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生命保険の満期保険金や解約払戻金には税金がかかる?確定申告は必要?

生命保険の中には、満期保険金や解約返戻金を受け取ることができる保険種類があります。この記事では、満期保険金や解約返戻金には税金がかかるのか、確定申告が必要なのか、そもそも満期保険金や解約返戻金を受け取ることができる生命保険はどういう特徴があるのかを解説します。

  • この記事では、保険契約者(保険料を支払った人)や被保険者(保険の対象となる人)が死亡してしまったケースについては触れておりません。
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生命保険の満期保険金・解約返戻金とは?

まずはじめに、満期保険金と解約返戻金とは何なのか、どのような保険種類に加入すると受け取ることができるのかを紹介します。

満期保険金がある生命保険

生命保険は、契約時にあらかじめ保障期間を定めます。その期間が終了するときのことを「満期」と言い、満期を迎えることで受け取ることができるお金を「満期保険金」 と言います(終身保険のように、保険の対象者が亡くなってしまうまで保障が続き、満期が存在しない保険商品もあります)。
また、満期があるすべての保険で満期保険金を受け取ることができるわけではなく、いわゆる「掛け捨て型」と言われる保険は、満期を迎えても満期保険金が支払われません。
満期保険金がある保険商品の代表的なものは、養老保険や学資保険です。

養老保険とは
養老保険はあらかじめ期間(満期)を決めて契約し、満期よりも前に亡くなってしまうと死亡保険金が支払われ、生存して満期を迎えると満期保険金が支払われる仕組みです。養老保険の特徴は保険期間中に亡くなった場合でも、満期時でも同額が支払われる点です。そのため養老保険は万が一の時の保障と、老後の備えを併せ持つ性格の保険と言われています。「老いを養う」という漢字が表すように、60歳以降を満期として設定するケースがほとんどです。満期は60歳、65歳までのように年齢で区切る(歳満了)だけでなく、20年間や30年間のように年数で区切る(年満了)契約もあります。
学資保険とは
学資保険は子どもが中学校や高校、大学に入学する年に祝い金や満期保険金を受け取ることができる保険です。教育費用を準備することが目的で、高校卒業時に満期を設定し、満期保険金を大学の入学資金に充てるケースが多いでしょう。

解約返戻金がある生命保険

生命保険を保障期間の途中で解約することで受け取るお金を「解約返戻金」と言います。
満期保険金同様、すべての保険で解約返戻金を受け取ることができるわけではなく、掛け捨て型の場合は解約返戻金はありません。また、貯蓄型でも早期に解約した場合などは解約返戻金を受け取れないか、非常に少ないことがあります。
解約返戻金がある保険種類で代表的なものは、上で取り上げた養老保険や学資保険、そのほかに終身保険があります。

終身保険とは
終身保険はその漢字のとおり、「身が終わるまで」つまり一生涯に渡り保障が続く貯蓄型の保険です。保険料(掛け金)を支払うごとに解約返戻金も増えていきますが、保険料の支払い期間中は支払い済の金額よりも解約返戻金の額の方が若干少なく、保険料の支払い期間終了後は年を追うごとに支払い済の金額よりも解約返戻金の額の方がゆるやかに増えていくのが一般的です。
また終身保険の中には、保険料の支払い期間中は解約返戻金の額がぐっと少なく、保険料の支払い期間終了後に解約返戻金の額の方が大きく増える「低解約返戻金型」や、保険料の支払い期間中も支払い期間終了後も解約返戻金がほとんどない「無解約返戻金型」もあります。解約返戻金が少ないものほど、保険料が割安であることが多い傾向です。

生命保険の満期保険金や解約返戻金には税金がかかる?

生命保険の満期保険金や解約返戻金を受け取ると、基本的には税金の対象になります。

どんな税金がかかる?

生命保険の満期保険金や解約返戻金は、その保険契約者(保険料を支払った人)と受取人が誰なのかによって、かかる税金の種類が変わります。

満期保険金・解約返戻金にかかる税金の種類の例(保険金契約者と受取人の関係性別)
保険契約者満期保険金・解約返戻金の受取人税金の種類
本人(夫)本人(夫)所得税
本人(夫)妻やこども贈与税
  • 保険契約者(保険料を支払った人)や被保険者(保険の対象となる人)が死亡してしまったケースは除きます。

上記の表のように、「保険契約者」と「満期保険金や解約返戻金の受取人」が同じ人であれば所得税、違う人であれば贈与税の対象となります。

【覚えておこう!】
(1)満期保険金の受取人はあらかじめ指定することができますが、誰でも良いわけではありません。原則として、被保険者(保険の対象となる人)の2親等以内の血族を指定する必要があります。(保険会社によって異なる場合があります。)
(2)解約返戻金の受取人はあらかじめ指定することができず、原則として保険契約者(保険料を支払った人)が受取人となります。

税金はどのくらいかかる?

