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ベンチャーキャピタルをわかりやすく解説!資金調達のメリットや銀行融資との違いも紹介
本記事では、ベンチャーキャピタルに関して詳しく解説していきます。ベンチャーキャピタルからの出資を受けたいと考えている経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
ベンチャーキャピタルとは
ベンチャーキャピタルは、成長が見込まれるベンチャー企業の事業将来性を見極めて、出資・ビジネス支援をする会社です。
ベンチャーキャピタルの大きな特徴は、企業が上場や成長したあとに株式・事業を売却して発生する差益、つまりキャピタルゲイン(売買時の利益)を得ることです。
ベンチャーキャピタルのビジネスモデルでは上場もしくは成長をしないと利益が得られないので、お金を出資するだけでなく、人材を紹介する・経営ノウハウを教えるなどして、会社の成長をサポートします。
ベンチャーキャピタルが積極的に経営に介入して支援を行う手法をハンズオンと呼び、反対に経営に介入せずに出資だけを行う手法をハンズオフと呼びます。自社にとってメリットの多い手法を取るベンチャーキャピタルを選ぶ必要があります。
ベンチャーキャピタルの種類
ベンチャーキャピタルの種類は、主に以下のように分かれます。
● 金融機関系…銀行や証券会社、保険会社などの金融機関が運営
● コーポレート系…事業会社や商社、通信企業などの関連会社が運営
● 政府系…政府や公的機関などが運営
● 大学系…国立大学や大学研究機関、私立大学などが運営
種類によって特徴がありますので、自身の会社に合ったベンチャーキャピタルを選ぶことが大切です。
ベンチャーキャピタルと銀行融資の違い
ベンチャーキャピタルと銀行融資の最大の違いは返済義務の有無です。
● ベンチャーキャピタル…返済義務はない
● 銀行融資…返済義務はある
銀行から融資を受けた場合、得られた資金は「負債」となるため、企業は利息を含めて返済する義務が発生します。一方、ベンチャーキャピタルは融資ではなく出資のため、得られた資金は「資本」となるので返済義務はありません。
また、銀行は融資をする際に、企業の信用と担保をもとに審査を行います。そのため、実績がない企業だと、審査に落ちて融資されない可能性があります。
ベンチャーキャピタルの場合は、ビジネスの成長性や事業計画などをもとに審査が行われるので、現時点で実績がない企業でも出資を受けられるケースがあります。
ただし、ベンチャーキャピタルが出資する目的は、出資した企業が上場したことで得られる利益です。
上場が見込めない、あるいは上場しても利益を得られないと判断されると、所有している株式を買い戻すことを求められます。資金の返済義務はありませんが、出資してもらった資金相当の金額を返済する可能性はあります。
ベンチャーキャピタルとクラウドファンディングの違い
ベンチャーキャピタルとクラウドファンディングの違いは次の3つになります。
● 出資者への見返り
● 集められる資金の規模
● 経営への直接的な介入
出資者への見返り
クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から出資を募る方法です。不特定多数の人物に対して自社のサービスやプロジェクトを公開し、出資してくれた方に対して何かしらのリターン(見返り)を提供します。
● ベンチャーキャピタル…出資者に未公開株式を渡す
● クラウドファンディング…出資者に分配金や売却益、未公開株式などを渡す
クラウドファンディングの種類や企業の事業内容にもよりますが、リターンの内容を株式に限定していないのがベンチャーキャピタルとの大きな違いになります。
集められる資金の規模
ベンチャーキャピタルは多くの投資家から資金を集められるため、まとまった資金を一度に出資してもらえます。なお、金融庁の資料によりますと、1案件あたりの平均投資金額はその年によって変動しますが、おおよそ1~2億円の間を推移(※1)しています。
一方、クラウドファンディングは個人投資家から少額を直接集める手法のため、素早く資金を集めることは可能ですが、資金規模はベンチャーキャピタルよりも少なくなります。金融庁の資料では、1件あたりの平均調達額は約3,178万円(※2)としています。
● ベンチャーキャピタル…1案件あたりの平均投資額は約1~2億円
