高校・大学卒業までの費用はいくら?家族が増えたらライフプランの見直しをしよう!
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人生のライフスタイルが大きく変わるタイミングといえば、進学や就職、転勤などでしょう。生活環境が大きく変わることで、人生設計もその都度、適切なアップデートが求められます。そして「家族が増える」ことも、ライフスタイルの大きな変化ではないでしょうか。
家族が増えるケースのひとつめは、「結婚」です。そしてふたつめは、「こどもができる」ことです。こどもができると、そのあとにどんなお金がどれくらい必要になるのか。それを明確に把握されている方は少ないと思いますが、その費用の中心は、大学卒業までの「教育費」です。
こどもが大学を卒業するまで、どんなお金がどれくらい必要か。それを知ることで、家族が幸せな人生を送るための、より確かなライフプランを構築することができます。また「これからこどもが欲しい」と考えているご夫婦も、今後のライフプランの参考になれば幸いです。
この記事では、こどもの年齢別に必要となる費用について解説します。
【~0歳】妊娠から出産まで
ここでは、こどもを妊娠してから出産までにかかる費用について解説します。
出産費用については、出産施設が病院、診療所、助産所などさまざまなケースがあり、一概には言えません。また出産自体、自然分娩なのか帝王切開なのかでも、費用に幅が出てきます。公益社団法人国民健康保険中央会による平成28年の調査結果では、入院日数を6日とした出産費用の全国平均値は、50万5,759円となっています。
- 公益社団法人国民健康保険中央会 出産費用 平成28年度
出産費用には一児42万円の出産育児一時金などが支給される
「えっ、出産費用に50万円もかかるの?」と驚く人もいると思いますが、実際には、給付金や助成金といった制度により、大幅に減額されます。
基本的に健康保険は適用外ですが、加入している健康保険の種類や就業状況などによって利用できる制度が違ってきます。
特に重要なのが、出産育児一時金です。健康保険に加入している場合、妊娠4ヵ月(85日)以上の方が出産したときは、一児につき42万円の出産育児一時金が支給されます(産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.8万円)。
また、給付金や助成金については、居住先や勤務先の自治体に問い合わせして確認しましょう。
参考までに一例をあげておきたいと思います。
<妊娠・出産で活用できる助成金・給付金制度の例>
- 出産育児一時金
- 医療費控除
- 高額療養費
- 出産手当金
- 傷病手当金
- 全国健康保険協会 出産一時一時金について
【~6歳】幼稚園・保育園から小学校入学まで
公立と私立では費用に実に2倍の開きが!
幼稚園・保育園の入園から、小学校入学までに必要な費用は、どのようになっているでしょうか。
幼稚園・保育園は、公立か、私立かによって費用が大きく変化します。
文部科学省が令和元年12月に発表した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」によれば、幼稚園の公立・私立別の学習費は、以下のようになっています。
幼稚園の学習費(1年)
公立幼稚園 | 私立幼稚園 | |
学習費総額 | 223,647円 | 527,916円 |
(内訳)学校教育費 | 120,738円 | 331,378円 |
(内訳)学校給食費 | 19,014円 | 30,880円 |
(内訳)学校外活動費 | 83,895円 | 165,658円 |
文部科学省 結果の概要-平成30年度子供の学習費調査
この調査の結果によれば、幼稚園にかかる学費(学習費)は、公立と私立では実に2倍の開きがあることが分かります。
学校教育費と学校給食費は固定の費用ですが、学校外活動費はいわゆる「習いごと・お稽古ごと」に該当する部分で、各家庭によって大きく異なります。
【~18歳】小学校入学から高校卒業まで
公立と私立の学費の差は、小学校で5倍、中学校で3倍、高校で2倍も!