所得税の場合

所得税に該当する場合は一時所得と雑所得で計算方法が異なります。

1)一時所得
満期保険金や解約返戻金を一時金で受け取ると、一時所得として税金の対象になります。
一時所得の計算方法は以下のとおりです。(注1)

【覚えておこう!】
一時所得の金額 = 満期・解約返戻金額 - 支払い済の保険料総額 - 特別控除額(最高50万円)

例えば、満期保険金が500万円、支払い済の保険料総額が450万円であれば、
計算式は
500万円-450万円-特別控除額50万円=0
となり、一時所得は0円なので、税金がかからないことがわかります。
もし満期保険金が500万円、支払い済の保険料総額が400万円だったとすると、
500万円-400万円-特別控除額50万円=50万円
となり、一時所得は50万円となります。
一時所得は、その所得金額の2分の1に相当する金額を、給与所得などの他の所得の金額と合算して、最終的に納める税金額を計算します。
そのため、50万円の2分の1である25万円が他の給与所得などと合算されて所得税の対象となります。

2)雑所得
満期保険金や解約返戻金を年金形式で受け取ると、雑所得(公的年金等以外)として税金の対象になります。
雑所得の計算方法は以下のとおりです。(注2)

【覚えておこう!】
雑所得の金額 = 受け取った年金額 - 受け取った年金額に対する支払い済み保険料総額

例えば、年金額が100万円、受け取った年金額に対する支払い済の保険料総額が80万円であれば、
計算式は
100万円-80万円=20万円
となり、雑所得は20万円です。

雑所得は、先ほど計算したそのままの金額に給与所得などの他の所得の金額を合算して、最終的に納める税金額を計算します。

贈与税の場合

贈与税は原則、1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与額の合計が110万円を超えたときに税金の対象となります。(注3)
贈与税の場合、満期保険金や解約返戻金を受け取った人は保険料を負担していないため、所得税の計算のように支払い済の保険料総額を差し引くことはできず、受け取った満期保険金や解約返戻金の額そのものから110万円を引いた額が贈与税の対象です。

満期保険金や解約返戻金受け取りの豆知識

解約返戻金を受け取りたいとき

生命保険は、被保険者(保険の対象となる人)に万一のことが起きたときの生活費や治療費をカバーすることを目的に加入するケースが多いため、満期前に解約するときというのは、「保険料を支払う金銭的余裕がなくなってしまった」「急にまとまったお金が必要になった」などのように、やむを得ない理由であることも少なくありません。
生命保険はその保険契約全体ではなく、一部分だけの解約も可能です。例えば、もともと死亡保障1,000万円の契約を半分の500万円分だけ解約することで、その分の解約返戻金を受け取ることができると同時に保険料負担を減らすことができます。また、生命保険には他にも、すでに貯まっている解約返戻金額の範囲内で保険会社が保険料を自動的に立て替えてくれる「自動振替貸付制度」や、すでに貯まっている解約返戻金額のうちの所定の範囲内で保険会社からお金を借りることができる「契約者貸付制度」というものも存在します。
もし、やむを得ない理由で解約を検討する場合には、参考にしてみてください。

満期保険金や解約返戻金に贈与税がかかる場合

もし、18歳以上の人が原則として60歳以上の両親や祖父母からの贈与を受けるのであれば、相続時精算課税制度を選択することができます。(注4)
相続時精算課税制度とは、贈与時には特別に軽減された贈与税を支払い、その後、相続が起きたときにその贈与財産とその他の相続財産を合算して計算した相続税額から、すでに支払った贈与税額を精算することができる制度です。
相続税は、税金の対象とならない控除額が大きいため、この制度を活用することで結果として納税額を軽減できるケースがあります。

満期保険金や解約返戻金を受け取ると確定申告が必要?

確定申告が必要なのはどんなとき?

会社員などの給与所得者の場合、給与所得や退職所得以外で20万円を超える所得があった年には、確定申告が必要です。そのため、先ほど計算した一時所得や雑所得の額が20万円を超えるときには忘れずに確定申告を行いましょう。
ただし、以下の保険種類に対する満期保険金や解約返戻金は、源泉分離課税と言ってあらかじめ保険会社が納税を行うため、確定申告は必要ありません。(注5)

【覚えておこう!】確定申告が必要ないケース
(1)一時払養老保険や一時払損害保険などで一定の要件を満たすものの差益(保険期間等が5年以下のもの、または保険期間等が5年を超えるもので保険期間等の初日から5年以内に解約されたものの差益に限る)
(2)一時払個人年金保険(給付年金総額が定められている確定年金契約に限る)で、契約開始から5年以内で年金支払開始前に解約されたものの差益

確定申告は日頃行わない人にとっては面倒でたいへんな作業でしょう。もしかすると忘れてしまったり、行わなくても分からないのではと考えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、満期保険金や解約返戻金が発生したとき、保険会社は「支払調書」という書類を発行し、誰にいくら支払ったのかを税務署に報告します。そのため、確定申告を忘れてしまったり行わなかった場合には、税務署から連絡がきてしまうかもしれません。
期限を過ぎた後に申告する場合には通常よりも多く税金を課されることもあります。満期保険金や解約返戻金を受け取って一時所得や雑所得の額が20万円以上になったときには、必ず確定申告を行いましょう。

確定申告の方法

確定申告は難しいと思っている方も多いかもしれませんが、国税庁のホームページ上で、スマホやパソコンで簡単に済ませることも可能です。
確定申告は毎年2月16日から3月15日の間に行います。
まずは国税庁のWebサイト「確定申告書等作成コーナー」にアクセスしてみましょう。ガイドに沿って必要事項を入力するだけで確定申告書の作成が簡単にできます。
完成した確定申告書は、印刷して税務署に直接持参したり郵送するという方法だけでなく、マイナンバーカードを持っている人であればインターネット上で税務署に送信するe-Taxという方法を使うこともできます。

まとめ

満期保険金や解約返戻金を受け取った後の確定申告についてお困りのときは、税金のプロである税理士さんに相談しましょう。
もし各種税金の周辺知識について知りたい場合や、どういう保険が適しているのかなど、自分に合ったケースを模索したい場合などは、ぜひお金のプロに相談できる「セゾンのマネナビ」をご利用ください。無料で何回でも、納得いくまで相談することができます。
最後に、満期保険金や解約返戻金がないからと言って、掛け捨て型の保険は無駄ということではありません。自分に必要な保障を必要な分だけ準備しておくことが大切です。

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