどうかを確認しましょう。
法人の場合
法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲は下記のとおりです。
● 法人に支払われる公社債などの利子・配当
● 馬主である法人に支払う競馬の賞金
個人と比較すると対象になる報酬は少ないですが、法人単位で公社債に投資している場合や、馬主であるなら留意しておきましょう。
源泉所得税の計算方法
ここからは、「給与」「賞与」「その他の報酬」の3種類について、源泉所得税の計算方法をご紹介します。
給与
給与に対する源泉所得税額の計算方法は「金額」や「扶養家族の人数」「月払いなのか、日払いなのか」によって異なります。
従業員の源泉所得税額を知りたい場合、扶養親族数や所得金額を確認のうえ、国税庁公式サイトに用意されている「源泉徴収税額表」をご参照ください。
源泉徴収税額表は、月払いと日払いで表が分かれていますので、確認の際は自身の給与形態に合ったものを確認しましょう。
また、表の内容は毎年更新されるため、参照する際は必ず最新の表であるかどうかを確認してください。
源泉徴収税額表には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した社員が対象の「甲欄」と、提出しない社員が対象の「乙欄」があります。
扶養家族がいる会社員には、経理部門宛てに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出するよう伝えておきましょう。
「甲欄」には扶養親族の数ごとに税額が記載されており、「社会保険料を引いた手取り給与」と「扶養親族の数」から源泉所得税額を算出可能です。
なお、複数の会社から給与を受け取っている方については「乙欄」の適用となるケースがあることにご留意ください。「乙欄」には「社会保険料を引いた手取り給与」に対応する源泉所得税額が記載されています。
「国税庁公式サイトに掲載されている月額表や日額表を閲覧したけれども、よくわからない」という場合は、税務署や税理士などにご相談ください。
給与から差し引く源泉所得税額計算シミュレーション
先述した源泉徴収税額表は、主に給与から差し引く源泉所得税額を確認するために使います。表には給与の金額や扶養人数に応じた税額が記載されており、当てはまる項目を見るだけで源泉徴収税額を把握できます。
例えば、「社会保険料などを控除した月額給与金額が30万円、扶養家族が0人」のケースを源泉徴収税額表(令和4年分)に当てはめると、源泉徴収税額は8,420円だとわかります。
賞与
源泉徴収は、給与に対してだけではなく、賞与に対しても行います。
なお、賞与に対する源泉徴収税額を計算する場合は、国税庁の公式サイトに掲載されている「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を利用してください。
給与に対する源泉徴収税額の算出と同様に、社会保険料などの控除を行ってから、控除後の賞与額に該当する算出率を乗じて計算するという手順になります。
賞与から差し引く源泉所得税額計算シミュレーション
賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表には、控除後の賞与額に応じた所得税率が記載されてます。この所得税率をもとに計算をすれば、賞与から差し引く源泉所得税額を求められます。
例えば、「社会保険料などを控除したあとの賞与金額が30万円、扶養家族が0人」のケースを表に当てはめた場合の所得税率は8.168%です。この場合の計算式は「30万円×8.168%」となり、源泉徴収税額は24,504円だとわかります。
退職金の源泉所得税
給与や賞与だけではなく、退職金に対しても所得税の源泉徴収を行います。
退職金に対する源泉所得税は、勤続年数や退職理由によって決まる「退職所得控除」を差し引き、「2分の1」を乗じた額に対して課されます。
具体的な計算は、国税庁公式サイトに掲載されている「源泉徴収のための退職所得控除額の表」「課税退職所得金額の算式の表」「退職所得の源泉徴収金額の速算表」などに基づいて行ってください。
退職金から差し引く源泉所得税額計算シミュレーション
退職金から差し引く源泉徴収税額は、退職所得の源泉徴収金額の速算表を見ると算出できます。表には課税退職所得金額に応じた所得税率と控除額が記載されており、該当する項目を確認するだけで計算式を把握することが可能です。
例えば、課税退職所得金額が700万円のケースを表で見ると、記載されている所得税率は23%、控除額は636,000円です。この場合の計算式は「(700万円×23%-636,000円)×102.1%となり、税額は994,454円になることがわかります。
源泉所得税の計算をする際に注意すべきポイント
源泉所得税の計算をする際は、下記の2つに注意してください。
● 非課税項目の限度額
● 支払い報酬の漏れ
非課税項目とは、その名のとおり所得税が課されない所得のことです。代表的な例としては、出張時に支給する旅費や通勤手当、在宅勤務手当などが挙げられます。
しかし、非課税項目によっては、限度額が定められているので注意が必要です。例えば、通勤手当は非課税項目のひとつですが、1ヵ月の通勤距離に応じて限度額が決められています。支給する通勤手当が限度額を超えている場合、超えた部分の金額が給与として課税されます。
このほか、支払い報酬に漏れがないかどうかにも気を配りましょう。個人事業主に業務を外注している場合、支払った報酬が源泉徴収の対象となるケースがあります。源泉徴収の対象になるかどうかは、国税庁の公式サイトから確認できます。
源泉所得税の納付期限
従業員の給与から天引きされた源泉所得税は、原則給与などを支払った月の、翌月10日までに国に納付しなければなりません。
例えば、9月末に給料が支払われたのであれば、10月10日に源泉所得税を納付します。源泉所得税は徴収した企業が、国に納める仕組みです。
ただし、給与支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は半年まとめての納付ができる特例など、毎月支払わなくても良いケースもあります。