小・中・高校で必要になる費用は、どのようになっているでしょうか。
ここでも、通う学校が公立か、私立かによって、費用がかなり変化します。
再び、文部科学省が令和元年12月に発表した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」を参照して、その教育費の違いを見てみましょう。
小学校の学習費(1年)
公立小学校 | 私立小学校 | |
学習費総額 | 321,281円 | 1,598,691円 |
(内訳)学校教育費 | 63,102円 | 904,164円 |
(内訳)学校給食費 | 43,728円 | 47,638円 |
(内訳)学校外活動費 | 214,451円 | 646,889円 |
中学校の学習費(1年)
公立中学校 | 私立中学校 | |
学習費総額 | 488,397円 | 1,406,433円 |
(内訳)学校教育費 | 138,961円 | 1,071,438円 |
(内訳)学校給食費 | 42,945円 | 3,731円 |
(内訳)学校外活動費 | 306,491円 | 331,264円 |
高等学校[全日制]の学習費(1年)
公立高等学校 | 私立高等学校 | |
学習費総額 | 457,380円 | 969,911円 |
(内訳)学校教育費 | 280,487円 | 719,051円 |
(内訳)学校外活動費 | 176,893円 | 250,860円 |
文部科学省 結果の概要-平成30年度子供の学習費調査
小学校〜高校でも、上記のデータを見るとわかるように、保育園・幼稚園の場合と同じく、公立と私立で必要な学費は大きく異なることが分かります。
特に義務教育の小・中学校で私立を選ぶ家庭は「教育に熱心な家庭」が多い傾向があるため、公立と私立の学費の差は、小学校で実に5倍、中学校で3倍、高校で2倍の開きがあることが分かります。
なお、私立中学校ではお弁当持参の学校が多いため、データ的には給食費が少なくなっています。また高校では、基本的に給食がないため、食費がデータから省かれています。
【~22歳】大学入学から大学卒業まで
大学で必要になる費用は、どのようになっているでしょうか。
大学では、それまでの教育機関よりも、より学びの専門性が求められ、選択肢もより広くなります。そのため、高校までのように私立・公立といった違いの他にも、短大・四大の違い、また文系・理系といった選択学部による差も大きくなる傾向があります。また、実家から通学するか、一人暮らしをするか。通学でも家と大学の距離などによっても、費用は大きく変わってくるものです。
再び、文部科学省が令和元年12月に発表した「平成30年度子供の学習費調査の結果について」を参照して、その教育費の違いを見てみましょう。
大学生の教育費(卒業まで)
国公立大学 | 私立大学文系 | 私立大学理系 | |
卒業までに必要な入在学費用 | 4,994,000円 | 7,170,000円 | 8,217,000円 |
(内訳)入学費用 | 714,000円 | 866,000円 | 845,000円 |
(内訳)在学費用 | 4,280,000円 | 6,304,000円 | 7,372,000円 |
日本政策金融公庫 > 子ども1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)が減少
大学の入学から卒業までにかかる教育費は、もっとも費用が低い国公立大学で、4年間で約500万円の費用がかることが分かります。そして私立大学になると、その2倍の700〜800万円ほどかかることがお分かりいただけると思います。
幼稚園から大学卒業までにかかる費用は合計で1,000万円以上!
さて、上記では保育園・幼稚園から小中高、そして大学の卒業までに必要とされる学費の平均値を見てきました。
おさらいをすれば、最小額でこれくらいの金額になります。
幼稚園(公立) 223,647円×3年=670,941円
小学校(公立) 321,281円×6年=1,927,686円
中学校(公立) 488,397円×3年=1,465,191円
高校(公立) 457,380円×3年=1,372,140円
大学(国公立) 4,994,000円
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合計 10,429,958円(約1043万円)
結果、保育園・幼稚園から大学まで通った場合、最小額でも1,000万円以上の学費が必要となることが分かりました。
しかし、これはあくまで「最小限の教育費」です。より質の高い教育レベルを追求する場合は、その何倍も教育費がかかることも珍しくありません。
教育費用にこれほどの金額がかかることから、お子様の成長に合わせ、将来を見据えての適切な資金準備と、ライフプラン・マネープランの設計・見直しを行う必要があるのです。
教育費は早めの準備が大切!
