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線状降水帯はなぜ増えた?発生しやすい場所や備えと対策をわかりやすく解説

近年、「線状降水帯」という言葉をニュースで耳にする機会が増えていませんか?集中豪雨や洪水の原因としてよく取り上げられるこの現象について、疑問や不安を感じている方も多いでしょう。実際、水害による被害額は年々増加しており、令和4年の水害被害額は全国で約6,100億円にも上りました。
この記事では、線状降水帯とは何か、なぜ最近増えているのか、そしてどのように備えるべきかについて、わかりやすく解説します。適切な防災対策を講じ、災害から身を守るための知識を一緒に学んでいきましょう。

線状降水帯とは

線状降水帯は、近年の気象災害の主要因として注目されています。気象庁によると、線状降水帯は以下のように定義されています。

次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域

この現象が発生する仕組みは、主に以下の要因が重なることで生じます。

1. 大気下層に暖かく湿った空気が大量に流入し続ける
2. 1の空気が地形や前線などの影響で持ち上げられ、積乱雲が発生する
3. 上空の風の影響で積乱雲が線状に並び、新しい積乱雲が次々と同じ場所で発生し、線状降水帯が形成される

この線状降水帯は、長時間にわたって同じ場所に大量の雨をもたらすため、洪水や土砂災害などの深刻な被害を引き起こす可能性が高く、防災の観点から非常に重要な気象現象となっています。

線状降水帯はなぜ増えた?

線状降水帯が増えたと感じる理由には、実際の発生頻度の増加と、認知度の向上という2つの側面があります。まず、ここ10年ほどで「線状降水帯」という言葉がメディアでよく使われるようになり、一般の認知度が高まったことが挙げられます。特に2014年の広島豪雨災害以降、この用語が頻繁に報道されるようになりました。

しかし、単に認知度が上がっただけではなく、実際に線状降水帯の発生頻度も増加傾向にあります。その主な理由として、以下の2点が考えられます

✓ 地球温暖化の影響
✓ 観測技術の向上

これらの要因について、詳しく見ていきましょう。

地球温暖化の影響

地球温暖化は、線状降水帯の増加に大きく関与していると考えられています。近年、線状降水帯が発生しやすい状態になっている背景として、以下の5つが挙げられます。

✓ 気温の上昇により大気中の水蒸気量が増加
気温が1℃上昇すると、大気中に含まれる水蒸気量は約7%増加するとされています。
地球温暖化による気温の長期的な上昇傾向に伴い、大気中の水蒸気量も増加傾向にあると考えられます。
海水温の上昇
特に日本近海の海水温が上昇することで、大気中への水蒸気の供給が増加し、より多くの水蒸気が陸地に運ばれやすくなります。
温暖化に伴う大気の状態の変化
大気の不安定度が増すことで、積乱雲が発達しやすい環境が形成されやすくなっています。
都市化
都市部の拡大により、地表の熱吸収・放出が変化します。これが局所的な気象条件に影響を与え、線状降水帯の発生を促進することがあります。
森林の減少
森林の減少により、蒸発散の量が減少し、大気中の水分バランスが変化します。これが降水パターンに影響を与え、線状降水帯の発生を助長することがあります。

これらの要因が重なることで、線状降水帯の発生条件が整いやすくなり、結果として発生頻度が増加していると考えられます。実際に、気象研究所の調査によると、7月の集中豪雨の発生頻度は過去45年間で3.8倍に増加しており、その多くが線状降水帯によるものとされています。

このように、地球温暖化は線状降水帯の増加に直接的な影響を与えており、今後も気候変動が進行すれば、さらなる線状降水帯の水害の増加が予想されます。

観測技術の向上

観測技術の向上も、線状降水帯が「増えた」と感じる重要な要因のひとつです。実際には、以前から存在していた現象をより正確に捉えられるようになったという側面が大きいためです。

近年、気象レーダーの性能が飛躍的に向上しました。特に、2020年3月から運用が開始された「二重偏波気象レーダー」は、従来のレーダーよりも高い精度で降水の状況を観測することができます。この技術により、線状降水帯の構造をより詳細に把握できるようになりました。