特例を受けるためには所轄の税務署長に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出しなければならないので、特例を受けたい場合は忘れずに対応しましょう。
源泉徴収税の納付方法
ここでは、源泉所得税の納付方法3つについて、詳しく解説します。それぞれの特長を把握し、自身に合った納付方法を見つけましょう。
クレジットカード
「国税 クレジットカードお支払サイト」を運営する納付受託者 トヨタファイナンス株式会社に源泉徴収税の納付を委託する方法です。
氏名・住所・納付する国税の税目や納付税額などの納付情報と納付に利用するクレジットカード情報を入力することで、納付手続きが完了します。
なお、納付税額に応じて、以下の決済手数料(税込)がかかるので注意してください。
納付税額 | 決済手数料(税込) |
---|---|
1円~10,000円 | 83円 |
10,001円~20,000円 | 167円 |
20,001円~30,000円 | 250円 |
30,001円~40,000円 | 334円 |
40,001円~50,000円 | 418円 |
以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます。 |
e-Tax
源泉徴収税などの国税に関する各種の手続きについて、インターネットを利用して電子的に手続きが行えるシステム e-Taxを介して納付手続きをする方法です。
預貯金口座からの振替により納付する方法(ダイレクト納付)や、インターネットバンキング・ATMなどから納付する方法があります。
ダイレクト納付は、所轄の税務署に「ダイレクト納付利用届出書」を提出すると利用できます。インターネットバンキングなどから納付する場合は、利用する金融機関で「税金・各種料金払込みサービス」(ペイジー)が提供されている必要があります。
納付書
納付書を使用して、コンビニや金融機関、税務署の窓口から納付する方法です。これまでご紹介してきたクレジットカード・e-Taxでの納付は、どちらも現金が不要な電子納税でしたが、納付書を使用する場合は現金が必要になります。
源泉所得税の納付はビジネスカードがおすすめ
事業主が従業員の源泉所得税を納付するなら、ビジネスに特化したクレジットカードであるビジネスカードの利用がおすすめです。
ビジネスカードで税金を納付する場合は、納付税額に応じて決済手数料がかかりますが、支払額に対してポイント還元が受けられます。
また、ビジネスカードは付帯しているサービスもビジネスに特化しており、クラウド型経費精算サービスなどの源泉所得税を含む税金や経費管理を楽にするサービスをお得に利用可能です。
ここからは、源泉所得税を支払うのに適していて、ビジネスに関する付帯サービスが充実しているおすすめのビジネスカードをご紹介します。
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---|---|
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追加機能 | ・社員用追加カード:9枚まで(年会費無料) ・ETCカード:5枚まで(年会費無料) |
電子マネー | Apple Pay/Google Pay™/QUICPay™(クイックペイ)/iD |
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年会費 | ・初年度年会費無料 ・通常年会費22,000円(税込) |
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国際ブランド | American Express |
入会資格 | 個人事業主・経営者をはじめ、安定した収入があり、社会的信用を有するご連絡可能な方(学生、未成年を除く) |
主なサービス | ・SAISON MILE CLUB(セゾンマイルクラブ)への登録 ・国内旅行傷害保険 ・海外旅行傷害保険(※1) ・国内空港ラウンジ ・プライオリティ・パスへの無料登録 ・コンシェルジュ・サービス ・ビジネス・アドバンテージ ・カード不正利用補償(オンライン・プロテクション)(※2) |
ポイント | ・永久不滅ポイント ・1,000円(税込)につき1ポイント (※)国税、都道府県・市町村取扱いの各種税金、税金決済に伴うシステム使用料および手数料(※当社にて税金決済として特定可能な売上(ふるさと納税除く)が付与率変更の対象)は、2,000円(税込)につき1ポイントの還元率となります。 ・海外利用で2倍(※3) |
追加機能 | ・社員用追加カード:9枚まで発行可能(年会費3,300円(税込)) ・ETCカード:5枚まで発行可能(年会費無料) |
電子マネー | Apple Pay/Google Pay™/QUICPay/iD |
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まとめ
源泉所得税は、給与や賞与のほか、退職金や支払報酬からも天引きを行います。源泉徴収制度は、支払いを受ける側にとっては手間がかかりませんが、支払いを行う側にとっては時間や労力が必要な仕組みといえるでしょう。
源泉所得税の計算は手計算でもできますが、会計ソフトを利用すると数値を入力するだけで簡単に計算ができます。経理処理が楽になれば、コア業務に時間が割けるようになるので、会社の業績アップにもつながります。
会計ソフトをお得に利用したい方には、「かんたんクラウド(MJS)」の優待が付帯するセゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス(R)・カードがおすすめです。
どちらも日々の経理処理に役立つビジネスカードなので、ぜひ申し込みをご検討ください。
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この記事を監修した人
【保有資格】
CFP、心理カウンセラー2級、生命保険大学課程(TLC)