2023年度 iPS細胞研究基金活動報告
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)では、2023年度も寄付募集活動を行い、多くの方々から温かいご支援を賜りました。
皆様からのご寄付は研究費や研究支援経費に活用させていただき、2023年度も多くの研究成果をあげることができました。
主な成果としては、iPS細胞から難病である多発性嚢胞腎の病態モデルを作成することに成功し、そのモデルを活用して治療薬候補の物質を見出しました。
また、ナイーブ型ヒト多能性幹細胞(受精卵に近い発生初期のヒトiPS細胞)を用いてヒト初期発生を再現することに成功しました。
これらの知見が新たな治療法や薬の開発に貢献することが期待されます。
iPS細胞を用いた臨床試験としては、CiRA の研究成果を活用し、すでにパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、家族性アルツハイマー病、卵巣がん、血小板減少症などで実施されていますが、2023年度新たに多発性嚢胞腎の臨床試験が開始されました。また、米国でもCiRAの研究成果を活用したパーキンソン病治験の開始が発表されました。
さらに、2023年度より「修学支援奨学金」(授業料の学資に充てるための給付型奨学金)を設け、優秀な博士課程学生が修学・研究に専念できるよう経済支援を行うなど若手研究者の人材育成にも注力しています。
このほか、新しい研究室を立ち上げる際のスタートアップ支援、研究所の国際化推進、知的財産の確保・維持等にも寄付金を活用させていただいております。
国からの研究費の多くが期限付きで不安定な中、iPS細胞の実用化に向けて研究を推進し続けられるよう、皆様からのご支援は長期にわたり大切に使わせていただきます。