また、気象衛星の性能向上も大きな役割を果たしています。2014年に運用を開始した「ひまわり8号」は、観測頻度や解像度が大幅に向上し、雲の動きをより細かく追跡できるようになりました。これにより、線状降水帯の発生や発達過程を早期に検知することが可能になりました。

さらに、数値予報モデルの精度向上も見逃せません。スーパーコンピュータの処理能力の向上により、より細かいメッシュでの計算が可能になり、局地的な気象現象の予測精度が向上しています。

これらの技術革新により、以前は見逃されていた、または正確に捉えられていなかった線状降水帯を、より確実に検出し、分析できるようになりました。つまり、線状降水帯そのものが増えたというよりも、その存在を正確に把握できるようになったことで、「増えた」という認識が広まったと言えるのです。

この観測技術の向上は、防災の観点からも非常に重要です。より正確な情報をもとに、早期警戒や避難指示を出すことができるようになり、潜在的な被害を軽減する可能性が高まっています。

線状降水帯が引き起こしうる災害

線状降水帯は、その特性から非常に深刻な災害を引き起こす可能性があります。同じ場所に長時間にわたって激しい雨を降らせるため、通常の大雨とは比較にならないほどの被害をもたらす可能性があるのです。主に引き起こされる災害としては、以下のようなものが挙げられます。

✓ 洪水:河川の急激な増水や氾濫を引き起こし、広範囲に浸水被害をもたらします。
✓ 土砂災害:山崩れ、地滑り、土石流などの危険性が高まります。
✓ 都市型水害:下水道や排水システムの処理能力を超える雨量により、市街地が浸水します。
✓ 家屋の損壊:激しい雨や風により、建物が損壊する可能性があります。

特に注意すべきは、これらの災害が突発的に、かつ同時多発的に発生する可能性が高いことです。2014年の広島豪雨災害では、線状降水帯による集中豪雨により、同時に多数の土砂災害が発生し、77名もの犠牲者を出しました。

さらに、線状降水帯の予測の難しさも大きな問題です。観測技術の向上により、線状降水帯の構造把握や局地的な気象現象の予測精度が高くなっていることは確かです、しかし、線状降水帯の詳しい発生メカニズムが解明できていないこともあり、ピンポイントで正確な予測を行うことは難しいとされてます。

実際、気象庁の資料によると、線状降水帯の発生予測の精度は約25%にとどまっており、予想に反して発生してしまう「見逃し」の確率は60%超であったという記録があります。この予測の難しさは、自治体による避難エリアの指定や避難勧告・指示のタイミングの判断を困難にし、結果として住民の逃げ遅れにつながる大きな課題です。

このような状況下では、個人レベルでの迅速な判断と行動が非常に重要になります。気象情報や自治体からの警報に常に注意を払い、少しでも危険を感じたら早めの避難を心がけることが、命を守る鍵となります。

線状降水帯の発生しやすい場所・地域

線状降水帯の発生しやすい場所や地域を把握し、適切な備えをすることは、防災の観点から非常に重要です。気象研究所の調査によると、日本における線状降水帯の発生には明確な地域的特徴があることがわかっています。特に、以下の西日本から南日本にかけての地域で発生頻度が高く、東日本や北日本では比較的少ない傾向にあります。

【線状降水帯の発生頻度の高い地域】
✓ 九州
✓ 南西諸島
✓ 四国
✓ 紀伊半島

具体的には、2009年から2022年までの期間で458の線状降水帯事例を分析した結果、これらの地域では線状降水帯による大雨のリスクが高いとされています。

なぜ線状降水帯が九州など日本の南方ほど発生しやすいのかについては、いくつかの要因が考えられます。まず、地理的な要因として、これらの地域は東シナ海や太平洋からの暖かく湿った空気が直接流れ込みやすい位置にあります。特に梅雨時期や秋雨時期には、この湿った空気が大量に流れ込みます。

また、海水温の影響も大きいと考えられます。南方の海域は水温が高く、大気中に多くの水蒸気を発生させます。これが線状降水帯の発生に必要な湿った空気の源となるのです。さらに、九州や四国などの山岳地形が、湿った空気を強制的に持ち上げる効果を持ち、積乱雲の発達を促進します。