● クラウドファンディング…1案件あたりの平均調達額は約3,178万円
つまり、ベンチャーキャピタルのほうが、資金の規模が大きくなっています。
(※1)出典元:金融庁 令和2年11月13日 事務局説明資料(成長資金の供給のあり方に関する検討【総論】)
(※2)出典元:金融庁 令和3年2月18日 事務局説明資料 (成長資金の供給のあり方に関する検討)
経営への直接的な介入
ベンチャーキャピタルには出資の見返りにまとまった株式を渡すため、企業に対して経営方針や経営戦略に口を出し、取締役会を開催するように求めることができます。
経営への直接的な介入をされるリスクはありますが、ベンチャーキャピタル側から事業提携や人脈の紹介などのサポートを受けられます。
クラウドファンディングは不特定多数の投資家に株式を分配するので、企業の経営に介入されることはありませんが、サポートを受けられません。
また、クラウドファンディングだと、出資した不特定多数の投資家に対して情報開示や発信を行う義務が発生します。
● ベンチャーキャピタル…経営への直接的な介入や支援がある
● クラウドファンディング…経営への直接的な介入や支援はない
クラウドファンディングのほうが比較的、事業の自由度が高いといえるかもしれません。
ベンチャーキャピタルとクラウドファンディングのメリット・デメリット
ベンチャーキャピタルだと、まとまった資金を一度に出資してもらえて、経営に関するサポートを受けられる可能性があります。しかし、経営に直接介入されるリスクはあります。
クラウドファンディングだと、素早く資金を集めることができ、経営に直接的な介入をされることはありません。しかし、一度に集められる資金規模は少なくなり、経営に関するサポートを受けられません。
次の表はベンチャーキャピタルとクラウドファンディングのメリット・デメリットをまとめたものになります。メリット・デメリットを比較して、自社に有利な方を検討してみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
ベンチャーキャピタル | 資金調達の規模が大きい 経営に関するサポートを受けられる |
資金調達にまで時間が掛かる 未公開株を渡すため、経営に直接介入されるリスクはある |
クラウドファンディング | 素早く資金を調達できる 経営への直接的な介入はない |
資金調達の規模は小さい 経営に関するサポートを受けられない 出資者たちに情報開示や発信を行う義務がある |
ベンチャーキャピタルから資金調達するメリット
続いてはベンチャーキャピタルから資金調達するメリットを紹介します。ベンチャーキャピタルはお金以外でもサポートが受けられる点が、銀行融資やクラウドファンディングとの大きな違いです。
ビジネスモデルを見て出資をしてもらえる
ベンチャーキャピタルの審査では、ビジネスモデルや事業の成長性が重視されます。銀行融資では現時点までの実績が重視される傾向にあるので、実績が少ない会社にとっては大きなメリットです。
例えば成長するビジネスのアイデアはあるけど、実績・資金が足りない方にとっては、ベンチャーキャピタルはぴったりの存在。ビジネスの将来性に納得してもらえば、資金調達ができる可能性があります。
財務状況が改善される
ベンチャーキャピタルからの資金調達が決まれば、まとまったキャッシュが手に入ります。財務状況が苦しい企業にとって、まとまったキャッシュが得られるのは大きなメリットです。
ベンチャーキャピタルから資金調達できる金額は、数百万円から数億円まで幅広いです。現在の財務状況と将来必要な資金に不安がある方は、ベンチャーキャピタルからの資金調達を検討してみてはいかがでしょうか。
経営に関する知識・経験・ノウハウを提供してもらえる
ベンチャーキャピタルは出資した企業が上場・成長した時に株式を売却して、キャピタルゲインを得るビジネスモデルです。そのため企業の成長には、積極的に手を貸してくれます。
たくさんの企業に出資してきたベンチャーキャピタルからは、経営に関する知識・経験・ノウハウなど多くのものが得られます。ベンチャーキャピタルといいパートナー関係が作れれば、企業の成長にも貢献してくれます。
事業提携先が見つかることがある
ベンチャーキャピタルは将来有望な企業と多数契約しており、ビジネスの成長をサポートしています。そのため独自のネットワークをもっており、事業提携や人材紹介のサポートも必要に応じてしてくれます。