最低でも、こども1人に1,000万円以上が必要な教育費を、 どのように用意すればよいのでしょうか。それには、「少しでも早く」「計画的に」教育資金の貯蓄プランを立てることが大切になります。
もちろん、未来のことなど誰にもわからないものです。とはいえ、それまでまったく教育資金の意識がなく、急に「教育資金が必要だから今から頑張ろう!」と慌てても、すぐに貯められる額ではありません。たとえ今の時点でこどもがいらっしゃらなくても、結婚して「将来はこどもが欲しい」と考えた時点で、教育資金の貯蓄プランは計画し始める方が、無理のないプランを立てやすくなります。
もちろん、さまざまなタイミングで、ライフプランやマネープランを見直すことも必要です。しかしベースのプランがあれば、プランの修正で対処することができます。
児童手当などの各種制度を利用しよう
国の子育て・就学支援制度(1)児童手当
児童手当は、0歳~中学卒業までのこどもを持つ家庭に支給される手当です。
支給額は 子供の年齢によって変わり、3歳未満で1万5,000円、3歳以上~小学生で1万円(第3子以降は1万5,000円)、中学生以上で1万円となっています。
ただし、保護者の所得が一定額を超えている場合は、こどもの年齢にかかわらず、支給額は一律5,000円となります。
支給された児童手当をすぐに使わずに、将来の教育資金として積み立てておけば、15年間で約200万円になり、受験や大学進学時の費用として活用できます。
★チェックポイント①
児童手当は、出産時だけでなく、引越しして住所が変わった場合でも在住市町村に申請が必要なので注意しましょう。
★チェックポイント②
令和4年10月支給分から、児童を養育している方の所得が所得上限限度額以上の場合、児童手当などは支給されません。
※児童手当などが支給されなくなったあとに所得が所得上限限度額を下回った場合、改めて認定請求書の提出などが必要となります。
- 内閣府「児童手当制度のご案内」
国の子育て・就学支援制度(2)高等学校就学支援金・高校生等奨学給付金
高等学校就学支援金は、通学している高校の授業料を上限に、年間約12~30万円の支給があります(年収約910万円未満の世帯が対象)。全国の高校生の約8割が利用している制度です。
高校生等奨学給付金は、生活保護世帯や住民税非課税世帯といった世帯を対象に、授業料以外の教科書や学用品などに充当されるお金(年間約3~14万円)が支給されます。高等学校就学支援金との併用もできます。
どちらも奨学金とは違い、返還の必要はありません。ただし申し込みが必要となります。
- 高等学校等就学支援金・高校生等奨学給付金
学資保険や奨学金、教育ローンの利用も検討しよう
教育費を準備するために、学資保険や新NISAなどの資産形成、奨学金・教育ローンを利用するのもひとつの方法です。
学資保険
学資保険は生命保険会社の商品のひとつで、こどもの学費を貯蓄することを目的にした保険です。保険料を定期的に支払うことで、こどもが一定の年齢になった時点で満期となり、まとまった額の給付金を受け取ることができます。いわば教育資金の積み立てのようなものです。
学資保険のメリットは、契約者(主に親)が死亡したり、重い障害を持ってしまったりして保険料の支払いができなくなった場合でも、月々の支払いが免除となる「払込免除特約」が一般的についていることです。万が一のときでも、こどもが進学を諦めるようなことがなくなります。ここが、一般的な貯蓄とは大きく異なる点です。
資産形成(新NISAなど)
教育費を用意するために、株式投資などで資産形成を行う人もいます。中でも、長期的な視野で投資ができ、比較的低コストで投資リスクも低い投資信託の「新NISA」などが教育費の資産形成の手段として人気があります。
奨学金、教育ローン
奨学金は、大学進学以降の学生が自ら借り手となって、 特定の団体から学費を借り入れる制度です。 日本学生支援機構をはじめ、 民間団体や特定の大学が運営する奨学金もあります。
教育ローンは、教育費を契約者(主に親)が借り入れるローンです。日本政策金融公庫の「教育一般貸付(国の教育ローン)」をはじめ、各種銀行が取り扱っています。
奨学金、教育ローンとも、当然ですが多額の借り入れをすることになり、返済義務があります。ですから、学資保険や新NISAなどの資産形成を取り入れた上で、それでも教育費が不足した場合は、奨学金や教育ローンを検討するようにしましょう。
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まとめ
こどもの成長は親にとって何よりも楽しみですが、同時に教育費という負担がのしかかりかねないのもまた事実です。
教育における機会損失は、こどもの成長機会の損失でもあります。親としては愛するこどものため、教育資金をしっかりと準備し、こどもがのびのびと学び、成長することを期待することでしょう。
そしてそれが、将来的には家族の豊かで安定した暮らしにもつながります。こどものためにも、そして家族のためにも、教育費の準備は早めにスタートし、無理のないペースで貯蓄していきましょう。