免許返納のメリットとは?手続き方法や注意点をわかりやすく解説
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加齢とともに身体能力の変化が見られるようになると、免許返納を検討する方も多いでしょう。しかし、運転免許証を返納した場合の日常生活に影響が心配で、免許返納を躊躇する方もいるかもしれません。
この記事では、免許返納の手続き方法や注意点、そして免許返納のメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。免許返納を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
免許返納とは
免許返納とは、自動車運転免許証を自主的に返納することを指し、有効期限がまだ残っている運転免許証を本人の意思で返納できる制度のことです。運転免許証が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の変化といった理由で運転に不安を感じる方が、自主的に運転免許証を返納できます。
免許返納後は、申請することによって身分証明書として利用できる「運転経歴証明書」の交付を受けることが可能です。
警察庁交通局運転免許課が公開した「令和5年版の運転免許統計」によると、65歳以上で運転免許証を返納した方の人数は、平成26年には19.7万人でした。しかし、高齢ドライバーによる事故がきっかけとなり、免許返納について議論される機会がふえたことから、令和元年には57.5万人にまで増加しました。ただし、コロナ禍で密を避けるために車を利用する人が増えたことや、交通の便が悪い地域では車が欠かせないこともあり、その後は4年連続で免許返納者数が減少しています。
それでも、免許返納後の移動手段の確保や国や自治体の取り組みにより、免許返納が世間的にも定着してきています。令和5年には、36.6万人が運転免許証を返納しました。
参考:令和5年版の運転免許統計 申請による運転免許の取消件数の年別推移
免許返納の手続き
免許返納の手続きを不備なくスムーズに行うためには、免許返納の手続きの流れを事前に把握しておくことが大切です。また、免許返納の手続き方法はお住まいの都道府県で異なる可能性があります。
今回は東京都の例で紹介しますが、免許返納の手続きをする際は、必ずお住まいの都道府県の情報をご確認ください。
本人が申請する場合
本人が申請する場合、運転免許試験場または運転免許更新センター・警察署で手続きできます。それぞれの詳細は以下の通りです。
運転免許試験場
- 受付時間
平日:8:30~16:00
日曜:8:30~12:00、13:00~16:00- 手数料
1,100円
- 必要な持ち物
運転免許証、申請用写真1枚
運転免許更新センター・警察署
- 受付時間
平日:8:30~16:30
- 手数料
1,100円
- 必要な持ち物
運転免許証、申請用写真1枚
運転免許試験場であれば運転経歴証明書の即日受取も可能です 。運転免許更新センターや警察署では受け取りまで2週間程度かかるのでご注意ください。
代理人が申請する場合
本人が申請できない場合は、代理人が申請を行うことも可能です。運転免許試験場または運転免許更新センター・警察署で手続きできます。それぞれの詳細は以下のとおりです。
運転免許試験場
- 受付時間
平日:8:30~16:00
日曜:8:30~12:00、13:00~16:00- 手数料
1,100円
- 必要な持ち物
運転免許証、申請用写真1枚、委任状
運転免許更新センター・警察署
- 受付時間
平日:8:30~16:30
- 手数料
1,100円
- 必要な持ち物
運転免許証、申請用写真1枚、委任状
代理人が手続きする場合は、本人の申請とは異なり、委任状の提出が求められます。委任状とは、特定の権限や業務を他の人に委任するための文書です。また、代理人の住所や氏名、生年月日などが確認できる運転免許証や住民票の写し(コピー不可)などが必要になるので忘れず持参しましょう。
免許返納の手続きを行う際の注意点
免許返納の手続きを行う際は、以下の3つの点に注意が必要です。
✓ 手続きには自分で車を運転して行かない
✓ 車の名義変更や売却は早めにすませる
✓ 同居する家族に車を譲る場合、自動車保険を引き継げる
それぞれの注意点を詳しく見ていきましょう。
手続きには自分で車を運転して行かない
免許返納の手続きを行う際は、自分で車を運転して行かないようにしましょう。