加えて、これらの地域は梅雨前線や秋雨前線が停滞しやすい位置にあることも、線状降水帯の発生を助長する要因となります。前線の停滞により、長時間にわたって湿った空気が流入し続けることで、線状降水帯の発生条件が揃いやすくなるのです。

しかし、注意すべき点として、線状降水帯は南方の地域に限らず、日本全国どこでも発生する可能性があることを忘れてはいけません。実際に、2014年には北海道でも線状降水帯が発生し、石狩地方などで大きな被害をもたらしました。気候変動の影響により、これまでの発生パターンが変化する可能性もあるため、全国どこでも線状降水帯による災害のリスクがあることを認識し、事前に適切な備えをすることが重要です。

線状降水帯や台風への備えで大切なこと

線状降水帯や台風による災害から身を守るためには、事前の備えが非常に重要です。突発的に発生する可能性のある線状降水帯でも適切な準備をすることで、被害を最小限に抑えることができるでしょう。

以下に、線状降水帯や台風への備えで特に大切なポイントを挙げます。
1)避難場所の確認
2)防災グッズの準備
3)家の点検
4)情報収集の手段の確認

これらの項目について、詳しく見ていきましょう。各項目を丁寧に準備することで、突然の災害にも冷静に対応できるようになります。

避難場所の確認

避難場所の確認は、線状降水帯や台風への備えで最も重要な項目のひとつです。災害発生時に慌てて避難先を探すのではなく、平常時から自分の住む地域の避難場所を把握しておくことが大切です。

まず、自治体が指定している避難所の場所を確認しましょう。これらは通常、学校や公民館などの公共施設に設置されています。自宅からの経路や所要時間も把握しておくと良いでしょう。

さらに、ハザードマップを活用することも非常に重要です。ハザードマップには、洪水や土砂災害の危険区域が示されており、自宅周辺の潜在的な危険性を事前に知ることができます。ハザードマップには洪水、土砂災害、津波など、災害の種類ごとに異なるものがあるので、複数のハザードマップを確認することをおすすめします。
▶関連記事:災害対策のハザードマップとは?種類や使い方、防災マップとの違いをわかりやすく解説

なお、以下のサイトでは、自治体が公開しているハザードマップを確認できるほか、住所からでも災害リスクを確認することができます。ぜひ活用してください。

防災グッズの準備

防災グッズの準備は、地震時の備えを中心に考えがちですが、線状降水帯や台風などの水害への備えも欠かせません。災害時に必要な物資をあらかじめ用意しておくことで、避難時の混乱を軽減し、安全を確保することができます。特に、線状降水帯は予測が困難で突発的に発生する可能性があるため、常に準備を整えておきましょう。

まずは、家庭でできる簡単な対策から始めましょう。身近な材料を活用した防災アイデアは、実践しやすいのでおすすめです。例えば、段ボールとビニール袋を使って「簡易水のう」を作ることができます。浸水時に戸建ての玄関前などに置くことで、水の侵入を防ぐ効果が期待できるので、知っておいて損はないでしょう。また、停電に備えて電気のスイッチ付近に発光(蓄光)シールを貼っておくことで、暗闇でも慌てずに対応できるでしょう。さらに、ペットボトルを利用した簡易照明の作り方を覚えておくと、非常時に役立ちます。

食料の備蓄も忘れてはいけません。特に、マンション住まいの方は、「在宅避難」という選択肢も考慮に入れましょう。そこで重要になるのが「ローリングストック法」です。これは普段から少し多めに食料を購入し、古いものから消費しながら新しいものを補充していく方法で、常に新鮮な非常食を備蓄できます。

これらの家庭でできる対策に加えて、基本的な防災グッズを準備しておくことも大切です。防災グッズを揃えるなら、「STOREE SAISON」がおすすめです。こちらでは、必要な防災・備蓄アイテムを厳選して提供しています。非常食や携帯トイレ、ポータブル電源など、災害時に役立つ商品が豊富に取り揃えられており、ワンストップで必要な物資を購入できる点が魅力です。防災グッズの準備は、ご自身と大切な人の命を守る重要な投資です。STOREE SAISONの防災特集ページを参考に、自分の生活スタイルに合わせた防災グッズを選びましょう。詳しい商品ラインナップは、以下よりご確認いただけます。