今後事業を成長させるために必要な提携先を探したい方にとっては、ベンチャーキャピタルのネットワークは大きな魅力です。さまざまな面からビジネスをサポートしてくれるので、企業が成長する可能性が高まる点もベンチャーキャピタルから資金調達するメリットです。
事業が失敗しても負担が少ないケースもある
事業のために融資を受けた場合、失敗しても返済義務は残るため負担が大きくなってしまいます。一方ベンチャーキャピタルは、あくまでも「出資」してもらっているため、返済義務がなく負担が少ないです。しかし、返済義務はなくともリスクはあるので、次の項目で説明していきます。
ベンチャーキャピタルから資金調達するデメリット
ベンチャーキャピタルから資金調達するメリットを紹介しましたが、資金調達を受けるデメリットも存在しています。ベンチャーキャピタルからの資金調達は多額になることも多いので、デメリットも確認しておきましょう。
利益が生み出せないと株式買取請求をされる場合がある
ベンチャーキャピタルからの資金調達には、返済義務がありません。しかしベンチャーキャピタルの場合、会社が予定どおりに成長しないと、株式買取を迫られる可能性があります。なぜなら、ベンチャーキャピタルとの契約に、株式買取請求権が設定されていることが多いからです。
株式買取請求権は企業や起業家個人に対して、株式の買取に応じることを請求できる権利です。ベンチャーキャピタルは多額の出資をして企業価値は高まっているので、買取を求められる株式の対価は高額になる可能性が高いです。
そのため起業家が個人で借金をして、多額の買取金額を支払うことになることもあります。
ベンチャーキャピタルから資金調達しても返済義務がありませんが、こうしたリスクを抱えていることは頭に入れておきましょう。また契約前に株式買取請求権について、契約を確認しましょう。
意図していない経営介入をされることがある
ベンチャーキャピタルは企業の成長のため、ノウハウの提供やサポートなどを行います。ベンチャーキャピタルのサポートをうまく活用できればいいですが、場合によっては意図していない経営介入をされることがあります。
そうなると会社とベンチャーキャピタルの意図がずれて、会社がなかなか成長しない事態に陥る可能性もあります。ベンチャーキャピタルとの契約前には、受けられるサポートの内容を確認するのもことが大切です。
想定外のタイミングで手を引かれることもある
ベンチャーキャピタルは出資ですので、出資者の意図に合わなかったり、成長が見込めないと判断されたりすると、想定外のタイミングで撤退する場合もあります。信用が下がることで資金調達が難しくなり、事業が計画どおりに実行できなくなるリスクもあります。
ベンチャーキャピタルが出資したいと考えるスタートアップ企業の共通点
ベンチャーキャピタルが出資したいと考えるスタートアップ企業の共通点は次になります。
● 優れた経営者である
● 製品やサービスに優位性がある
● 成長が見込める市場である
ベンチャーキャピタルは銀行融資と違い、企業の実績や担保などよりも、企業の経営者や事業計画などを評価して出資するかどうかを決めます。
そのため、ベンチャーキャピタルから資金調達をしてきたスタートアップ企業の経営者は明確なビジョンを持ち、困難な状況であっても、それを乗り越えようとするバイタリティーにあふれる人物が多いようです。
また、スタートアップ企業の製品やサービス内容に独自性があり、成長する市場で競合相手を圧倒できるかなどポイントも出資評価の対象としています。
ベンチャーキャピタルから資金調達を検討している方は、ベンチャーキャピタルが評価するポイントを分析し、出資したいと考えてもらえるように行動や計画を立てましょう。
ベンチャーキャピタルの選び方
ベンチャーキャピタルのメリット・デメリットなどを紹介しましたが、情報を踏まえたうえで、ベンチャーキャピタルの選び方を紹介します。ベンチャーキャピタルからの出資を検討されている方は、選び方を確認しておきましょう。
事業に必要なサポートをしてくれるか
ベンチャーキャピタルは企業の成長のため、サポートをしてくれます。ただし事業に必要でないと思われるサポートをされてしまうと、企業とベンチャーキャピタルの意図がずれてしまう可能性があります。
そのためベンチャーキャピタルを選ぶときには、受けられるサポートの内容を確認しておきましょう。事業に必要なサポートをしてくれるベンチャーキャピタルであれば、いいパートナーになれる可能性が高いです。
事業に関係する提携先があるか