まず、免許の返納という決断をする方の多くは、運転に自信がなくなったり、安全に運転できるか不安を感じたりしている方です。そのため、運転することによって、ご自身や他の方に危険を生じさせる可能性が高まります。また、免許返納手続きを行う場所は、警察署や運転免許センターなどですが、これらの施設は駐車場が限られており、駐車スペースの確保が難しい場合もあります。
さらに、手続き後は運転免許証を返納するため、その場で法的には車を運転することができなくなります。もし、免許返納後に運転をしてしまったら、無免許運転となってしまいます。
以上の理由から、免許返納の手続きを行う際は、公共交通機関を利用するか、家族や友人に送迎を依頼するなどして、安全に移動しましょう。
車の名義変更や売却は早めに済ませる
免許返納の手続きを行う際は、車の名義変更や売却を早めに済ませておくことも重要です。
まず、運転免許証を返納すれば、法的には車を運転することができなくなります。そのため、車を保持し続けると、維持費や保険料の支払いが無駄になり、経済的な負担が増えてしまいます。さらに、名義変更や売却の手続きを怠ると、万が一車の新しい所有者が事故を起こした場合や違反をした場合、元の所有者に対しても責任が問われる可能性があります。これによって法的なトラブルや金銭的な損失が発生するリスクがあります。
さらに、手続きを滞らせると、新しい所有者にスムーズに引き渡すことができず、トラブルの原因となる可能性もあります。以上の理由から、免許返納を決めた時点で早めに車の名義変更や売却を行い、安心して新しい生活を始めることが大切です。
同居する家族に車を譲る場合、自動車保険を引き継げる
免許返納の手続きを行い、同居する家族に車を譲る場合、自動車保険を引き継げるというのも重要なポイントです。
まず、保険を引き継ぐことによって、新たに保険を組むよりも保険料を抑えられる可能性があります。自動車保険は契約期間や履歴に応じて保険料が決まり、既存の保険を引き継ぐことによって割引が適用されるのが一般的です。さらに、新しい保険契約を組む際は、年齢や運転歴などによって保険料が高額になる可能性があります。
一方、引き継ぎの場合は、これまでの契約条件を継続できるため、より有利な条件で保険を利用できることが多いです。また、手続きを簡略化できるため、時間と労力の節約にもつながります。以上の理由から、車を同居する家族に譲る際は、自動車保険の引き継ぎを検討することが賢明と言えるでしょう。
自動車保険の引き継ぎは、同居する家族間で可能な場合が多いですが、具体的な条件や手続きについては保険会社に確認することが重要です。保険会社に確認して、最適な方法で手続きを進めることをおすすめします。
免許返納のメリット
免許返納のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
✓ さまざまな特典が受けられる
✓ 経済的負担の軽減
✓ リスク回避
それぞれのメリットを詳しく解説します。
さまざまな特典が受けられる
免許返納を検討している方にとって、各都道府県で受けられるさまざまな特典は大きな魅力です。これらの特典は、日常生活をより便利で快適にするためのサポートとなります。例えば、以下のような特典があります。
[東京都で受けられる特典]
一般社団法人東京都個人タクシー協会: タクシー乗車料金10%割引(障害者割引とは併用不可、一部除外車両あり)。
高島屋:自宅への配送無料(65歳以上の方に限る)。
[埼玉県で受けられる特典]
埼玉県個人タクシー協会:タクシー運賃10%割引。
伊藤園:直営店舗「伊藤園」にて店舗商品を表示価格から10%割引。
[大阪府で受けられる特典]
奈良交通株式会社:「奈良交通ゴールドパス(6ヵ月券)」を2回に限り無料で配布。
大阪モノレール株式会社:大阪モノレール千里中央駅のカフェ「E Pronto」にて会計金額から100円引き(一部対象外商品あり)。
参考情報
警視庁: 高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業
埼玉県警察: シルバー・サポーター制度協賛事業所一覧
大阪府: 高齢者運転免許自主返納サポート企業・自治体及び特典内容
これらの特典を活用することで、免許返納後も快適で便利な生活を送ることができます。都道府県ごとに受けられる特典は異なるため、居住地域の特典を確認し、自分に合ったサービスを見つけましょう。
経済的負担の軽減
免許を返納して車を処分した場合、自動車税や自動車保険料、駐車場代やガソリン代、車検費用などの車の維持費の負担がなくなることで、経済的負担を軽減することが可能です。