備えておきたい 防災・備蓄アイテム(STOREE SAISON)

家の点検

定期的に家の点検を行うことも、災害への備えとして非常に重要です。事前に自宅の弱点を把握し、対策を講じることで、被害を最小限に抑えることができます。

特に注意が必要なのは、庭の雨水対策、外壁のひび割れ、雨どいの掃除などです。水はけの悪い庭では排水ルートを確保し、外壁のひび割れは雨漏りの原因となるため早めの修繕を行いましょう。また、雨どいの詰まりは、溢れた雨水が家屋に浸入する原因となるため、定期的な清掃が重要です。

被害を受けてから補修すると、より多くの費用がかかる可能性があります。特に築年数がある程度経っている場合や、心配な箇所がある場合は、早めに専門業者に点検を依頼し、必要な修繕を行うことをおすすめします。事前の対策が、大きな被害を防ぐ鍵となります。

情報収集の手段の確認

情報収集の手段を確認することも災害への備えとして大切です。災害時には、正確な情報を迅速に入手することが、適切な避難行動につながります。特に線状降水帯は予測が難しく、急激に状況が変化する可能性があるため、常に最新の気象情報を把握しておく必要があります。

情報収集の手段としては、テレビやラジオ、インターネット、スマートフォンアプリなどがあります。特に気象庁や地方自治体が提供する防災情報サイトやアプリは、地域に特化した詳細な情報を得られるため、有用です。また、停電時でも情報を得られるよう、電池式のラジオなども用意しておくとよいでしょう。複数の情報源を確保し、緊急時にも確実に情報を入手できる体制を整えておくことが、安全を確保する上で重要です。

災害支援に関するクレディセゾンの取り組み

クレディセゾンでは、災害支援において積極的な取り組みを展開しています。特に令和6年能登半島地震への支援活動において、クレディセゾンでは「永久不滅ポイント」やクレジットカード決済を通じた募金受付を実施し、会員の皆様に賛同いただき、118日間で22,000名を超える会員から約6,900万円の寄付金を集めることができました。この寄付金は、被災動物保護支援や仮設住宅における生活必需品の提供に活用されており、内訳としては、公益社団法人日本獣医師会を通じて約500万円を寄付し、株式会社ニトリと協力して約6,000万円分の生活必需品を被災地に届けています。仮設住宅や集会所への寝具・家具・家電の提供、避難所への夏対策用品の寄贈など、きめ細かな支援を行っています。

また、「セゾンのふるさと納税」を通じて、災害復興のための寄付支援も実施。このサービスでは、災害被災地への寄付が簡単にできるシステムを提供しており、多くの人々が被災地支援に参加できる機会を創出しています。興味のある方は、以下の「セゾンのふるさと納税の災害支援」ページをご覧ください。

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さらに、クレディセゾンの「STOREE SAISON」では、防災特集も組まれており、多様な防災用品が揃えられています。災害への備えとして、こちらで紹介されている商品を確認し、必要なものを準備しておくのもおすすめです。こうした総合的な取り組みを通じて、クレディセゾンは災害に対する社会的責任を果たしつつ、顧客の安全と安心を支援しています。

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まとめ

この記事では、線状降水帯について、その定義や特徴、予測の難しさ、近年増加傾向にある理由について詳しく解説しました。
線状降水帯は、特に日本の南方、九州や四国などで発生しやすい傾向がありますが、全国どこでも発生する可能性があります。
また、線状降水帯や台風への備えとして、避難場所の確認、防災グッズの準備、家の点検、情報収集手段の確認が重要であることを説明しました。これらの備えは、突発的な災害から身を守るために不可欠です。気候変動の影響で線状降水帯の発生頻度が増加する可能性がある中、個人レベルでの防災意識の向上と適切な備えが今後ますます重要になります。
この記事の情報を参考に、日頃から災害に備える習慣を身につけ、安全で安心な生活を送れるよう心がけましょう。