ベンチャーキャピタルを通じて提携先を探している場合、事業に関係する提携先があるか確認しておきましょう。事業に関係する提携先が見つかれば、事業の成長につながる可能性があります。
今後の事業展開で企業とベンチャーキャピタルが果たすべき役割を細かく詰めておくことが大切です。
ファンド規模と想いを確認する
今までの投資先の分野や規模を調べるのも重要です。ファンド規模が小さければ、新たな投資先の経営に左右されやすく経営介入される可能性が高まります。
また、ベンチャーキャピタルは出資主でもありますが、企業を成長させたい想いは同じです。想いが重なっていれば、利益を生むためのサポートや成長するためのノウハウ提供をよりいっそうしてもらいやすくなります。
新しいファンドを出しているか
ベンチャーキャピタルは自己資金を投資するケースと、ファンドを設立して投資家から資金を集めて投資するパターンがあります。ファンドを設立しているベンチャーキャピタルであれば、新しいファンドを出しているかチェックしましょう。
新しいファンドが出せているのは、資金調達ができていることになります。つまりベンチャーキャピタル自体の経営が順調な証のひとつで、そうしたベンチャーキャピタルには人や情報が集まっている可能性が高いです。
必要であれば複数のベンチャーキャピタルからの出資も検討する
ベンチャーキャピタルからの出資は、一社に限定する必要はありません。そのため必要であれば複数のベンチャーキャピタルからの出資を検討することも可能です。
ただし複数のベンチャーキャピタルからの出資を受ける場合、契約内容を丁寧に確認しましょう。契約内容をまとめて、複数のベンチャーキャピタルが納得すれば、多額の出資につながります。
ベンチャーキャピタルから資金調達する方法
ベンチャーキャピタルに出資してもらう方法は次の2つです。
● 直接連絡する
● イベント・コンテストに参加する
順番に解説します。
直接連絡をする
ベンチャーキャピタルに出資してもらう1つ目の方法は、直接連絡をして出資を相談してみることです。
インターネット上にはスタートアップ企業とベンチャーキャピタルをマッチングするサイトが複数あります。登録をすれば、事業規模にあったベンチャーキャピタルと交渉できる機会が得られる可能性があります。
また、インターネットで検索すると、交渉窓口を開いているベンチャーキャピタルが見つかることもあります。
直接連絡をする方法はいくつかあるので、自社に合ったベンチャーキャピタルを見つけて連絡をしてみましょう。
イベントやビジネスコンテストに参加する
ベンチャーキャピタルに出資してもらう2つ目の方法は、起業や創業支援のためのイベントやコンテストに参加して結果を出すことです。
スタートアップ企業や起業を考えている経営者を対象としたイベントやコンテストの数は増えており、なかにはベンチャーキャピタルが協賛しているケースもあります。
それらに参加して魅力的な事業案を出したり、入賞してニュースに掲載されたりするとベンチャーキャピタルの目に留まる可能性があります。ベンチャーキャピタルから資金調達を考えている方は、イベントやコンテストに参加してアピールしてみましょう。
まとめ
ベンチャーキャピタルはビジネスモデルを見て出資してもらえるので、起業間もないベンチャー企業にとって心強い存在です。
銀行融資と違い、調達した資金を返済する義務はなく、ベンチャーキャピタルが持つ経営に関する知識やノウハウを提供してもらえる、事業の提携先を紹介してもらえるなどのメリットがあります。
会社のビジネスモデルに自信はあるけど、資金が足りないと考えている方はベンチャーキャピタルへの申し込みを検討してみてはいかがでしょうか。
ベンチャーキャピタルから資金調達をするには、直接連絡をするか、イベントやコンテストに参加してアピールする方法があります。二つとも有効な手段ですが、資金調達を成功させるには綿密な事業計画が必要になります。
ベンチャーキャピタルが出資する際に評価するポイントを踏まえて、綿密な事業計画を作成しましょう。
また利益を生み出す時間を捻出するために、経費に関する事務作業を軽減させたい場合も、ビジネスカードの導入をおすすめします。ビジネスカードがあれば経費処理を効率化でき、キャッシュフローにも余裕をもたせられます。
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この記事を監修した人
【保有資格】
CFP、心理カウンセラー2級、生命保険大学課程(TLC)