さらに、一戸建てなどで自宅に空きスペースがある場合、そのスペースを駐車場として時間単位で貸し出すことで、収益を得ることもできます。例えば、駐車場シェアリングサービスを利用すれば、都合の良いときだけ駐車場として貸し出せるため、空きスペースを有効活用して収益化が期待できるでしょう。
車を手放すことで得られる経済的なメリットだけでなく、空いたスペースを収益源に変えることができるため、さらに生活の質を向上させることができます。
リスク回避
車を運転することには常にリスクが伴い、誰でも交通事故の加害者にも被害者にもなり得ます。特に、高齢になると反応速度や視力の低下などによって運転ミスのリスクが高まります。
例えば、判断力や視認性の低下により、注意が必要な場面での対応が遅れる可能性があります。これにより、予期せぬトラブルが発生しやすくなります。
運転免許証を返納すれば、自らが加害者になる可能性を減らすことができ、万が一の事故による民事・刑事・行政上の罰則や処分等のリスクを回避することができます。例えば、事故による損害賠償責任や刑事罰、免許停止などの行政処分を避けることができます。
リスクを未然に防ぎ、安全で安心な生活を送るために、免許返納を検討することは賢明な選択です。
免許返納のデメリット
免許返納のデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
✓ 移動が不便になる可能性がある
✓ 心理的な影響にも配慮が必要
それぞれのデメリットを詳しく説明します。
移動が不便になる可能性がある
免許を返納した場合、自分で車を運転できなくなるため、代わりの交通手段が必要になります。これによって買物や病院への通院、趣味の活動への参加といった点で、日常生活の移動がこれまでよりも不便になることが考えられます。
特に、公共交通機関が発達していない地域に住んでいる場合、移動手段の確保が大きな課題となります。このデメリットは、自由に移動できる手段が制限されることで生活の質が低下する可能性があるためです。
対応策としては、公共交通機関やタクシー、ライドシェアサービスの利用を検討することが挙げられます。また、自治体や地域コミュニティが提供する移動支援サービスを利用することも一つの選択肢です。これらのサービスを活用すれば、免許返納後の移動の不便さをある程度は軽減できるでしょう。
心理的な影響にも配慮が必要
免許を返納したことで思うように外出できなくなった場合、自立心や自由度の喪失感を感じることがあります。これによって社会的なつながりが薄れ、孤立感を抱く可能性があります。特に、高齢者にとって、車を運転することは自立の象徴であり、その喪失は心理的なストレスを引き起こす可能性もあるでしょう。
このような心理的影響がデメリットとなる理由は、心の健康が生活の質に大きく影響するためです。免許を返納したことで外出が難しくなると、社会的な交流が減り、精神的な孤立感が増すことが懸念されます。
対応策としては、社会的な活動や交流を維持する方法を模索することが挙げられます。地域のコミュニティ活動や趣味のサークルに参加すれば、新たなつながりを作り、孤立感を軽減することが可能です。また、ウォーキングや公共交通機関を利用して外出することで、適度な運動と社会的な接触を維持し、ストレスを解消できるでしょう。
免許返納後の移動手段
免許を返納した後の移動手段には、いくつかの選択肢があります。まず、タクシーは自宅から目的地まで直接移動できる便利な手段です。特に荷物が多いときや公共交通機関が利用しにくいときには有効です。
また、バスや電車などの公共交通機関も、費用を抑えつつ移動できる手段として考えられます。定期的に運行しており、都市部では特に便利です。
さらに、地域によっては高齢者向けの送迎サービスやライドシェアサービスも利用可能です。これらのサービスを活用することで、移動の柔軟性が増し、安心して外出できます。
場合によっては、家族や友人に送迎をお願いすることも一つの方法です。選択肢をうまく組み合わせることで、免許返納後も快適に移動できるでしょう。
移動を自家用車からタクシーや公共交通機関に変えた際の出費の変化
移動を自家用車からタクシーや公共交通機関に変えた場合は、出費にどのような変化が見られるのでしょうか。以下に移動手段を変えた場合の出費の目安をまとめました。
一年間の出費の目安(年間走行距離が約2,500㎞の場合)
- 自家用車
合計約28万~41万円
- ガソリン代: 約4万円
- 車検費用: 約5万円
- 保険料: 約6万~12万円
- 自動車税: 約5万円
- メンテナンス費用: 約2万~3万円
- 駐車場代: 約6万~12万円
- 公共交通機関とタクシーを併用する場合
合計約18万~24万円
- タクシー: 約12万円(5km移動で約1,200円×年間100回利用の場合)
- 公共交通機関: 約6万~12万円(10km移動で約300~600円、年間200回利用)
- 公共交通機関のみを利用する場合
合計約6万~15万円
- 10km移動で約300~600円×年間250回
- タクシーのみ利用する場合
合計約52万円
- 10km移動で約2,100円×年間250回
自家用車は一見コストを抑えられているように思えますが、維持費や保険料、自動車税を含めると意外と年間費用は高額です。タクシーは費用負担が高額に思えますが、乗車料金の割引など各種特典を用意している自治体もあり、それらを活用することで実際には割安に利用できる可能性があります。タクシーと公共交通機関を組み合わせて利用することで、費用を抑えつつ移動の利便性を確保できます。
移動手段を自家用車からタクシーや公共交通機関に変えることで、出費の変化だけでなく、生活の利便性や安全性も向上する可能性があります。免許返納を検討する際には、これらの要素を総合的に考慮することが重要です。
免許返納後の移動はクレジットカードのタッチ決済がおすすめ
タッチ決済とは、専用の読み取り機にクレジットカードやデビットカードをかざすだけで支払いが完了する便利な決済方法です。
タッチ決済をおすすめする理由としては、スピーディな決済が可能であり、小銭や現金が不要な点が挙げられます。タッチ決済を利用すれば、簡単でスムーズな支払いが実現するでしょう。
また、クレディセゾンとビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社が国内の公共交通機関で利用できる決済ソリューションを開始したことにより、タッチ決済で公共交通機関が利用できるエリアが全国で拡大しつつあります。一部の地方では、交通系ICカードによる運賃決済の廃止が決定・検討されており、タッチ決済への移行がますます現実味を帯びています。免許返納後もタッチ決済を利用することで快適な移動を実現できるでしょう。
タッチ決済はスマホを使い慣れていない方にも便利なサービス!
タッチ決済は、スマホを使い慣れていない方にも便利なサービスです。1枚のクレジットカードやデビットカードをかざせば、多くの場所で支払いが完了します。
例えば、自動販売機、コンビニ、スーパーマーケット、レストランなどの日常的なお買物やサービスの支払いが簡単にできます。スマホの操作が苦手な方も、カードをかざすだけのシンプルな操作で利用できるため、安心して使うことが可能です。タッチ決済は、誰でも手軽で便利な決済方法として、ますます普及しています。
タッチ決済が使えるタクシー・公共交通機関
タクシー利用を含め、公共交通機関においてもクレジットカードのタッチ決済が使えるようになりつつあります。一部の都市・地域ではクレジットカードのタッチ決済が使えるバスが導入されています。
さらに、多くの大都市の地下鉄や電車でも、タッチ決済が使えるようになり、利便性が向上しているのが現状です。タクシーも多くのタクシー会社がタッチ決済に対応しており、乗車時のお支払いがスムーズです。
家族に運転を依頼する場合は、一部のカーシェアリングサービスも車両の利用料金をクレジットカードのタッチ決済で支払うことができます。
免許返納後もこれらのサービスをタッチ決済で利用すれば、移動がよりいっそう便利になるでしょう。
クレジットカードのタッチ決済が使える交通機関は非常に増えています。
詳しくはこちらからご確認下さい。
まとめ
運転免許証が不要になった方や、加齢に伴う身体機能の変化といった理由で運転に不安を感じている方の中には、運転免許証の返納を検討している方も多いことでしょう。
しかし、運転免許証を返納した後の移動手段に不安を感じ、なかなか返納の一歩を踏み出せずにいる方も少なくありません。
自治体の中には、運転免許証を返納した方に対してさまざまな特典を用意しているところも増えました。
免許返納の手続きを検討している方は、まずは居住地域の情報を集めて、新たな日常を楽しむ準備を整えましょう。また、車の維持費を考えた場合、運転免許証を返納して特典を利用しながら生活したほうが費用負担を軽減できるケースも多いため、この機会に運転免許証の返納を検討してみてはいかがでしょうか。
また、免許返納後の移動手段として、クレジットカードのタッチ決済が非常に便利です。特に、セゾンカードはタッチ決済が使えるカードが多く、公共交通機関やタクシー、日常のお買物でもスムーズに支払いができます。
免許返納を通じて安全で快適な生活を目指し、新しいライフスタイルを楽しみましょう。
移動の不便さを軽減させ、さらに豊かな日常を送るためにクレジットカードのタッチ決済を活用してみてはいかがでしょうか。